朗報
「あのふたりのコンビネーションは素晴らしかったね」
乃木はいまだに回収班のふたりに感心していた。この台詞ももう6回は聞いている。同じ台詞を話す人は台詞に飽きないのだろうか。俺はそう思いながら文庫本を読みつづけた。
「でも、コントはつまらなかったな」
「確かにね」
乃木はその後も先程の台詞を2回程繰り返した。余程その台詞が気に入ったのだろうか。確かに乃木のいう通りふたりのコンビネーションは素晴らしく。阿吽の呼吸という言葉が似合うふたりだった。
「ねぇ乃愛ちゃん知ってる?」
「何を?」
「あのふたり双子なんだよ」
「それは初耳だ」
「でもあんまり似てないのはなんででしょう」
乃木はクイズを出すように言った。
「二卵性だからだろ?」
「正解!さすが乃愛ちゃんだね!」
「そのくらい分かる」
俺は何故か見くびられているように感じてしまった。
「乃愛ちゃんは何人子供が欲しい?」
「誰との?」
「私との」
キャッと乃木は小さく言い顔を赤らめた。
「あのな、女どうしでは妊娠は不可能なんだ」
「でも妊娠って字には女がふたつ入ってるよ?」
「何故言葉遊びを始める」
「言葉遊びじゃないもん!本気だもん!」
頬を膨らませながら乃木は言った。すると乃木は俺を押し倒して「今から証明するね!」と言った。
「いや、無理だろ」
「夢は叶うもの!」
そう言うと乃木は俺の衣服を剥いだ。全裸になった俺を見ながら乃木は息を荒くさせていた。
「突撃ー!」
乃木は全裸になり俺に抱きついた。乃木はただ単に俺と行為をしたいだけではないだろうか。
「乃木、お前はただしたいだけなんじゃないか?」
「バレた?」
「バレバレだ」
俺は乃木にキスをした。
結局俺と乃木は朝まで行為に及んだ。しかし乃木に回数を減らす交渉をしていたのでおよそ1週間ぶりだった。
「久しぶりだったね」
全裸の乃木が耳元でそう囁いた。
「今日は指令部に行こうよ」
「どうしたんだ?急に」
「ふっふっふ。乃愛ちゃんがびっくりすることがあるんだよ」
「俺が驚くこと?」
俺が驚くことを俺は思い付くことができなかった。
指令部
「久遠、この資料を見てくれ」
山口司令が俺に立派なファイルを渡した。乃木の言った通り俺はある程度驚いた。
「同性婚法案」最初のページにはそう書いてあった。同性愛アレルギーの日本でまさかこの法案が出るとは思わなかった。
「司令、何故これを俺に見せたんですか?」
「君たちの他にもうちの組織には同性のカップルが意外に多いんだ。つまりこれは組織全体での朗報になる」
「そういうことですか」
「乃愛ちゃん!この法案が決まったらその日のうちに婚姻届を出そうよ」
乃木はハイテンションになっていた。
「その時になってからそういうことは決めよう」
「そうだね!」
乃木の笑顔には一切の曇りが無かった。




