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怪奇! “陣内正一”の謎を追え!

 ハイジさん、マスカラスマン、桜井と食事に行ってサークル会室に戻ると良崎、星野、雨宮さんの女子陣が陵南高校バスケットボール部のディフェンスのように腰を下ろして緊迫して周囲を警戒していた。


「やっと戻ってきましたか男子陣……。この会室に泥棒が入ったみたいです」


「泥棒?」


「ええ。茶棚のお菓子と冷蔵庫の飲み物と隠し金がなくなってます。しかし犯人にはアテがあります。ねぇ、陣内さん」


「んあ?」


「コレですよ」


 良崎が会室の作戦板を指さした。


「犯人は名前を書いていきました。“陣内正一”です。やりそうですねぇ……あの人の家族ならこういうイタズラは……被害額がすくねぇイタズラは犯罪じゃないとか言って。しかし一族に染み付いた調子コキの血筋は否めないようです」


 うむ、確かに“陣内 正一”と書いてある。しかし正確には




 と縦書きである。


「さぁて陣内さん。この陣内正一、あなたのお父さんですか? 名前に数字も入ってますし。正直に話しましょう」


「陣内、お菓子と飲み物まではまだギリよくても隠し金まではダメだろ」


 星野もムムム顔。さすがに金が絡むトラブルは星野も手堅くキッチリカタをつけたいようだ。


「……」


 しかしハイジさんと桜井のムムム顔のムムム具合、渋さは女子陣のそれの遥か上を行くムム渋さ!


 …

 ……


~約1時間前~


「よぉし桜井! 今日こそお前に勝つからな。おぉい桜井! コントローラー持て! 勝負だ!」


「いいでしょう!」


~約55分前~


「おいマジか……お前はどれだけこのゲームやりこんだんだ?」


「フフフ、俺のプレイ時間を知ったところで勝てるわけではありませんよ陣内さん!」


~約50分前~


「くっ……桜井……悪いけど、次からスーパーサイヤ人は2までにしてくんないか?」


「フフ、ハンデはその程度でいいんですか?」


~約45分前~


「ああもうクソッ! こうなりゃヤケだ! 桜井! 界王拳と元気玉もナシにしてくれるか!?」


~約40分前~


「悪いけど悟空使わねぇでくれるか?」


~約35分前~


「悪いが栽培マン以外使わねぇでくれるか?」


「おい陣内、お前恥はないのか恥は。そんなで勝って嬉しいか?」


「てめぇみたいに一度も勝ったことがないような負け犬野郎と違って俺は勝ちの尊さを知ってるんだよザコ仮面」


「なんだと? 言ったなこの野郎。お前はすでにこれだけ負けてるんだぞ!」


陣  桜

内  井



「5連敗だぞ5連敗!」


「相手が桜井と言えどさすがに栽培マンには負けねぇわ。負けたらテメェら全員今日の飯奢ってやるよ。桜井もいくらでも食わしてやるよ」


~約30分前~


「陣内の6連敗だな。よっと。おいおいこれヒドいぞ。女子にも見せてやろう」


陣  桜

内  井



「やべぇ、ちょっと手持ち足りねぇから隠し金使うわ。また足しとくから」


「ああ。承認は事後でいいだろう」


「足すから、また足すから……」


「そう落ち込むなよ」


 ――“陣内 正一”




~現在~


 これ犯人俺たちだ! 隠し金の使用も許可しちゃってるし! そして6連勝した桜井は学食で負い目なくを3000円分も食った! 今回の俺たち全員の食費の5割が桜井の分! 俺たちはその堂々ったる勝者の食いっぷりを称賛さえした!


「陣内家ってそんなにヤバイやつらばっかりなの?」


「陣内さんを見ればわかるでしょう。ただ、妹の二子ちゃんは相当マシな人です。あんな風にいつまでも大学でのうのうと好き勝手暮らしている人を兄に持ちながら、彼女は高卒で働いてまっとうに暮らしていました。しかし4年間セクハラされ続けスーパー陣内に目覚めてしまうほどストレスが溜まり、仕事を辞めてしまいました。今はガス抜きとして心身のリハビリをしていますが真面目すぎる性格で失った青春時代を今過ごしているだけなんですよ、二子ちゃんは。しかし兄はああですから。ねぇ? 正一さんは、一の字なんで弟さんではないでしょうが、お父さんとか従兄弟でしょうか? やっぱり陣内一葉さんぐらいイタズラ心あふれる破天荒な方ですか?」


 顎に手を当てていた名探偵リーベルトがその顎に当てていた手を陣内さんに向けて自供を促す。


「……んまぁ、俺も全く働いていないわけじゃなく家の仕事はそこそこ主力としてやってるしね?」


「陣内、かばうなよ。身内を売れない、身内を恨めない気持ちはわかるけど、金のことはキチッとしないと」


 星野も柔の方向から自供を促す。


「あの隠し金は確かに陣内さんにとってはとるに足らない端金かもしれませんが、わたしたちのいざという時の大切なお金なんです」


 雨宮さんからは蔑と嘆の方向から!


「……ツー」


「ほらマスカラスマンも困ってますよ」


 そもそも隠し金はいざという時に誰が使っても後に報告して承認されればいい陣内さん全額負担のものだ。正直な話この中で一番隠し金を好きなように使ってもいいハイジさんが少し使っただけでこの扱いでしかも一族(二子ちゃんさん除く)がダメ人間扱い! しかし金の管理に厳しく目を光らせていた女子のジャッジは想像以上に厳格! しかも女子陣は聞かなかったが俺たちは隠し金を使う陣内さんが「すぐ足すから」罪悪感たっぷりで言ってるのも聞いているし実際陣内さんはさっき隠し金に足す分の金を下ろしていた。


「陣内さん……そうですか、ガッカリです。しょうがないです。このことは鬼畜お姉さんに報告します」


「ま、待て!」


 そして我々男子陣は事をいきさつを全て女子に説明した。“陣内 正一”は「陣内6連敗」を示すものだということ、隠し金はすぐ足すつもりでもうお金も調達していること……。鬼畜お姉さんの名前を出されたので急いでがっついて自供みたいなかたちになったがいきなり決めつけてかかった女子も悪いと思います、ということは控えめに主張。ハイジさんのみならず陣内家全体をディスった女子陣からは正式な謝罪の言葉があったがそもそも謝罪が発生するような大きなことではなく、すぐに言い出せなかった男子陣も流れで謝罪することになりその日はなんとなくいつも我々を支えてくれるハイジさんに感謝の気持ちを持ったまま言葉少なに全員が帰路についた……。


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