第四話
「それでウィルフレッド。どうしてあなたが同行することになったのか話してもらえないかしら?」
「私は、旦那様より申し使ったのでございます」
侍女のカーラでさえ同行を許さなかったお父様がどうしてウィルフレッドを?
「旦那様はお嬢様を心配されておりました故に巡礼の旅に同行することとなりました」
「……あなたがいなかったら誰がお父様のお尻を叩くと言うの?」
「ご心配には及びません。私ひとりがいなくなったところで崩れるような部下を持ったおぼえはありませんので」
旅の同行者となったらしいウィルフレッドはこちらの意など解さないようにあの手この手でかわしていく。
期待に胸を膨らませてしていたはずが、これでは今までと変わりないではないかと、ララは胸の内でため息を吐いた。
巡礼の旅とはいえ正直邪魔な存在でしかない。
「もう独り立ちをしてもいい歳頃だと言っていたのはあなたじゃない、ウィルフレッド」
「ララ様になにかありましたら、私は、バージル様にどうお詫びしたものか」
はなからこの旅から降りる気はないのだろう。
彼にしてみればお父様の職務の尻拭いをせずに済むのだから渡りに船といったところだろうか。
考えの読めない瞳から視線を逸らし、ララは窓の外へと視線を投げた。