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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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押し売り詐欺

数日後

俺はとある服屋にいた。目的は勿論服を買うためだ。しかし女性の流行というものは非常に変わりやすい。これでは男性の流行なんてあって無いようなものだ。女性がどの服を買うかで大量に時間を消費するのも頷ける。

だがこの服屋少し変だ。確かに女子高生に人気の服屋とネットに書いてあったが服が、特に店員の色使いが独特なのだ。虹色のような民族柄のようなとにかく奇抜な服装だった。今どきの十代はこんなにも凄まじい格好をするのか?俺の頭にそんな疑問が浮かんだ。

「そんな地味な格好ダメだよ。せっかくかわいい顔してるのに」

虹色の髪をした女性店員が馴れ馴れしくそう言ってきた。今の俺の服装はモノトーンで統一している。大概の場所で不自然にならないようにしていたがそれがこの服屋ではナンセンスらしい。

店員は俺に似合う服を色々と教えてくれた。とりあえずその服たちを試着してみたがやはり奇抜だ。

「似合ってますねぇ!これでかわいい女の子になりましたよ!」

店員はそう俺を誉めたが俺から見てこの格好はまるで道化師のようだった。あまり可愛くはない。

「そうですか?」

俺は空気を読んでそう言ってみた。するとあれよあれよと服やスカートを買わされてしまった。買ってしまった自分に少しだけ怒りを感じた。こんな変わった服をなぜ買ってしまったのだ。俺は自分を情けなく思った。帰りに全国チェーンの服屋に寄って無難な服などを数点購入しマンションに帰った。

「これは・・・奥にしまうか」

マンションに帰った俺は買ってしまった奇抜な服をクローゼットの奥に仕舞った。おそらく二度と着ることはないだろう。そもそも服を買う必要など無かったのだ。今になってクローゼットをよく見てみるとたくさんの服たちが丁寧に収納してあった。つまりは今日の買い物は徒労だったのだ。よく確認しなかった自分が悪い。奇抜な服のお金は授業料と思うことにした。

「さて、テレビでも見るか」

しばらく特番に夢中になっているとスマートフォンが振動した。この振動の仕方は電話だ。スマートフォンには乃木と表示されていた。電話にでると乃木は早速質問をしてきた。

「ねぇ、乃愛ちゃん。明日って暇?」

「暇だけど、どうしたんだ?」

「明日映画観に行こうよ!みたい映画があるんだ。後で乃愛ちゃんが観たい映画も観て良いから、良いでしょ?」

「乃木は何の映画を観たいんだ?」

乃木は今人気の俳優が出演する恋愛映画のタイトルを言った。おそらくその映画も壁ドンだとか顎グイとかが満載なのだろう。

「良いよ。じゃあ明日観に行こうか」

「ホント?乃愛ちゃんありがとう!乃愛ちゃんは何の映画が観たいの?」

俺は実話を元にした戦争映画のタイトルを言った。

「う、うん良いよ。観に行こう」

乃木の反応はイマイチだった。まぁ恋愛映画を普段見る奴はおそらく戦争映画は観ない。俺だって恋愛映画は観ない。そんなものだ。

「じゃあ明日ね」

「わかった。おやすみ」

「おやすみなさーい」

電話は切れた。俺もこの番組を観終わったら寝るか。そんなことを考えながら再びテレビを見始めた。

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