第3話 ――森最強の少女、ついに学校へ行く――
赤ずきんちゃんは、朝からウキウキしていた。
「今日は“学校の体験入学”なんだよ! おばあちゃん!」
おばあちゃんはベッドでニコニコしながら言う。
「気をつけてね〜。学校ってのは、森より壊していい場所が少ないんだからねぇ」
「わかってるよ! “ほぼ”壊さないよ!」
その“ほぼ”が何を意味するか、村のみんなはまだ知らなかった。
■ 村の学校へ
赤ずきんが学校に向かう途中、オオカミが後ろから震えながらついてきた。
「な、なんで俺も行くんだ……?」
「今日はね、友達役として登録しといたの!」
「そんな制度ないだろ!!」
赤ずきんは満面の笑み。
「大丈夫、大丈夫! 学校って広いから、逃げる場所いっぱいあるよ!」
「逃げるの前提かよ!!」
■ 教室に入る
ガラッ。
赤ずきんが入った瞬間、クラス中の子どもたちがざわついた。
「え……森の赤ずきんちゃんだ……」
「本物だ……! 危険度SSSの……」
先生が慌てて前に出た。
「は、はい! 今日から体験入学で来てくれた赤ずきんさんです!」
赤ずきんは元気よく挨拶した。
「みんなよろしくね!! 森の平和はだいたい私が守ってるよ!!」
なぜか教室後ろの窓がカタカタ揺れた。
■ 授業開始
1時間目は図画工作だった。
先生「粘土で“森の生き物”を作りましょう」
赤ずきんはワクワクした表情で粘土を手にする。
「よーし! 今日こそオオカミをリアルに作るぞ!」
オオカミ「やめて!!」
粘土は彼女の手でぐにゃぐにゃと高速回転し、たった3秒で完成した。
教室中の子どもたちが息を呑む。
「こ、これは……」
「すげぇ……本物以上に怖い……」
オオカミ粘土は、机ごと震えながら先生を見ていた。
先生(心の声)
こんなの展示したら学校が呪われる!!
■ 体育の時間
次は体育。
先生「今日はドッジボールを……赤ずきんさん、念のため“弱いバージョン”で投げてね……?」
「了解!! 超弱モード起動!!」
ボールを投げた。
ズドォォォン!!
校庭の端にあった古い倉庫が消し飛んだ。
オオカミ「弱いってレベルじゃねぇ!!」
子どもたち
「え? いま投げた? ただの爆撃じゃん……」
赤ずきんは全力で謝った。
「ごめんね!! これでも弱くしたつもりだったんだよ!!」
先生は震えながら言った。
「い、いいの……古かったから……(震)」
■ 給食の時間
給食のメニューは、パン・スープ・サラダ。
だが赤ずきんがスープをすする音が
ズズズズズッッ!!
地鳴りレベル。
クラス全員がビクッ!!
「赤ずきんさん……給食は音を立てずに……」
「はーい!」
そして次の瞬間。
——静かに飲んだのに、スプーンが曲がった。
オオカミ「飲むだけで武器破壊するのやめろ!!」
■ 放課後イベント
放課後は“避難訓練”の日だった。
先生「はい、火事を想定して校庭に避難しましょう!」
赤ずきんはドヤ顔で手を挙げた。
「私、火事すぐ消せるよ!」
先生「えっ!? ど、どうやって?」
「こうやって!」
赤ずきんは大型スピーカーを背負い、最大出力で叫んだ。
「ふぁいやぁぁぁぁぁぁあああ!!」
ゴオオオオオオオッッ!!
真逆の現象が起きた。
学校中の火が“恐怖で”自ら消えた。
子どもたち「完全に物理の常識を超えてる……」
■ 校長室へ
放課後、赤ずきんは校長室へ呼ばれた。
校長「赤ずきんさん、今日の体験……どうでしたか?」
赤ずきん「すっごく楽しかったです!! また来たい!!」
校長は震える手で彼女の頭を撫でた。
「……うん。楽しかったのなら……よかった……(震)」
オオカミは校長室の隅で土下座していた。
「頼む……もう体験入学は今回限りで……お願いだ……」
■ 帰り道
帰り道、赤ずきんは嬉しそうに言った。
「ねぇオオカミ! 今日、友達いっぱいできたよ!」
「……できてないと思うぞ……?」
「でも、みんな私を見て震えてた! 緊張してたんだよ!」
オオカミ「いや、それ恐怖……」
赤ずきんは空を指さした。
「よし! 次は“森の学校”にも通ってみよ!」
森の動物たち
「やめてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
こうして、
森最強の少女による“教育改革”は
まだ始まったばかりだった。
――続く。




