第2話 ――森最強の少女、今度は“迷子”を救う――
森の朝は今日も平和……と言いたいところだが、森の奥ではすでに緊急警報が鳴っていた。
「赤ずきんが……また来るぞ!!」
森中の動物たちが一斉に木の上へ避難する。
昨日のおつかいで倒れた木々は、未だにナナメのまま並んでいる。
その原因である少女――赤ずきんちゃんは、今日も赤いフードをひらめかせながら森の入口に立っていた。
「よーし! 今日は“迷子ちゃん救出ミッション”だよ!」
そう、今日はおばあちゃんではない。
村の家族から「子どもが森で迷子になった」と連絡が入り、
“森最強の少女に頼めば3分で見つかる”
という恐ろしい評判のもと、赤ずきんが派遣されたのだ。
腰にはハイパーブレード。
背中には大型スピーカー。
そして今日は新装備――
「ハイパードローン・MKⅡ(おやつ投下機能つき)」 を持っている。
「迷子の子は泣いてるはず! まずは音の位置を特定しよっ!」
赤ずきんは大型スピーカーのスイッチを押した。
ゴオオオオオオオオオ!!
森全体が揺れ、葉っぱが空を舞い上がる。
動物たち「やめろーーーーー!!」
おとなしい鹿は腰を抜かし、
うさぎは巣穴から飛び出し、
オオカミは地面に伏せて耳を押さえた。
しかし赤ずきんは気づかない。
「うん……この反響音……北西の方だね!」
■ 迷子発見
赤ずきんは全力疾走……ではなく、今日は迷子探しなので“安全速度”に調整。
――といっても、木々がバッタバッタ倒れるレベル。
しばらく進むと、小さな泣き声が聞こえた。
「うわあああん! ままーーー!!」
泣いていたのは、村の子ども・ルルちゃん。
木の陰で丸くなって震えていた。
「ルルちゃん発見!!」
赤ずきんが笑顔で近づくと、
震えていたルルちゃんは目を丸くした。
「……え? 森の怪物……?」
「怪物じゃないよ! 赤ずきんだよ! 迷子救助係!」
ルルちゃんは半信半疑だったが、赤ずきんが優しく抱き上げると、少し安心した顔になる。
「怖かったよぉ……オオカミが追いかけてきて……」
「オオカミ? どこ?」
その瞬間、木の陰から小さな影が出てきた。
■ オオカミ、釈明する
「ち、違うんだ赤ずきん! 俺はこの子を助けようとしただけで……!」
赤ずきんはニコッと微笑んだ。
「へぇ~? じゃあ、なんで泣いてたのかなぁ?」
「そ、それは……俺が『森は危ない』って説明したら……泣き出して……」
「脅したってことじゃん!!」
赤ずきんの笑顔が、一瞬だけ“森の終焉の顔”になった。
オオカミは全力で土下座した。
「ごめんなさい!!」
ルルちゃんもポツリと言う。
「でもね、オオカミさん……木陰で震えてたの……赤ずきんが来るって聞いて……」
赤ずきん「ん?」
オオカミ「だからそれは誤解で!!」
赤ずきんの笑顔がさらに輝く(危険度が増す)。
■ ハイパー帰宅ミッション開始
帰り道、赤ずきんはルルちゃんを背中に乗せ、ローラーブーツで滑走しようとした。
が、
「やめて!! まっすぐ歩いて!!」
と泣かれたため、今日は徒歩にした。
しかし、徒歩でも木々がなぎ倒れる。
「赤ずきんちゃん、静かに歩くって知ってる……?」
「知ってるよ! これでも“静かモード”!」
オオカミは遠巻きについてきた。
「な、なぁ……俺もう帰っていいか?」
「ダメ! 迷子事件の証人として同行してね!」
オオカミは涙目で頷いた。
■ 村に帰還
村に着くと、ルルちゃんの母親が抱きついた。
「ありがとう赤ずきんちゃん!!」
「任せて! 次の迷子も3分以内に見つけるよ!」
村人「……倒木、どうするんだ?」
赤ずきん「森の自然現象です!!」
誰も反論できなかった。
■ オオカミの末路
帰ろうとするオオカミを赤ずきんが引き止めた。
「オオカミさん、ちょっとお願いがあるの!」
「……ひぃ……な、なんでしょう……?」
赤ずきんはほほ笑んだ。
「ルルちゃんの“お友達役”してあげて?」
「え?」
気づけばルルちゃんがオオカミの前に立っていた。
「お兄ちゃん、遊ぼ!」
オオカミは赤ずきんよりも怖いものを見た顔になった。
「し、しまった……逃げ道が……」
赤ずきん「はい、第二話は“友情編”だからね!」
オオカミ「そんなメタな理由ーー!!」
こうして、
“森最強の少女・赤ずきんちゃん”と
“被害担当オオカミ”と
“元気になったルルちゃん”は、
なぜか仲良く村で遊び回った。
森は今日も騒がしい。
だが、みんな笑顔だった。
――たぶん。




