序章
「きたーーー!!★5確定演出!!」
俺の名前は林まさと。地元の高校に通う普通の高校生だ。
いきなり大声を出してしまったのは、はまっているアプリのガチャイベントでどうしても手に入れたいアイテムがあるからだ。このガチャを回すために3ヶ月間もRPを貯めたんだ。これくらいテンションが上がってもしょうがないだろ?
ちなみにこのアプリ、勇者になって魔王討伐するだけじゃない。
自分の土地を持つことで、町を作る事が可能だったり、商人になり珍しい武器や防具、アイテムなどを売る事が可能だ。
まあこの2つはサブコンテンツ的な要素でメインストーリー攻略にはあまり影響がないから活用している人はあまりいないんだけどね。
ちなみに俺は町づくりしかしていない。苦労して作った町に他の冒険者が来てくれることに喜びを覚えてしまったからだろうか。アプリが配信されてからはほとんどの時間を町づくりに費やしている。
今回のガチャはの目玉は【アレクスの秘湯★5】
攻撃と魔法の威力が上がる温泉の源泉が入手出来るガチャなのだ。町プレイヤーとしては是非手に入れたい逸品だ。そのガチャで★5確定が確定するレインボー
の宝箱が出たのだ!
「★5確定演出だし来てくれよー!」
俺はレインボーの宝箱以外をタップしていく。
楽しみは残すタイプなんだ!
【良質な牧草★3】×2
ミルクの生産量2倍(24時間)
【良質な肥料★3】
農作物の生産量2倍(24時間)
【安眠ベッド★3】
体力回復量アップ
【高級ダブルベッド★4】
体力回復量大幅アップ(2人用)
【安眠枕★3】
体力回復量アップ
【鋼鉄の柵★3】×2
Lv30以下の魔物の侵入を防ぐ(高さ2m.幅10m)
【カカシ戦士★3】×2
Lv30以下の魔物を撃退する(半径10m以内)
「まあここまでは普通だけどベッドはありがたいな」
まさとは町づくりに力を入れているだけあり、冒険者に人気が高い。一時的にではあるが、ステータスを上げてくれる温泉や食事が充実しているし、冒険に必要なアイテム屋が数多く揃っているのだ。その為、宿泊施設のベッドが全然足りていなかったのだ。
「アレクスの秘湯まで手に入れたら冒険者がもっとくるなー!」
そうニヤケながら、俺は期待を込めてレインボーの宝箱を力強くタップした。
【転移の扉★?】
異世界に転移が出来る
「ん?なんだこのアイテム?」
俺は狙っていたアイテムが出なかった悔しさよりも初めて見るアイテムに困惑していた。
「レア度も?だしそれよりも転移ってどこに転移するんだ?」
アイテムの説明不足に困惑しながらもそのアイテムを開いた。
《異世界に転移しますか?》
YES ←
NO
《NOを選択した場合【転移の扉】は消滅します》
「なんだ…これ?」
突然出てきたウィンドウに表示されたよく分からない選択肢を見て×ボタンを探すがウィンドウを閉じるコマンドはない。
「とりあえずYESで」
せっかく引いたアイテムを消滅させるのももったいないと思った俺は、仕方なくYESを選択した。
「え、えーーー!!!」
いきなり携帯が激しく光り、そのまま俺はは意識を失った。