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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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紛らわしい行い

防衛省前

再び電車に乗り建物から出ると11時を過ぎていた。まずい。今の俺は未成年だ。深夜徘徊になって補導をされてしまう。それに駅からマンションまでの道には交番がある。そこを通らないとマンションには帰れない。

「どうしたものか」

思っていることが口からもれてしまった。すると乃木は「どうしたの」と聞いてきた。

「今日はマンションに戻れないんだ」

「どうして?」

「帰り道には交番があるから」

「じゃあ、今日は私の家にくる?」

「良いのか?」

「もちろん」

乃木はまるで俺が乃木の家に行くのを期待しているようだった。

「じゃあお言葉に甘えて」

「じゃあ行こう」

乃木はそう言うとタクシーを止めた。

「○○まで」

「○○ってビル街じゃないか」

「乃愛ちゃん、あの建物全部が会社じゃないんだよ」乃木はニヤニヤとしていた。

「それは知ってるけど」

「まぁ乗ろうよ」

既にタクシーに乗っている乃木に急かされて俺はタクシーに乗った。

数十分後

そこは数日前朝の情報番組でやっていたセレブが多く住むタワーマンションだった。

「乃木、ここって」

「うん。成金ばっかりが住んでるマンション」

乃木は少しうんざりした顔をしていた。

「家賃なかなかだろ」

「あの組織は給料をたくさんくれるからそうでもないよ」

「どのくらい貰ってるんだ?」

「国会議員より少し少ないくらい」

「それってかなりじゃないか」

「まぁ早く入ろうよ」

「だな」

エレベーターの着く階数はかなり上層階を示していた。数分ほどエレベーターに乗っているとエレベーターは目標の階に到着をし、ドアを開けた。

「ここが私の家だよ」

乃木はひとつの立派な扉を開けた。その部屋は白い壁を持つ広い部屋だった。家具はすべて白で統一されており無駄な装飾はすべて省かれていた。かなりスマートな部屋だ。しかし普通の女子高生の部屋には無さそうな物があった。なにやら怪しげなファイルが数十冊ほどあるのだ。しかもそのファイルたちには国名が書かれており国別にまとめられている。

「このファイルってなんなんだ?」

俺は乃木にそう聞いてみた。すると乃木は「要注意人物とか団体とかが乗ってるファイルだよ」と簡単に教えてくれた。

「観ても良い?」

「乃愛ちゃんはまだ正式に組織に所属したわけじゃないからダメだよ」

「だよね」

「でも明日から正式に所属することになるから嫌でも閲覧出来るようになるよ」

「嫌でも?」

「新人の最初の仕事は自分の担当する要注意団体のファイルの内容を覚えることだからね」

「もしかして乃木はこのファイル数十冊分の内容を暗記してるのか?」

「まさか」乃木は笑った。

「これだけだよ」

乃木はファイルを本棚からすべてとりだし奥の金庫を開けてひとつのファイルを出して俺に見せた。

「これだけだよ」

「じゃああのファイルたちはなんなんだ?」

「あれは安いファイルにたくさんの白紙を挟ませただけの偽物だよ」

乃木は笑って答えた。

「木を隠すなら森ってか?」

「そう言うこと」乃木は満足にファイルを金庫にしまった。

「でも片付けるのも大変そうだな」

「片付けるの手伝って」

「分かった」

俺と乃木はふたりで偽物のファイルを本棚に戻した。

「とにかく今日は疲れた。色々と知ることがあったから」

俺はそう言いながらソファに座った。

「早速くつろいでるね。まぁ乃愛ちゃんだから良いけど」

乃木は俺の隣に座った。

「お疲れ乃愛ちゃん」

乃木は俺の腕を抱いた。

「でも明日から本格的に仕事が始まるんだろ?」

「まぁ仕事の大半は現地での調査だから大丈夫だよ。それにその仕事もふたりでやるし」

乃木は猫が甘えるようにそう言った。

「でも今日はひとりだったろ?もうひとりはどうしたんだ?」

「最近死んだ」

「死んだ?なんでだ?」

「楠田が殺した」

それを聞いたとき俺はひとりの人物しか頭に思い浮かばなかった。

「乃木、それって」

「そう、白石梨里。だから楠田が死んだときはすごく嬉しかった」

「でもなんで楠田は白石を殺したんだ?」

「楠田は元々私に気があったから協力をした。そして白石が邪魔だった。だから殺した。私と乃愛ちゃんに監禁紛いの事をしたのも恐らく私に何らかの事をするため。でも乃愛ちゃんのお陰でそれは回避できた」

「その後に楠田は誰かに殺されたと」

「そういうことになるね」

「まぁ因果応報だろうな」

「良い気味だよ。それより乃愛ちゃん」

乃木は心配そうに俺を見つめている。

「どうしたんだ?」

「すごく眠そうだよ?」

「そうか?別になんともないけど」

「いいや!すぐに寝たほうが良いよ」

乃木は寝ろとでも言わんばかりだった。

「だって寝たら私の太もも舐めるじゃん」

「もう舐めないよ!」

「じゃあ良いけど」

俺はソファで横になった。

再び目を開けると朝になっていた。ソファで寝ていたはずだがなぜだかベッドで寝ていた。寝ながらベッドに移動をした筈がない。それに横を見てみるとシースルーのランジェリーを裸に直接着た乃木が気持ち良さそうに眠っていた。

「おい!」

俺は乃木を叩き起こした。

「昨日はお楽しみでフヘヘ」

「何がフヘヘだ。太もものときより悪化してるじゃねぇかよ」それに自分の体を良く見てみると下着だけになっていた。

「乃愛ちゃんの肌ってすごくきれいだよね」

「私の肌を誉める前に言うことがあるだろ」

「・・・ごめんなさい」乃木は少し不満そうだった。

「まぁ二度とやるんじゃないぞ」

「わかってるよ」

「まったく」

俺は床に落ちている自分の服を着た。

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