二輪の花
「ッ・・・!」
キスをしてきた乃木はそのまま舌を口の中に入れてきた。乃木の舌は俺の舌に絡みつきニュルニュルと動いている。しばらくして乃木は俺の口から舌を出した。
「乃愛ちゃんの唾液、美味しい・・・」
乃木は恍惚とした表情をしている。すると次は俺の下腹部を触ろうとしてきた。俺の貞操が危ない!そう思ったタイミングで俺の体は完全に 起き、乃木を押し飛ばした。
「乃木、なぜこんなことをする」
「乃愛ちゃんが好きだから」
乃木はまだ興奮している。
「好きだとしても相手の同意を得ないセックスはセックスじゃない。レイプだ」
「でも、」
「でも、じゃない」
「私は乃愛ちゃんのことが大好きなんだよ?」
乃木は今にも泣きそうになっていた。これでは俺が泣かせてしまったようではないか。そう考えているうちに乃木の目からは涙がこぼれ始めた。
「あぁ!めんどくさい!」
俺は半ば自棄になって乃木にキスをした。その上、舌まで入れてしまった。
そのキスは数分間に及び、お互いに抱き合っていた。
「本当は私のことが好きなんだよね?」
「まぁ、そうなるかな」
俺は頭で思っていたことと全く真逆の言葉を発してしまった。
「男、久遠乃愛!最後まで責任を取らせて貰う!」
俺は腹を括った。
「乃愛ちゃんは女の子でしょ?」
「体はだ。脳は男だ」
「私はどんな乃愛ちゃんも好きだよ」
「乃木・・・」
これが俺の本心なのだろうか。頭に言葉が浮かぶ前に口から出てくる。
そして俺と乃木はベッドに倒れた。
「乃木、痛くないか?」
「うん。大丈夫だよ」
「乃木、すごいトロトロだな」
「乃愛ちゃんが好きすぎて」
「そうか」
「ふふっ、おかえし」
「ひゃう!」
「乃愛ちゃんはここが弱いんだね。乃愛ちゃん、すごく可愛いよ」
「んっ・・・アッ」
「ヒウッ!」
「の、乃愛ちゃん!」
「真理亜!」
「大好き」
「俺もだ」
「あぁん!アァァァァ!」
「アァァァァ!」
部屋中に響くふたりの声。その声はまるでふたりの間に出来ていた壁を壊すようだった。
気がつくとカーテンの隙間からは優しい朝日が染み込み、朝の訪れを俺と乃木に伝えてくれた。
「乃愛ちゃん、おはよう」
「おはよう。乃木」
俺は乃木にキスをした。
ピリリリ!ピリリリ!
その時乃木スマートフォンからは着信が届いた。
「はい、乃木です。はい、はい、あ、そうなんだよかったじゃん。切るね」
「なんか良いことでもあったのか?」
「それは昨日の夜でしょ?」
「それ以外で」
「あの副大臣が情報を吐いたって」
「それは良いことだな」
「なんかヤクザを経由してアジア各国に売ろうとしていたみたい。でも調査したらどの武器もまだ輸出されてなかったって」
「よかったな」
「本当にね」
乃木は俺にキスをした。
「じゃあ今日は」
「なんだ?」
「黒猫部隊について詳しく勉強しようね」
「頑張るかな」




