プロポー・・・ズ?
「ところで、」
総理は山猫を見ながら椅子に深く座った。
「どうしました?総理」
「なんで君は山猫と言われているんだね?」
総理の質問は今さらといった感じの質問だった。
「山根幸太郎って名前だから山猫っていわれるんですよ。それだけです」
「山猫、それだけじゃないだろ?それじゃ普通過ぎる。音を立てずに歩けるから山猫だろ?」
「久遠、それは山猫ってアダ名の付いた後の話だ」
「そうなの?」
そのやり取りを乃木は楽しそうなのか参加したそうなのかどっちつかずな表情をしていた。
「乃木、どうしたんだ?」
「乃愛ちゃんの驚いてる顔もかわいいなって思ってね。チューしても良い?」
「後でな」
「え~!今しようよ!」
乃木は買って買ってとおねだりする子供のようだった。
「乃木、今は仕事中だろ。我慢してくれよ」
「良いじゃないか久遠。キスくらい」
総理はこの状態を楽しんでいるようだった。この総理は俺の今まで思っていた政治家のイメージとは大分違っていた。今までの総理より若い分考えも違うのだろう。
結局乃木と数分間、いつも家でしているようなキスをした。他の人に見られているとここまで照れくさいものだとは思わなかった。
「乃木、もういいだろ?」
「あと1回して」
俺は仕方ないなと言いながらもう一度キスをした。
真実の愛とは一体何なのだろう。俺は乃木とキスをする度にそれを考えてしまう。俺と乃木は世間一般からしてみればレズビアンだ。俺の脳が男だということは一部の奴らしか知らない。そして、この体になってから知った。この少女の同性愛者としての苦しみ、葛藤。この少女の苦しみを俺は嫌というほど知った。
「あぁ。この法案は俺の望みでもあったのか」
気が付くとその言葉が口から出ていた。
「どうしたの?乃愛ちゃん」
「乃木!やっとわかったんだ!」
俺は乃木に抱き付いた。
「乃愛ちゃんからなんて珍しいね」
「乃木!俺はわかったんだ!」
「何を?」
「色々だ!乃木!この法案が決まったら結婚しよう!」
「それは、プロポーズ?」
「まぁ、そうなるな」
すべて言ったあとに自分の台詞の臭さに恥ずかしくなってきた。
「よっ!ご両人!」
山猫は俺と乃木にピースサインを見せてきた。
「茶化すな!」
山猫にそう言うと総理は拍手をしていた。
「私は日本中の同性愛者の為にもこの法案を可決させる。例え死んだとしても」
「いえ、死なせませんよ。俺たちが総理を守りますから」
「久遠。頑張れ」
山猫は俺にそう言った。
「当たり前だ」
「乃愛ちゃん、新婚旅行はどこに行く?」
「結婚してから決めよう」
「だね!」
官邸前。
「なんだね君は」
警備員は明らかに怪しい男にそう聞いた。男はニット帽を深く被っている。
「正しくする者だ」
男はそう言うとナイフで警備員を刺した。警備員の腹からは血が流れ出しその場に倒れ込んだ。他の警備員達が男を取り押さえようとするとそれを避け官邸に侵入してしまった。
「官邸に武器を持った男が侵入しました!繰り返します!官邸に武器を持った男が侵入しました!」
警備員達も官邸に走っていった。するとその後をついていくかのように先ほどの男のような数人の男達も官邸に入っていった。




