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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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百合の花と血の雫

次の日

本屋で面白そうな本を探しているとこの少女と同じくらいの少女が俺の方に走ってきた。

「乃愛ちゃん最近学校に来てないけどどうしたの?」

どうやら同級生らしい。

「うん、まぁね」

俺は曖昧に返事をした。

「でも乃愛ちゃんが元気そうで良かったよ!学校にはいつ頃来るの?」

「11日には行く」

するとその少女は不思議そうな顔をしていた。

「なんだかしゃべり方が変じゃない?どうしたの?」

俺は記憶が飛んでいてしゃべり方も忘れてしまったと説明した。

「なるほど、それは大変だね。あ、私の名前は乃木真理亜だよ」

どうやら乃木は親切らしい。その後は適当に話をし、文庫本を何冊か買ってマンションに戻った。

マンションに戻った俺は何かこの娘に関することがないか部屋を調べた。すると一冊の日記帳が見つかった。

「6月3日

私は今まで好きだった桃子ちゃんに告白をした。彼女は女の子が女の子を好きになるなんて気持ち悪いと言って断られた。これで何度目だろうか。私は何十年も自分の気持ちを押さえつけなければいけないのだろうか」

自殺の原因はこれだったのだろうか。しばらく読み進めていくとそれは違うことがわかった。

「6月31日

初めて私の気持ちを受け入れてくれる人が現れた。梨里ちゃんも同じような経験をしてきたらしい。来週は七夕。ふたりとも織姫だねって言ったら梨里ちゃんは優しく微笑んでいた。七夕の夜は晴れて欲しい」

どうやら彼女ができたらしい。

「7月7日

今日は七夕だった。今日の夜に会おうと約束したのに梨里ちゃんはいつまで経っても来なかった。やっぱり私のことを受け入れていなかったんだ。これならはじめから拒絶してくれたほうがましだった」

やはり恋愛が原因か?

「7月8日

テレビを点けてみると女子高生が行方不明になるという事件が報道されていた。テレビに映っていた女子高生は梨里ちゃんだった。梨里ちゃんは昨日の夜に行方不明になったらしい。梨里ちゃんは約束を守っていたんだ。私はなんて愚かだったんだ。私はその日梨里ちゃんを探したが見つからなかった。どうか無事でいて欲しい」

それから1週間は梨里という女の子を探しているようだ。

「7月15日

梨里ちゃんは見つかった。私が河川敷で梨里ちゃんを探していると何かが腐ったような臭いがした。臭いの方へ行くとそこには梨里ちゃんの死体があった。梨里ちゃんの死体は傷だらけでボロボロになっていた。私はすぐに警察に通報した。警察が言うには梨里ちゃんは刃物で何回も刺されて死んだという。そして警察の人は私に梨里ちゃんが持っていた短冊を見せた。そこには『乃愛ちゃんとずっと一緒にいられますように』と書いてあった。私は泣き出してしまった。涙が枯れるとその後は梨里ちゃんを殺した犯人に対する怒りがわきだしてきた。梨里ちゃんを殺した犯人を殺してやる!」

その後はひたすら犯人を探しているようだった。しかし8月以降の内容はめちゃくちゃな字になっており読むことができなかった。とりあえずわかったのはこの娘は同性愛者で自分の彼女が殺されてその犯人を探しているということだけだった。怒りで一杯になっているのならまず自殺をするはずがない。果たしてこの娘は本当に自殺だったのだろうか。真実はおそらく梨里という女の子を殺した犯人が知っているはずだ。とりあえず腹が減ったので夕飯を食べた後にこの事件について調べることにした。

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