第4話 リーサ到着
「ふぅ、ここがリーサか」
予定より少し遅れたが、俺は新米冒険者が集まる町、リーサに到着した。
「やぁ、新米冒険者みたいだね。ギルドならこの道をまっすぐ行った所だよ!」
そう声をかけてきたのは、騎士のようなカッチリとした鎧に槍を装備している、いかにも門番風な男だった。
「あのー、ここリーサですよね?リーサは小さな町だと思ってたんですが……」
ゲームでは、宿屋と初心者向けの装備・アイテムが売っているお店くらいしかない小さな町だったが、異世界のリーサの町はそれとは比較にならないくらい大きかった。
「リーサで間違いないよ。俺が小さい頃からこんな感じだけど?」
どうやら俺が知っているゲームとは少し違うようだ。時代が違うのか、そもそも設定自体違うのか…後で神さまに聞いてみるか!
「お兄さんありがとう!」
親切にしてくれた門番に挨拶をし、俺はギルドに急ぐ事にした。
「キミ!そんな変な格好してる人はこの町にはいないから服を買った方がいいんじゃないかー?」
「やっべ。俺ジャージだ」
仕方なく、近くの服屋で比較的安くてそれっぽい物を見繕ってもらった。魔物を倒して手にしたお金を全て使ってしまったが……
そんなこんなで無事ギルドに到着した。
大きく立派なギルドには、たくさんの冒険者がいて活気があり皆楽しそうだ。
(受付はどこだろう?)
「よぉ坊主!受付は向こうだぜ!」
と、ギルドの入口でキョロキョロしていた俺に
親切なおじさんは指を指して教えてくれた。
「おじさん!ありがとう!」
「お、おじっ……!」
(クククっおじさんだって!)(ちげぇねー!)
顔を赤く染めてプルプルしてるおじさんを横目に、俺は受付へと急いだ。
「こんにちは!冒険者登録でよろしいですか?」
俺より若そうな受付嬢だった。
「登録したいんですが…登録料っていりますか?」
先ほど服を購入して、お金がほとんどない。
登録にお金が必要ならまた外で魔物を狩ってこないと……そんな事を思っていたが、登録にお金は必要ないそうだ。宿泊も、登録して3日以内ならギルド所有の宿に食事付きで泊まれるらしい。その代わりに新人用の依頼を受けなきゃいけないみたいだ。何でも研修の様なものらしいが俺にとっては非常にありがたかった。
「それでは登録しますのでこの水晶に魔力を流して下さい」
魔力を流せって…魔法の使い方分からないんだけど、とりあえずこんな感じかな?と俺は水晶に手を置き、何となく力を込めた。
「えっ……えっ?」
水晶の中で色んな色の光がクルクル回っていた。受付嬢は先ほどまでの笑顔から一転、ありえない……といった顔で水晶を眺めていた。
「おーい。おーい」
2.3分は経っただろうか、受付嬢は水晶を見たまま固まっていた。
「すみませーん!他に受付の方いませんかー?」
このままでは埒があかないと判断した俺は他の受付を呼んだ。
「すみません!どうなさいましたか?」
目の前でブツブツ言いながら固まっている受付嬢の先輩だろうか。20代後半くらいの受付嬢が慌てて対応してくれた。
「これなんですが……」
そう言って俺は水晶とその前で固まっている受付嬢を指差した。
「こ、これは……すぐに支部長を!」
固まっている受付嬢を無理やり起こし支部長を呼ぶよう指示していた。
「そんなに珍しいんでしょうか?」
水晶の中では、赤、青、黄、緑、茶、白、黒の7色の光がクルクルと回っていた。
「な、7色の光は伝説の
「君が新米冒険者かな?」
先輩受付嬢の言葉を遮るように筋肉隆々の男性が現れ水晶を見つめた。
はい。と小さく答え、この人が支部長なんだろうなと直感的に感じた。
「ちょっと支部長室まで来てくれるかな?」
ギルド登録しに来ただけたのに……と思いながらも、言われるがまま支部長室に案内された。