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「暮らし」など

たいていの海について

作者: 維酉
掲載日:2020/11/17

あなたと交わす挨拶も

いまさら意味をもてなくて

だれも特別にはならない

平坦な場所を歩く


最寄りの駅につづく道

潮風のかすかな片すみで

かわらない朝に

どうしようもなく安堵し

すこしちがう街へ

旅する夢を思い出しもする

たとえば

赤い電車の

一両目、窓の外をながめ

または啄木の歌を思い

隔絶された美しき海をしるような

そこにだれかの幻影

波の往来

生と死

磯蟹

月


傾きは

常ににぶく

わたしの存在があまりに脆くて

水に濡れたこころを

抱き締めずにはいられない

せめて必要なことは

弛まない空間の虚構に

あなたの存在を思うこと

それが、幻影だとしても

あまりにやさしい


水平線でおどるひとが

きれいな渦になりながら

海辺の街をなつかしんでいる

それは十年前のリズムで

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