最後のメッセージ
『最後のメッセージ』
ある夜、大学生のユキはスマホに届いた一通のメールを見て不思議に思った。
それは知らないアドレスからで、件名は空白、本文にはこう書かれていた。
「助けて」
迷惑メールかと思ったが、ユキはなぜか気になり、返信してみることにした。
「どちら様ですか?」
するとすぐに返信が返ってきた。
「暗い。寒い。誰かここから出して」
ユキは少し怖くなり、「どこにいるんですか?」と聞いたが、それ以上の返信はなかった。
そのまま夜が明け、彼女はメールのことを忘れた。
数日後、ユキの大学の近くで古い井戸が見つかり、中から遺体が発見された。遺体は何年も前に行方不明になった若い女性のものだという。
そしてそのニュースを見たユキのスマホに、またメールが届いた。今度の件名はこう書かれていた。
「見つけてくれてありがとう」
解説
大学生の「ユキ」と言えば一人しかいない。
それは優希でも有紀でも由貴でもなくカタカナで「ユキ」であることが根拠として挙げられる。
つまりユキとは「魔法少女ユキ・ザ・ミッドナイトスカル」であり、
従って通っている大学は魔導学院アースアンドファイヤー大学である。
そしてユキは優秀なトリリンガルで有名だが、専攻しているのは、英語、フランス語、ポルトガル語の3言語であり、
日本語は喋れないはずなのである。
そして、アースアンドファヤー大学は、地球空洞説に基づく、地底深くに存在する大学であることは常識中の常識であり、
そんなところに井戸などあるはずがないのである。
以上の根拠によりつまり、全く違う世界線、全く違う時間軸の、「誰か」と「誰か」が、分断されたはずの時空の歪みによって発生した一種のタイムパラドクスによって行われた
全く別の会話が同時展開されていたことが可能性として挙げられる。
まず、ユキは地底深くで暮らしている地底人なので、本筋には関わらない。ここが最大のトリックである。
本筋は、明治時代の日本の川越の民家の井戸で起きた、「鴻巣家心中事件」であり、
つまり近くの大学は■■大学であると予想される。
つまり、最後にメールを送った人物は……?
真相は、ご自身で見つけていただきたい。