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麗しき500万円分のジャンク  作者: 村崎羯諦
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 衛星は大気圏突入とともに、その大部分は消滅し、そのサイズは何百分の一スケールにまで縮小していた。しかし、その落下速度は地下鉄よりも早く、墜落に伴って生じる衝撃は、おそらく堅牢な構造を有したビルでさえも耐えきることはできないほどだった。衛星はその身を炎で包みながら、まるで吸い込まれるように地上へ向かっていく。


 遠くから地上へと近づいてく衛星は彗星のような一種の輝きを帯びていた。そのため、事情を知らない人たちの中には、その恐るべき弾丸を、青く澄んだ空とともに嬉々として写真を撮るものもいたそうだ。


 衛星は大気圏を突入した後、みるみる速度を上げて地上へと近づいていた。大気圏突入によって想定以上に大きさが失われ、大規模災害をもたらずだけの危機は偶然にも避けられることわかった。しかし、それはあくまでも当初の予測と比べての話であり、その衛星はなおも勢力を維持したまま地上へと接近しており、その破壊力は人ひとりを吹き飛ばすだけというような生ぬるいものではなく、ビル一個分を崩壊させるだけのものであった。


 現場からの報告によって、立てこもり犯以外の住民の避難は速やかに行われたことが判明したものの、このような事件は前代未聞であり、衛星が落下するその前から、事後処理担当委員会の設立が決定していた。そして一人の時代錯誤な警官一人を除き、誰もが自分ができること、及びやらなければ非難されるであろうことをやり終え、ただただ衛星落下をかたずを飲んで待つこととなった。


 そして、その段階においてはすでに落下地点の予測も極めてピンポイントとなっていた。優秀な電子計算機が導き出した、落下予測ポイントは、まさしく立てこもり事件が今発生している、銀行の真上だと指示されていた。


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