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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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自慢げな凶器

数日後

俺は今学校の応接室にいる。俺の横には医者が。反対側には売春婦3人組の親たちがソファーに座っていた。つまりはあの売春婦たちが自分の都合が良いように親に報告したのだろう。

「あなた、私の娘に何か言う事があるんじゃないかしら?」

親のひとりが俺にそう言った。

「『避妊はしておけよ』ですか?」

するとその親は顔を真っ赤にした。

「なんですって!うちの娘がそんなことをするはずがない!」

「証拠をみせなさい!証拠を!」

別の親がそう叫んだ。

「いやいや、証拠もないのにそんなことを言うはずがないじゃないですか。これをどうぞ」

俺は親たちにいくつかの写真を見せた。それは売春婦が中年の男とホテルに入っていく様子の写真だ。しっかりと3人分ある。

数日前

「久遠さん、写真は撮れました。やはりあなたの予想は当たっていたようですね」

「そうですか。ありがとうございます」

俺は探偵を雇って写真を撮らせたのだ。いつか売春婦たちの親が学校に来ると予想していたからだ。

「では、成功報酬を」

「分かりました」

俺は探偵に封筒を渡した。

「それではまた増山リサーチをご利用してください」

探偵は手をひらひらさせながら部屋から出ていった。やはりこういった事はプロに任せるべきだったな。我ながら良い選択をした。

現在

「そんな、うちの娘が」

「あり得ない」

「嘘でしょ」

3人の親はそれぞれショックを受けていたようだ。そこに担任がとどめを刺してきた。

「傷心中悪いのですが、あなた方の娘たちはほかの生徒に嫌がらせをしていると多くの生徒から報告があったのですが」

担任はそう言うといじめの証拠を大量に出してきた。この教師は今どき珍しいタイプのようだ。

「久遠、君はもういい。教室に戻りなさい。保護者ももう大丈夫です。迷惑をかけてしまいましたね」

「いえいえ、姪のためなんですから。でも姪もよくこんなに証拠を集めました。すごいですよ」

医者は担任にそう言った。そして俺は教室に戻った。

教室に戻るとやけにざわついていた。俺が戻ってきたことに気が付くと色々質問してきた。あの親たちに何かされたのか。結局どうなったのか。とにかく色々聞かれた。俺はその事を単純に説明した。すると教室のみんなはざまぁ見ろとでも言わんばかりの笑みを浮かべていた。みんななにかしらの事をされていたのだろう。しばらくすると担任が戻ってきて授業が再開した。

放課後

「乃愛ちゃん、大丈夫だった?」

乃木は心配していたようだ。

「別に大丈夫だよ。あんなやつら大したことない」

「乃愛ちゃんは前より強くなったよね」

「そうなのか?」

「うん。前もキレイだったけどまるで花みたいにか弱い感じがしたもん。でも今は違う。今はすごく芯が強くなった気がする」

「そうか。ありがとうな」

「フフッ。どういたしまして」

乃木との友情が前より深まった気がした。

2週間後

売春婦3人組が自主退学をした。あいつらの面倒な親が俺のおかげで機能停止をし売春婦3人組の被害者たちが逆襲を始めたのだ。モンペアという強力な後ろ楯を失った売春婦3人組は以前の勢いを無くし、まるで自分たちが被害者になったかのように退学したのだ。

「もうあの3人から嫌がらせを受けることはないね」

乃木は安心したような顔をしていた。今まで様々な嫌がらせをされていたのだろう。乃木は他の被害者が逆襲をしている中、唯一逆襲をしなかった。理由を聞くと他人にされた事と同じことをしたらそいつらと同じになるからだそうだ。

「今でもあいつらの行方を探してる奴がいるんだろ?」

「おかしいよね」

乃木は少し不愉快そうな顔をしていた。

「そいつはあいつら以下かもしれないな」

「そうだよ!もう終わったのにまだ続けるなんて狂ってるよ!」

乃木は若干興奮気味になっていた。俺が乃木を落ち着かせると乃木は違う話題に移った。

「そういえばあの女子高生を殺した犯人、誰だかわかったらしいよ」

「なんて名前なんだ?」

「楠田健治、昔女子中学生を殴って捕まった最低な人物よ」

「それで、その楠田って奴は捕まったのか?」

「まだ逃走中だって」

「怖いな」

「私たちも気をつけないとね」

乃木は心配そうな顔だった。

「そうだな」

俺はそう返事をした。その返事にこっそりと勇気を混ぜて。

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