五十路物語(詩集)
テーマ 人生
◎ 五十路に思う事
◎ 生きて いきて 楽しんで
◎ 今を大切に
◎ 珈琲を飲み干すまで
◎ 大切なふる里
◎ K氏への告白
五十路物語
<短編詩集>
テーマ 人生
*****人生******
五十路に思う事
今日で 五月も終わり
明日から 六月です
五十路を 超えると
一年がめちゃ早い
そうこうしているうちに
六十の声を聞く年になる
んでしょうか
熟年といえば 40代
壮年と言えば 50代
円熟というのが 60代
うーーーん まだ
円熟期までは 程遠く
壮んなると言えば
嘘になり
半世紀生きてきた
という事実だけは
真実かも知れません
人って 一世紀 生きる
のが 当たり前になる
時代も もうすぐかも
知れませんね
人生 長く生きる事が
素晴らしいかも 知れないけれど
どう生きて 自分の道を
見つけられたか も大切かも
ある年齢を超えると
これは もう駄目だからと
経験で 分かってしまう
あの 青年時代のように
まっしぐらに 突き進む
活力が 萎えてしまう
心は 青年でと
言うけれど 現実の厳しさを
身を持って 体験してしまうと
それすら難しくなる
心の隅で くすぶる 思いが
ずっと ある限り
青春 そのものだと
思えるようになってきた
太陽は いつも 同じように
見えても 日々 動き
変化している
目立って 変化はなくても
そんな生き方って
大切じゃない
変化を忘れた時 人は老いる
絶えず 自分の人生を
模索し 前に突き進む
目立たなくても 良い
自分の人生だから
自分を 裏切らず
突き進めば それが
人生
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生きて いきて 楽しんで
岩に砕ける 波だって
長い年月 当たっていれば
砕ける波が 岩を穿つ
無理だと分かっている
そんな困難だって
無理だと決めれば
それまでの事
当たって 砕けて
当たって 砕けて
何度も なんども
繰り返し 努力すれば
いつか 必ず
道は開ける
無理は 相手が決めるんじゃない
自分が 決めているんだと
その事に 気づけば
何も 怖いものはない
出来ない 無理だ
こんな問題は 俺には
どうにも ならない
そう 言っているのは
自分だけ
他の人は 誰一人
そんなことは 言っていない
悩んでいるのは 自分だけ
苦しんでいるのは 自分だけ
あのしなやかな 波になれば良い
岩は 堅く 波は 柔らかく
柔らかなものが 堅い岩に
穴をあける
自然は すごい
何百年 何千年 何万年と
地形を変えてきた
形すらない 風でさえ
山の 形状を変えていく
雨粒だって 岩に沁み込み
川となって 地形を変える
ちっちゃな 水滴が
山を かえる
あのように しなやかで
粘り強く 生きていけば
無理はなくなる
人生は 楽しむために
生まれてきたはず
苦しみを 乗り越える
その力は 柔軟な考え方
それだけ
思い通りに 行かないから
人生は 面白い
ストーリーなき ドラマ
あなただけの 壮大な
人生ドラマ
主役は あなた
思う存分 楽しみ
演じて 最高の人生を
楽しもうよ
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今を大切に
瞬く星の 優しさに
光りは はるか
いにしえから
生物の 形もない時代
悠久の 世代から
今を見てると 信じてた
それしか見えぬと
思ってた
遠い過去を 今見てる
巨大な星は いのち短し
燃えて もえて
燃えつくして
はじけ飛んで
闇の世界へ
光りを 放つ
私たちの星には
太陽が一つ
朝が来て 夜が来て
リズムを保ち
いのちを 育む
広大な 宇宙には
二つの太陽 持つ星が
あるという
双子の太陽 互いに廻り
その惑星に辿り着いたら
どんな空が広がっているのだろ
自分が見ているものが
全てじゃないと
思いの中に 耽る時
小さな 眼じゃ
見えないものが
あまりに多くて
戸惑うだけ
いのちの連鎖
人とのつながり
生きてる間に
遭える人
一体どのくらい
いるのだろ
あの星 この星
あまりに 遠くて
小さな目には
ただの 点
ダイナミックな
活動を
それぞれの 星たちは
してるのだろ
短い いのちの
その中で 今
見ているものは
刹那の 光り
いのち 燃え尽きるまで
精一杯 今を見つめ
精一杯 時を感じ
精一杯 前を向いて
生き抜かなければ
もったいないと
そう 私は 思うのだ
山も 海も
目を楽しませる花も
癒しの色で
私を 和ませてる
小さないのちも
大きな いのちも
今 出会える
宝石なのだから
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珈琲を飲み干すまで
時って不思議だよね
いつも同じリズムで
刻んでいるのに
時に長く 時に短く
感じてしまう
一日 24時間
1440分 86400秒
眠っている時間だって
ベッドの上で 存在してるから
意識にない時間だって
大切な時間
長いようで 短く
短いようで 長い
一日という時間
その間も 休むことなく
息をして 心臓は動き続ける
生なる時間
誰人も その時間を
共有する事はない
一緒に暮らしていても
同じ風景を眺めていても
まったく同じ思いに
なるわけではない
労働するにしても
報われない 労働だって
文句を言っても仕方ないと
諦め気分で 働いている
使う側も 経営に追いまくられ
落ち着く暇もない
労働時間を お金という
単位で量られて 評価される
心休める 我が家に
まことの安心はあるのか
安堵出来る 家なのか
それすら はかる術を持たず
ただひたすら 働き続ける
自分の時間をどう持つのか
汲々とした中では
難しい
だから 私は 一杯のコーヒー
これを 飲み干すまでの時間
自分を見つめて 自分と対話する
つい忘れてしまう 自分
自分は どうなんだろうって
考えてみる
何かを 置き忘れてないか
何かを 捨て去っていないか
大切な何かとは なんなのか
人にも言えない 詰まらぬ事に
思いを寄せてみる
花が綺麗だとか 山は美しいとか
海に浮かんで ぼおっとしてみたいとか
追われるものから 逃れて
珈琲の香りの中に 身を委ねてみる
それだけでも 少しは
自分らしさを 取り戻せそうだから
急いで 慌てて 駆け抜けて
その先にふと そんな時を
見いだせれば 頭痛の種から
解放されそうな気がするから
梅雨曇りのそんな日は
物思いに耽るのに
一番最適
優しい光りに包まれて
珈琲を飲み干すまで
つかの間の時間
今 ここで 生きているって
そう感じられる そんな時間を
大切にしていきたい
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大切なふる里
つかの間の 太陽
空に 雲は千切れて
窓から入る そよ風は
心地よくて
今日も また時が流れる
幾月待てば 良いのだろ
置き去りにされた 人々たち
人の 才智を超えて
費やす力は か弱くて
その中で 人は
ただ耐え忍び 日々を暮らしてる
あの日の 豊かさは
あの時より 前の時間は
もう 遠く過ぎ去った
過去を諦め 未来へと
向かおうとしてる
国土 それは 生きる為
大地 それは いのちの支え
海 それは 豊かさ
確かにそれは そこにあった
もう一度 立ち上がる
荒涼の大地に 小さな足で
踏みしめる 人のか弱き足で
だけど そこにある
確かな力を 肌で感じながら
踏み出せば そこは
我がふる里 大切な土地
野菜が実り 木々が色づき
花々が咲き乱れ
海は どこまでも 青く
それが
それが
私の 心のふる里
私を 育んでくれた
大切な ふる里
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K氏への告白
大切な
たいせつな
あなた
あなたがいなければ
私は どうなっていたでしょう
どんなに 私は
あなたに 救われた事でしょう
精一杯 力のあらん限り
あなたの持つ 力を出し尽くし
優しく 私の声を
言葉を 聞いてくれました
世の中の人から
見捨てられたと
感じた時も 励ましの
言葉と 誠意を
私にくれましたね
絶望の淵で 精神的に
おかしくなり 自殺を
考え それを実行しようと
していた時
あなたは 私を探して
かけずり回っていたと
後から 後輩に
教えてもらいました
死にそこないの 私が
あなたの前に 現れた時
思いっきり 私の頬を打って
目を覚ませと 叱ってくれました
その時 はじめて
私は 死なないで良かったと
思いました
誰にも 語らず
今日まで 生きて来ました
そして 黙っていようと
そう 考えていた事が
間違いだったと
この歳になり
ようやく気付きました
私は 生きています
二年前 派遣先の仕事場で
突然 大量の汗と 身動き出来ぬ
身体に 意識を失い
病院へと 搬送されました
検査の結果 良性と分かりましたが
それまでの不安は 私が死を
真剣に考えるものでした
はじめて 真剣に死を考え
あの時の 事が蘇りました
いのちとは 自分の為だけに
あるものではないと
もし 良性でない場合は
長くて 二年という
担当医の言葉
それでも 二年は生きられる
そう思ったものです
その一週間後 検査の結果
良性で取り除けば
問題はない 後遺症が
残るかもしれないが
死ぬ事はないと
後遺症が これほど
長く 私の人生を
変えてしまうとは
思いもよらない事でしたが
それも最近になり
ようやく 人並みに
生活出来るように
なりました
いのちの事と
向き合うように
なったのは この病気の
おかげです
そうして あなたがいる間に
お礼を言うべきだったと
痛感しています
だけど それは あの時に
戻ってしまうという
強迫観念が 働いて
出来ませんでした
忘れよう 忘れてしまえば
良いんだと 心に鍵をかけて
しまって きたのです
今でも まだ あの時の事を
考えると 心を深くえぐります
忘れるとは 消える事じゃあない
ずっと 心の中に あり続けます
あれから 私の人生は
大きく変わりました
私の心に ずっと残ったまま
これから残りの人生を
生きていきます
新しく生まれ変わった
殴られた あの日から
今も ずっと
それを その痛みを
大切にして
生きていきます
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作者