《劣等種の笑顔》
「おーほっほっほっ!私が霧市レレナですわ!!」
レレナ嬢はいつもそう言って高らかに笑います。彼女のいつでも麗しく品のある姿は周囲からも尊敬され、その笑顔は見たものを幸せな気持ちにさせました。レレナ嬢は学校でも人気者でした。
しかし意地悪なクラスの女子達は次第にレレナ嬢を妬むようになり、彼女に対していじめを始めます。毎日集団で無視、嫌がらせ、晒し、暴行、脅迫を行いました。
耐えかねたレレナ嬢は女子達に理由を聞きます。
「酷いですわ!!何故あなた方はこんなことをなさるの!?」
「は?その話し方が気持ち悪いからに決まってんでしょ?何、『ですわ』って。そんな話し方するやついねーよ。寒気がするからそのキャラ作りやめろ。」
「……。」
そう言って意地悪な女子達は彼女を罵倒しました。
その言葉に心を痛めたレレナ嬢はその日、自殺してしまいました。実は彼女は自分に自信が持てなかったので、仮面を被ることで自身のアイデンティティを保っていたのです。魅力のない自分とは違う、理想の『私』を演じていたのです。それは彼女が周りと打ち解けるために一生懸命考えた解決策でした。
そんなレレナ嬢の仮面を意地悪な女子達は全否定してしまいました。彼女は自身が周りと繋がれる唯一の方法を否定され、自己の全てを否定されたように感じました。意地悪な女子達は自分の醜い嫉妬心を肯定するためだけに彼女の生きる希望を奪ったのです。