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Dark Breakers  作者: verisuta
落ちこぼれ2人組
3/17

バジリスク峠

黒魔術兵器「サーヴァル」これを倒すのには聖剣の浄化能力もしくは聖魔術士による浄化魔法が必須・・・それをただの鉄剣で瀕死にする事までは出来る二人。友人無しでどこまで行けるのでしょうか?

翌日、遠征隊の最後尾に付く、流石に貧困層や没落貴族がほとんどなだけあって少し治安の悪い部隊だ。聖魔術士の護衛がシーズ達の役目である。実剣化しようにもミナを実剣化しただけでもう限界だったのでエルはシーズが抱える形で馬に乗る。なお、実剣化した順番は特に考えて居なかった。

「頑張ってこい!」

西門の兵士に2人は見送られ笑顔で手を振るがうまく笑えていただろうか?全く自信が無い。

空はファーヴァンラグニスを出れば一気に暗くなる。全体的に紫がかった空で夜とは異なり遠くは見えるも、青空になれていると違和感を感じる世界だ。これがブラックアウト化現象である。この空には支配術式が施されており、サーヴァルの行動範囲によって広がっていく物なのだ。

一団はバジリスク峠に差し掛かる。これまでもサーヴァルの襲撃があったが100人近い騎士団がいれば損失など出るはずも無い。しかしここの襲撃はかなり多い、50匹は居る。

「なんて数だ」

完全に抜かれて10匹近い集団が聖魔術士の馬車列を襲う。エルの手を握る、しかしエルを実剣化する聖魔力すら残ってないようだ。エルの瞳から涙が流れるのが見えたが慰めている暇が無い。

「馬を頼む」

「・・・はい」

涙声のエルに馬を任せて飛び降りる、そして腰の鉄剣を引き抜き、サーヴァルに切りかかった。やはり普通の片手剣では難色を示す、しかもルナもトドメを刺す事が出来ない・・・理由は聖魔力を注がなければ聖剣の浄化魔法を発揮出来ないからだ。だがそれくらいは聖魔術士に任せられる。とにかくシーズがやるべき事は致命傷を与えて足を止める事だ。

・・・あと何体?

シーズはサーヴァルから誰のか知らない聖剣を抜き取って辺りを見渡す。聖魔術士しか残ってない。

「これで最後だぞ」

「・・・そうか、最後は頼む」

「いや、コイツはもう決着が付いている・・・それでな・・・あるなら最初から使え!中途半端ばかり残しやがって!てか聖騎士だったのかお前!!」

聖魔術士は誰の物か分からない聖剣を指さす。

「俺は聖剣が使えないただの剣士さ」

「聖騎士のネックレス付けておきながら説得力の無い嘘を・・・」

実剣化されていればこちらの物、契約無しでも聖剣の力は5%程度は使えるという事だ。そんな事、聖騎士学校では教えて貰えない、なぜならば他人の聖剣に頼る事になる場合は既に自分の命が無くなっているからだ。要するに教えた所で何も役に立たない知識、だから教えて貰えなかった。卒業後の調査でエグバンゼル先生が教えてくれたのだ。普通は卒業後の調整はどの聖剣工房でも受けては居ない。エルだけはさらに少ない聖魔力でも扱えるよう再調整をしてくれた、でもほぼ駄目だった、聖魔力が少なければ少ない程、低級聖剣と同等の性能までガタ落ちする不安定な聖剣となってしまったのだ・・・さらにこれ以上やると上級聖剣の性能美が失われるのでそれ以降は顔を出していないが、エグバンゼル先生も泣く程の異常が自分達に起きているのは無視出来ない。聖剣が使えなければ剣技を磨く他無い、騎士道から逸脱しようとも色々な手を尽くして戦う、そのうちの一つが他人の聖剣を使う事だ。ついでに回収も出来て、勝手に人の姿に戻れもしない、時に便利な事もある。

シーズは誰のか知らない聖剣を聖魔術士に投げる。

「おい、お前のじゃねぇのかよ?!」

「残念ながらそれは拾い物だ、俺のはここにある」

少し離れた所に突き刺した鉄剣を引き抜く、そして軽く土を払う。

「いや、それどう見ても安物の鉄剣だろ」

聖魔術士は呆れた顔で誰かの聖剣を返そうとしてくる。だが誰かの聖剣だ。受け取る事もできない。しかし聖魔力を潤沢に持ち合わせた聖魔術士に渡しても勝手に実剣化を解こうとしない聖剣・・・これは中級聖剣だ。おおよそは上級聖剣クラスで初めて可能となる。聞いた事も無いのでエグバンゼル先生は教えてくれなかったが、それだけ修練課題に違いがあるのだろう。

「そうだ、安物の鉄剣だな」

聖魔術士が、ほら、お前のだろ?と聖剣を押し付けようとするが、無視して剣を鞘に収める。

「あんたみたいな力量の聖騎士がなんでただの鉄剣振り回してるんだ?手加減にしては冗談がキツ過ぎる・・・さてはあんた、聖剣失った口か?」

「だから言っただろ?元々使えないんだよ・・・」

「なんだそれ・・・ってちょいまてよ!」

シーズは誰かの聖剣を引きずりながら追ってくる聖魔術士を置いてエルの所まで戻る。ちゃんとルナの馬も回収してくれたようだがやはり元気はある訳が無い。

「シーズお疲れ」

ルナが抱きついてくる・・・こう言う奴なのだ、ルナと言う女は・・・あまりにもノーテンキ過ぎて膝から地面に崩れ落ちたいくらい力が抜けそうになる。

「・・・あのなぁ」

何かとスキンシップが多い、だが、実を言うと特に恋愛関係にある訳じゃない。聖騎士学校時代もライバル視するどころか彼女のごとくベタベタ、団体模擬戦では常連のペア、これが夫婦とか呼ばれる理由。戦った事もあるが必ず4時間を越える長期戦になるので双方二度と相手したくは無いという事でペアを組むと言う結論に至っている。だからただの相棒でしかない。

「・・・で、このまま進むのか?戻った方が賢明なんだが」

ひとまずその辺に居た聖魔術士に聞く、確認して来ると言って何処かへ走って行った。答えは全滅しようとも先へ進めだ・・・冗談じゃないが元々そう言う命令らしい。思う所は有るが飲み込んで目の前にあるルーデンという町を目指す事にする。ここさえ押さえれば最悪引き返しても悪く言われないはずだ。

他の聖騎士は全滅・・・でも引き返す事が許されない。遠征隊とは元々そう言う部隊。


次回はルーデン戦です。まぁ、なんとかなるんでしょう?話が進みませんから・・・。

最後までお付き合い願えると幸いです。

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