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偏在の理想ボーイ幻覚の普通ガール  作者: キャボション
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地下鉄

数分後

「重い!」

俺と乃木は5階からスパイの入った袋を運んできた。こいつ、細い見た目に反してなかなか重い。

「なんでこいつこんなに重いんだ?」

「あぁ、多分薄い防弾ボードを服の下に仕込んでるんだよ。薄いっていってもなかなか重いんだよ」

乃木はさらりと答えた。やっと3階だ。この階段をあと2回も降りるのか。そう考えると余計に疲れてしまう。再び数分間階段を降り、やっと学校の校庭に出た。

「あぁ、重かった」

「お疲れ乃愛ちゃん。でも人を運ぶのはほとんど無いから安心して」

乃木は穏やかな顔だった。

「どういうことだ?」

「こういうのって回収班の仕事なんだよ」

乃木は得意気だった。

「回収班?なんだそれ」

「まぁ、指令部に戻ったら色々と説明するよ」

その時校門が開きワゴン車が入ってきた。ワゴン車は俺たちの前に止まり車からはガタイの良い男がふたり降りてきた。するとその男たちは「乃木さん。お疲れ様です」と言った。

乃木は「うんお疲れ。じゃあこいつ運んでって」とふたりに言った。

「了解しました」

男たちは手際よくスパイを車に押し込んで走っていった。

「じゃっ!行こっか!」

「本部にか?」

「うん!」

俺と乃木は夜の道を歩いていった。

歩き電車に乗りタクシーに乗っているととあるビルの前に着いた。このビル、どう見ても防衛省である。

「乃木、ここって」

「うん。防衛省だよ」

乃木は当たり前のようにそう言った。俺と乃木はそのビルに入り、地下に入っていった。するとそこにはスパイ映画に出てきそうな秘密の地下鉄道の駅があった。

「これは?」

「駅だよ」

乃木はクスクスと笑っていた。

「そう言うことじゃなくて、この電車はどこに繋がってるんだってことだよ」

「あぁ、そゆことね。この電車は全国にある陸海空自衛隊のいろんな駐屯地や基地に繋がってるんだよ」

「日本版MI6みたいな感じだな」

乃木は感心するように「乃愛ちゃん鋭いね」と言った。

「でも外国みたいに公にはしない。そんなことをする必要は無いから」

「そうなのか?」

すると電車が走ってきた。

「ほら!電車が来たよ!乗ろっ!」

電車のドアが開くと乃木は俺の腕を引っ張り電車の中に入った。

「この電車はどこに向かってるんだ?」

「朝霞駐屯地の地下150メートルだよ」

「そんな地下深く!」

「一応、極秘の組織だからね 」

そんなことをこんなにペラペラと話して良いのだろうか。そう考えていると乃木は俺の目を見ながら「それに新しい司令官が乃愛ちゃんを連れて来いって言ってたし多分スカウトだと思う。だからこんなにペラペラと話してるんだよ」と言った。

「そういえばさっきのやつらはなんなんだ?」

「部下だよ。あのふたりは回収班」

「すると乃木は結構上なのか?」

「そうでもないよ。会社の課長くらいだよ」

「それある程度上じゃないのか?」

「そうかなぁ。あっ!ちなみに組織の名前は日本国治安維持部隊だよ。覚えてね。これから乃愛ちゃんも入るんだからね」

「わかってるよ」

しばらくそんな会話をしていると電車が止まった。

「あっ!着いたね!降りよ!」

乃木は再び俺の腕を引っ張って電車から降りた。目の前にはエレベーター以外何もなかった。

「さっ!このエレベーターに乗るよ!司令官も待ってることだし」

「そんなに慌てないでくれ」

俺と乃木はエレベーターに乗った。

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