悪役令嬢→王妃に?!
悪役令嬢モノです。ご指摘を頂き、かなり修正させて頂きました。
私はマリアベル・ホーカス公爵令嬢と申します。いや、元と言った方がよろしいでしょうか。何故元なのか、それを今からお話し致します。
私は幼き頃より王妃教育なるものを受けさせられていました。帝国が隣の小さな国とはいえ、王妃教育はあるのです。そして、受けさせられていたんです!大事な事なので二回言いました。勉強から何から何まで、全てです。頑張りましたとも。ええ。学園生活も良好でした。生徒会に入ったりもしました。婚約者の第一だか、二だかの王子ともそこそこ上手くやっていました。彼が王太子になった時には共に喜び、立場が危うくなった時には共に努力し、とにかく、苦楽を共にしたのです。
ですが!
急に現れたナターシャ・アラベスク男爵令嬢は王子らを虜にしていきました。ぷっくりとした桜色の唇。ぱっちりとした二重瞼の紅い目。軽くパーマがかかった桜色の髪。優しい性格。何よりも、私には無い、大きな胸。そりゃあ虜になるでしょうよ!ケッ!…失礼。荒ぶってしまいました。
だから私は目障りだったようです。ナターシャ・アラベスクと周りの人々にとっては。(全員生徒会役員です。王太子は会長でした。)生徒会でも提案書はおろか小さな意見までも通らず、寮の部屋は荒らされ、授業は妨害される。
そう!生徒会の意見は生徒達が出してきた意見を提案書にしたのは私です!だってアイツら仕事しねぇんだもん。生徒の意見通さないとかおかしくね?…オホン!寮は相部屋です。私は良いんですけれど、相手の方の方まで荒らすなんて。泣いてましたよ。あと、授業妨害とか人間としてどうよ?
ってな訳で、生徒の皆さんのお力添えもあって断罪に踏み出すことにしました。断罪とは王族が使える特権です。私は公爵令嬢で王太子の婚約者なので行使できます。そして、学園追放にしていきました。断罪をするときには理由を公表しなければいけないですが、それが認められなければ不服とすることが可能です。今回は生徒会役員と彼女以外の署名ほぼ全てを集めたので不服とすることが出来ません。つまり万全の体制で挑んだのです。
「あら?私たちに逆らうおつもり?」
私はそうやってナターシャの周りの人々を断罪していきました。だって万全の体制で挑んだのです。私たちに逆らう事など許される筈がないですもの。でも、私が王太子に断罪されました。王太子にそんな頭があったとは…不覚です。あ。聞かなかったことにしていただけますか?
「お父様に許可して頂いて、書状まで作っていただいたんだ。ここまですればお前も不服にできないだろ?
“マリアベル・ホーカスを断罪及び婚約破棄する!また、マリアベル・ホーカスはツルヴェンターン帝国の預かることとし、同帝国の王妃となることを条件とする!”
何だコレ。」
後に聞いたのですが、
「偶々、あの学園にいたんだけれど様子が変だから調べさせてもらったよ。王からも依頼があったしね。ナターシャが伝説の王妃の末裔だって自分言ってたからそれを利用させてもらった。王は気づいてたみたいだけどね。偽物だって。
まあ、伝説の王妃なんていないんだけど。説明してあげないこともない。え?聞く気がない?ちょっ聞いてってば。
オホン!王太子の祖先が、周りが推していても国政に悪影響を与える、例えば傾国とかの王妃が出来ないように 〈才色兼備で優しい、平等な王妃〉かつ〈国政に影響がない王妃〉が本当に“いたかのように”噂をながしたんだよ。王家の伝説はそれがそのまま神話になるくらい、良くも悪くも影響が強いものなんだ。旧帝国が堕ちたときに、対策として王がながしたんだよ。それにながした当初は噂でも、時間と共に“なかったこと”が“あったこと”に変わるのは分かりきってるだろ?ただでさえそうなるのに、王が流した噂なんだならない方がおかしい。逆もまた然りだよね。で、王太子の婚約者を〈才色兼備で優しい、平等な王妃〉かつ〈国政に影響がない王妃〉でないと判断した場合、王直々に婚約破棄及び断罪を理由公表なしでできるっていう法律を作ったんだ。これはすごいよ。相手のプライバシーを守るために理由公表なしになってるけど実際は真実が漏洩しないようにだったんだ。
ってことはだ。ナターシャを断罪したいけど、理由を公表するには伝説のことも公表しなければいけない。でも、そんな王家にとってだけ都合の良い法律の元になった伝説を今更なかったことにはしたくない。でも、この国の人間はダメ。で、今の王妃様の甥の僕に依頼したんだ。報酬も弾んでくれたし、依頼を受けたんだよ。その報酬が君ってわけ。意味分かった?」
はぁ?!いやいやいや。意味分かりたくないわっ!
とは言える筈もなく。国を追い出され、帝国に引き取られました。いやぁ、あっけなかった。
婚約破棄&断罪&国を追い出されました。→イマココ
「サラ、この書類やって。」
「はい。」
「サラ、これ片付けて。」
「はい。」
「サラ、○○の国に書簡を書いて。」
「はい。」
っておおおい!サラって誰?!って思った人いるよね?!いないとは言わせない!私だよ!わ・た・し!マリアベル!
「マリアベル・ホーカスは死んだ。お前は今からサラ・ジュードロウズ。よろしくね、サラ。」
はぁ?って感じ。後から知ったんだけどその隣国の王子の名前はジェームズ・ジュードロウズ。
・・・ん?
そうなんです。勝手に結婚させられました。結婚式まで挙げていたんですよ。“帝国の人間になるための儀式”という名目で。いや、ある意味そうだけどさ?
で、今は帝国の王妃です。
なんかモヤモヤするけど、まぁ、幸せだしいいか。いや、良いのか?!良いのか私?!流されてるぞっ!ジトーとした視線を送ると、イケメンスマイルが向けられた。
「そういうサラが好きだよ。」
じゃねーよ!イケメンカッコいいけど、イケメンスマイルすごいけど、お前なんて、お前なんて、き、嫌い、じゃないよ!
「好きなんだね。」
流されてる…。まぁいいや。幸せだし。
かくして私は帝国の王妃となりました。
因みに、ナターシャ・アラベスク男爵令嬢は王妃教育の辛さに早々にねをあげたらしい。でも元生徒会役員が許すはずもなく…。頑張っている…らしい。
ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
ジェームズのキャラが変化してしまいました。すみません。
感想を頂けると幸いに存じます。