第5話 ――森の崩壊編・世界が震えた日――
その日、森の空気はいつもと違っていた。
風がざわつき、鳥たちはいつものように道を空けるどころか――
全員、森から脱出していた。
うさぎ「もうダメだ……あの赤い彗星が来る……」
鹿「森が……終わる……」
リス「今日こそ逃げなきゃ死ぬ!!」
そう、今日は赤ずきんちゃんが“新しい移動手段のテスト”をする日だった。
■ 赤ずきん、新兵器を取り出す
赤ずきんは森の入り口でワクワクしていた。
「じゃーん! ハイパーホバーボードMKⅤ!!
おばあちゃんが“絶対に森で使うな”って言ってたやつ!!」
オオカミは青ざめた。
「禁止されてる時点で察しろ!! 使うな!!」
赤ずきんはもう乗っている。
「いっくよー!!」
ボッ!!!!
瞬間、森に超振動が走り、木々がすべて“スライド式のドミノ”みたいに倒れていった。
オオカミ「なんで!?? スイッチ入れただけなのに森が崩壊してるんだが!!」
赤ずきんは空中でグルグル回りながら叫んだ。
「やばい!! 加速止まんない!!」
■ 森、崩壊開始
ホバーボードは完全に制御不能。
ゴオオオオオオッ!!
赤ずきんが飛んだ方向に、木々が“根っこごと”引き抜かれていく。
倒木。
崩壊。
地割れ。
森の動物全員、大脱走。
オオカミ「このままだと森が地図から消えるぞ!!」
鹿「地図どころか文明から消える!!」
赤ずきん(空中)
「オオカミーーー!! 捕まえてぇぇぇ!!」
オオカミ「できるか!!」
■ 地割れが走る
森の中心部に、巨大なクレーターができた。
ドオォォン!!
赤ずきんがホバーボードごと落下。
地面がまるで水のように揺れ、衝撃波で森の半分が吹き飛んだ。
オオカミ「お、おい……森の半分が……」
リス「“赤ずきん災害レベル7”だ……過去最大……!」
鳥「避難しろー!! 全員上空へ!!」
赤ずきんはクレーターの中心で立ち上がった。
「やだ……壊しちゃった……」
その顔は本気で落ち込んでいた。
■ そこに、おばあちゃん登場
森の遠くから、地鳴りが響く。
ドンッ……ドンッ……ドンッ……
オオカミ「な、なんか来てる……。赤ずきんよりヤバい気配……」
木々の隙間から――
ひとりの老婆が現れた。
おばあちゃん「赤ずきん……やらかしたねぇ……」
赤ずきん「お、おばあちゃん……ごめんなさい……森が……森がぁぁぁ!!」
おばあちゃんは深いため息をついた。
「しょうがないのぉ。
こういう時には、“奥の手”を使うしかないんじゃ」
おばあちゃんは懐から巨大な本を取り出す。
『禁断の巻き戻し魔導書〜森限定〜』
オオカミ「そんなの持ってたんかい!!」
■ 巻き戻し発動
おばあちゃんは杖を掲げた。
「“森だけ”元に戻れ!!
ハイパー・リワインド!!」
バチィィィィン!!
森全体が光に包まれ、崩れた木々が逆再生のように立ち上がっていく。
地割れが閉じ、動物たちが元の位置に戻る。
しかし――
鳥「え? 俺らの位置、ランダムに戻されたんだけど」
うさぎ「巣穴が木の上にあるんだけど!?」
リス「俺だけ巨大化してない!?」
おばあちゃん「ちょっと失敗したみたいじゃの」
赤ずきん「おばあちゃんーー!!」
■ おばあちゃんの説教・第二段
巻き戻しが終わると、おばあちゃんは赤ずきんの前に立った。
「赤ずきん……あんたは強い。
強いのはいい。
でも強すぎるんじゃ。」
赤ずきん「うぅ……」
「森の半分吹っ飛ばすのは“ちょっとだけ”ダメじゃ。」
オオカミ「ちょっとだけか!?」
おばあちゃんは赤ずきんの頭を撫でた。
「でもまあ、森は戻ったしええじゃろ。
次からは……“森を走る時は徒歩”にしなさい。」
赤ずきん「はい……!」
■ オオカミの被害報告
オオカミは泣きながら走ってきた。
「おばあちゃーん!! 森が戻ったのは感謝する!!
だが俺の家だけ消えてる!!」
「間違えて戻し忘れたんじゃろ」
「雑ううううう!!」
赤ずきんは手を挙げた。
「じゃあ、私が作ってあげるよ! 新しいお家!!」
オオカミ「いや!! 絶対やめろ!!
次は森どころか“大陸”が吹き飛ぶ!!」
赤ずきん「大丈夫だよ〜優しく作るもん!」
オオカミ「信用できねぇぇぇ!!」
■ 森の一日、終わる
夕日が沈むころ、森は見た目だけは元の静けさを取り戻した。
だが動物たちは決して忘れない。
――今日、森は一度“滅んだ”ということを。
赤ずきんは空を見上げてつぶやく。
「ねぇおばあちゃん……私、強く生まれてきてよかったのかな……?」
おばあちゃんは笑った。
「いいに決まっとる。
森の崩壊も、巻き戻しも、全部ひっくるめて……
あんたは“最高の赤ずきん”じゃよ。」
赤ずきんは泣き笑いした。
オオカミ「……うん、まぁ……家は壊れたけどな……」
赤ずきん「あ、そうだった! 今から建て直すね!」
オオカミ「やめろーーーー!!」
森は今日も大混乱。
でもみんな、生きて、笑っている。
――続く。




