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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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雨と痺れ

次の日

この日も生憎の雨だった。月曜日というだけで疲れたのに雨まで降るとさらに疲れる。そんなことを思いながら歩いていた。しかし昨日の男は誰だったのだろう。「将軍に気を付けろ」この言葉が妙に引っかかる。殺し屋はおそらく楠田の事だろう。つまり将軍というのが楠田を雇った黒幕なのだろう。警告をしてくるのだから以前の俺か現在の男を知っている人物だろう。色々と考えていると男にぶつかってしまった。

「あ、すみません」

俺がその男に謝るとその男は探し物を見つけたような顔をしていた。

「やっと見つけた」

その男は楠田だった。俺が逃げようとした瞬間、俺の首に衝撃が走り意識を失った。


いったいどのくらい気を失っていたのだろう。気がつくと白い部屋にいた。隣では乃木が俺を見ていた。

「乃愛ちゃん!起きたのね!」

乃木は今にも泣きそうになっていた。

「あぁ、私はどのくらい気を失っていたんだ?」

「わからない」

乃木はそう言って首を横に振った。部屋を見てみると2つのベッド以外何もない。時計もないのだ。これでは今は何時なのか一切わからない。

「真理亜も楠田にさらわれたのか?」

「うん」

乃木は不安そうな顔をしていた。

「トイレとかはあるのか?」

「あそこにあるよ」

乃木が指を指した方向にはドアがあった。そこがトイレのようだ。この部屋にはドアが2つある。もうひとつのドアが出入口なのだろう。

「なるべく早く出たいな」

「うん」

すると出入口のドアから楠田が出てきた。楠田は物を見るような目でこちらを見ていた。しばらくすると話を始めた。

「本来ならすぐに殺すんだが雇い主のリクエストで殺すなって言われているんだ。逃げようなんて考えはやめておけ。万が一おまえが逃げようとしたときは殺しても良いとも雇い主に言われているからな」

楠田はそう言うと再びドアを閉めた。

「乃愛ちゃん、どうするの?」

「逃げるに決まってんだろ」

俺たちは小声で話した。今最も重要なのはどうやってここから逃げ出すかだ。とりあえずしばらくはおとなしくしていよう。

特にすることがないので俺たちはただおしゃべりをしていた。それも延々とだ。何もしないよりはよほどましなのでしていた。そして楠田は1日3回この部屋のドアを開ける。俺たちの食事を運んでくるのだ。しかもなかなかのバリエーションだ。そして俺はこの食事のタイミングで逃げ出すことを決意した。というよりそれ以外の方法は一切見当たらない。とりあえずご飯をすべて食べた。将軍の目的はいったいなんなのだろう。それされ分かればこの少女の死の真相も理解できるのではないかと思った。眠いのでベッドで眠ることにした。

眠っていると太ももに妙な感触を覚えた。まるで濡れた何かが這っているような感触だ。薄く目を開けて太ももを見てみると。なんと乃木が俺の太ももを舐めていたのだ。それだけでも驚きだがさらに驚くことになった。乃木はこんなことを喋った。

「乃愛ちゃんの汗、匂い、感情。すべて好き。すべて欲しい。どんな手を使ったって。あの人の言う通りにすれば乃愛ちゃんが私の物になる。あのアバズレも死んだし乃愛ちゃんを狙う人はいない。」

乃木が楠田を雇ったのか?そんなことを考えていると俺の太ももを舐めるのをやめた乃木は予想外の行動に出た。なんと乃木は俺の下着の中に手を入れようとしているのである。これは不味いと思い俺は急いで体を起こした。

「ん?どうしたんだ真理亜」

「え?えっと!なんだか寝苦しそうにしてたからどうしたんだろうなって思って!あはは」

乃木はあからさまに慌てていた。

「大丈夫だよ。おやすみ」

「うん、おやすみ」

乃木は少し悔しそうにそう言った。俺は再び目を閉じることにした。

起きてすぐに俺は乃木に逃げ出すことを伝えた。乃木は少し驚いていたがすぐに納得してくれた。少しすると楠田がドアを開けた。俺はそのタイミングで楠田に体当たりをして倒した。

「乃木!逃げるぞ!」

俺は乃木の腕を引っ張った。

「待て!」

起きた楠田が俺たちを追いかけた。俺たちは必死に建物を走り脱出した。外を見てみるとパトカーがノロノロと走っていた。俺たちはパトカーへと走り警察官に事情を説明した。警察官ははじめは信じなかったものの俺たちを探して建物から出てきた楠田を見つけた瞬間信じた。警察は急いで応援を呼び楠田をパトカーで囲み、楠田を逮捕しようとしたが楠田はすばやくその場から逃げ出した。俺たちは細かい事を説明するために警察署に向かった。

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