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第一章 不思議な学園と個性的な生徒たち 7

 えーっと…… これは一体どういう状況なのでしょうか…… ?


「あれれ、何で私こんな所に居るの?」

「アリサ…… さん?」

「そ、それは私のセリフデスヨ…… お姉ちゃん」


 魔法を唱えたと思ったら、お別れした筈のお姉ちゃんが突然私の目の前に現れました。おかげで、ほらっ、灰音先生も目を大きくして驚いてらっしゃる。それは他のクラスメイト達も同じで(だって先輩ですし……)、全員口ポカーンですよ。


「もしかして、アリスが私を呼び出したの?」

「え゛?」

「確かにそうわね~、アリスさんが魔法を唱えた瞬間だったみたいだし…… あれ、でもちょっと待って~? あ、これはもしかしたら!」


 灰音先生は何か理解したような表情をし、ポンッと手を叩く。呼び出したらしい、私は未だに何も理解していません。えーっと、こうなったら取りあえずなるようになれ! ですね……

 

「えいっ♪」

「わっ!」

「えっ!?!?」


 先生がお姉ちゃんへタッチしようと手を突き出したその時、彼女の片腕はお姉ちゃんの身体をすり抜け、そのお姉ちゃんはというと、まるで透明人間かのようにその身体を薄れさせており、私は身体を仰け反らせて驚きます。そしてお姉ちゃんは消えました。


「ほらやっぱり♪」

「つつつ、つまり、どういう事です!?」


 私がテンパりながら説明を先生に求めると、彼女はいつもの朗らかなゆるふわ笑顔で答えてくれました。


「つまり、これは幻なのよ~♪ アリスちゃんが生み出したアリサさんのま・ぼ・ろ・し♪」

「幻…… ?」

「そう、幻。アリスちゃんの属性は今ではかなり珍しい『夢』なのよ~。だから今の魔法も、アリスちゃんが生み出した夢の幻ってわけなの~♪」

「夢魔法、そういえば聞いた事はあるわね」


 先生の説明に恵美さんはふむふむっと、関心を持って頷きます。そして、召喚(?)してしまった姉の方も「へーっ」っといった風に別に驚きもせずに、納得。普通なら驚きそうなものなのですけど…… 私が生み出した幻のお姉ちゃんはきっとメンタルが金剛石並なのでしょう! 多分! でも割と本人だとしてもあまり驚かないかも…… あっ、お姉ちゃんが消えました。この幻? はそこまで長い時間現れ続けないのですね。


「まあその説明はまた授業の時にでも言うわ~♪ では、アリスちゃんが終わった事だし次の子も魔法具をどうぞ~♪」


 そういえばそうでした。先生の一言で、すぐに私は魔法具を持って自分の席へと戻ります。さっきの騒ぎで集まった魔法具を持った生徒達もすぐに自分達の席へと戻り、止まっていた授業を再開しました。

 色々と謎は残っていますが、ともかく、私は自分が魔法を使えるというのが分かっただけでもほっと一安心します。分からない状態だと、どうしたら良いか分からず、不安ですからね……


それから数分後。長いようで短かった授業が終わります。


「では、十分の休憩を取った後は施設と寮の案内をしますね~♪」


 それからしばらくして。


 先生の案内に従って、私達は学校内の実験室や、属性に分けられた魔法の実践室。別棟、食堂、それにマッサージルームや植物園等等の施設を彼女の説明を聞きつつ歩いて回ります。私の場合、しおりの地図が無いのでとにかく場所を叩きこみ、たまに石像の首を動かして、一部の壁が開いて現れた階段を通る…… っといった、仕掛けで動くような場所はメモに書き留め、絶対忘れないようにしました。それでも、絶対どっかで迷子になると思いますけどね! でも。だ、大丈夫。きっと、クラスのみんなや班の仲間達がその時は助けてくれるはず…… ! そうですよね? ね?


「聞いてた通りだけど、本当に広いわね~」

「私地理に疎いから迷子になってしまわないかしら、不安だわ……」

「その為にしおりがあるんじゃない」

「確かにその通りね! ありがとう恵美ちゃん、助かったわ♪」


 不安に思ってる矢先に、恵美さんとかぐやさんのそんな会話が聞こえ、私はうぅぅっと心の中で涙します。その地図の見える便利なしおりが私にも欲しい!!!


「あっ、そういえばアリスは地図が見えないんだっけ」

「ア、アハハ」


 恵美さんは私に思い出したように話しかけると、彼女は優しい笑顔で言葉を続けました。


「じゃあ私、貴女が地図を見えるようになるか道を覚えるまで、ずっと傍に居てあげるわ!」

「えぇ!? そんな悪いですよ! 大丈夫です、いざとなればメモもありますし、恵美さんも忙しい時あるかもですし……」

「まあまあ、アリスさんだっけ? こういう時は甘えた方が良いと思うよ、うん」

「心ちゃんの言う通りよ、勿論面白そうだからドロシーちゃんもやるー!」

「こういう時こその班なのじゃないかしら? という事で、私も~♪」

「そ、そうですよね…… わ、私もアリスさんのお、お手伝い…… します」


 私と恵美さんのお喋りを聞いたかぐやさん、心さん、ドロシーちゃん、楓さんも加わって、私は何だかお世話になれっぱなしで申し訳無いし恥ずかしいしそれ以上に…… 何このハーレム主人公状態? そんな言葉が頭に浮かんできました。

 いやいやいや、私も女の子なのだからハーレムでは無いですよね? 例え周りが美少女だらけでも、同じ! 女の子ですから! でも、ちょっぴり嬉しいかも。


 げふんげふん、まあそんな事は良いとして! 


「先生達はもうあんな所まで行ってるから早く行かないと!」

「うわ、いつの間に」


 自分達が立ち止まってワイワイしてる間にも、先生達は先へと歩いていたみたいで気付けば豆粒に見えるぐらいまで遠くへ行ってました。


「アリスを助けるつもりが早速私達が迷子になったらシャレにならないよね」

「そうならない為にも走りましょう!」


 心ちゃんの言葉に私はそう返事をし、みんなより先に走り出します。すると、あのか細く小さい声で話していた楓さんが急に大きな声で叫びました。


「あ、アリスさん走っちゃダメです!」

「えっ?? あっっ!?」


 彼女がそう叫んだ頃、同じタイミングで何故かワックスでも掛けたのかというぐらい廊下の床がツルッとし、私は思いっきり転んで顔から地面に激突します。い、いだぁい……


「魔法学校といえど、一応女学校だし淑女としての嗜み的ーな礼節的ーなあったら、何か良くない? っという事で淑女としてはしたない行為はしないよう工夫しました…… っと、しおりに書かれてたので、もしかしてとお、思ったのですけど……」

「な、何そのゆるふわな理由………… 校長かしら」


 私が思っていた事を全く同じようにかぐやさんが言い、続けて恵美さんも口を開きます。


「面白半分よね、絶対」

「残りの半分は本気だと思うけどねー」

「魔法使いに嗜みって…… 居るの?」

「全く聞いた事無いわ。ほらっ、アリスしっかり」

「あ、ありがとうございます…… あいたたた…… 」


 ドロシーちゃんに助け起こされ、私は感謝しながら自分でゆっくり立ちます。それからふと気になった事を、私はぽろりっと呟きました。


「そういえばここ…… 女学校なのですね」

「「「今更!!?」」」 



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