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46-0.鈴の音色
「……」
少女は一人、遠く離れた街並みを眺める。
しかし立つ地は一歩踏み出せばひとたまりもない、高く、険しい岸端。
下を覗けば彼方此方より茂る木々、地からは剥き出した岩。
――ここから、散れば……。
「……」
私は彼方へと逝けるだろうか。
ふぅ……と吐いた息は白く降り始めた雪と同化する。
「……寒い」
怖い。
私は、この虚空に自ら散る勇気さえない。臆病者だ。
「苦しい」
――なぜ?
ずっと、ずっとそう。
「逢いたい」
――誰に?
「私は……」
――チリンッ