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1話 自惚れだと思う?

「・・・記憶、自己である魂と、自我である脳との、


伝達が上手く行っていないのかも・・・失敗?」




そんな話声が、どこかで聞こえていた。






目覚めると、思惟は女将の間のベットで、眠っていた。


カーテン越しに、朝の光が部屋の中に入って来ていた。



「夢?」



恐る恐る自分の身体を確認した。


サイズは、人間サイズだったが、


自分の身体なのに、しっくりこない感じがした。



指を動かしてみた。


いつも通りに動いた。



軽くストレッチをして、自分の身体の動きを確かめた。


動きは問題はない。



しかし、やはりしっくりこない。


今にも魂が・・・妖精サイズの魂が抜けそうな気配がする。




心の中が静かすぎて生きている実感がない。



「失敗・・・って何だろう?」



不安が体中を廻り、そして全身を覆った。



自分が生きているのか、死んでいるのか、


そんな事も解らない不安。




「・・・私?」



今、声を出したのが自分だとすると、


自分ではない思惟が、ふっと目の前に現れた。


自分とまったく同じ姿の他者?



多分、思惟ではない思惟も、今の思惟と同じ気持ちで、


思惟を見つめているはず。


なぜだがそれが今の思惟には解った。




「私・・・自身の何か・・・分裂した私?」





「あなた誰?」それが愚問だと言う事は解っていた。



「あなたは私の心の欠片、もしくは私があなたの心の欠片」


もう一人の思惟は、言った。




「そうかも・・・」



そう・・・もう一人の思惟が言うように、


それは身体の欠片だけではなく、


精神の欠片も含めての事の様な気がした。



心が割れた状態・・・



もう一人の思惟は、言葉を続けた。



「この世界には、私意外にもう一人の私がいる。


それは多分、あの妖精のお姫さまが関わっている。


科学が、この世界だけを対象とした術式だとすれば、


この術式は、生死を超えた世界でも通用する術式の類いかも」



思惟は、思惟らしからぬ答えに驚いた。


本来の思惟なら、こんな事思うなんてことはないのに・・・


自分より知的な自分に、思惟はちょっとキュンキュンした。



思惟は、もう一人の自分に手を差し伸べた。



「自分と同じ自分を見て美しいと思うのは、自惚れだと思う?」



思惟は、もう一人の思惟に尋ねた。


もう一人の思惟は、驚いた表情をした。



それは、相手が思惟であって思惟ではない証なのかも知れない?


ただ、その驚きを思惟は感知していた。


思惟は、彼女が驚くことを知っていた。



そして、彼女もそれを感知していた・・・はず。



思惟は、未知への恐怖を振り払って、


未知の存在であるもう一人の思惟の身体を抱き寄せた。



抱き寄せられたもう一人の思惟は、ぼー然としていた。


思惟は、ものすごい一体感を感じた。


それは、 元々1つだっだ証拠なのかも・・・



2人の思惟が相手の存在を確かめ合っていると、


部屋の奥から、騒がしい声が聞こえた。




「えええええええ!こいつらめっちゃエロく抱き合ってる!」



その声の方を見ると、


数人の思惟がこちらの様子を伺っていた。







「そりゃあ、エロいさ。私自身も思うもの」



「元々一つだった者が、一つに戻ろうとする行為、


背徳の極みだね」





「こんな世界、壊したいよ。」



「キス!キス!キス!」



「枷を外した世界・・・。」



「お兄ちゃんとHしたいな♡」



「・・・・・・・・・・・・・・・・」



「冷蔵庫にヨーグルトあったよね。確か♪」




複数の思惟は、それぞれ勝手に話していた。






「どうやら私は狂ってしまった様だ」





つづく 毎週土曜日更新中((((( ( (ヽ(;^0^)/

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