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*今更出来ることなんて



「俺は逃げたつもりも、逃げるつもりも一切ねーよ」


「そんな軽い命じゃねえだろ」



「ああ、分かっている。私も自分の祖先から君たちの話を聞いている。実際に、記された書物も読んだ。私自身、君たちが組織を捨てて逃げる様な人物だとは思えなかったのだ。」


「それも踏まえると、多分だが──君たちはここに来る、この時代に来る、そんな運命の元に生まれてきたのだろう」




「俺達が何を出来るっていうんだ?」


 ハジメは自分の刀と俺の刀をテーブルの上に置くと、立ち上がり、ドアにもたれながら背伸びをした。そして冷めた瞳でそんな事を言う。


「俺達が作り上げた新選組は『敵を倒した数よりも味方を倒した数の方が多い』と比喩されてきた、成り上がりの組織だ。そんな組織も銃を目の前にして弱り、散々世話になった会津も守れずに、そして最初に忠義を誓った幕府の事も守れずに滅びていった。」


「そんな俺達がこの世界に来て一体何が出来るっていうんだ?」


 ハジメの無慈悲にも思えるその問いは、誰に向けたものでもなかった。ただただ、戦に敗れた男の胸の奥から漏れた声だった。



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