最後になって否応なしに気付かされること
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非常に残念なことに、いよいよ時間になる。
冷や汗が止まらない。ヒステリー球でクビに手が伸びる。
もう、正直にこのまま帰ろうと思う。そもそも何故、俺はここにいるんだろう。思考回路は空転している。これだけのトラウマを理解してなお、まだ身体が動かない。わからないまま、時間になる。
テレビ画面を見るようにステージを眺めていると音楽が始まる。だが「音楽家」はいない。曲だけが流れる。ギターとクラシックの融和。意外とスッキリした感じにまとまっており反発していない。
周りは楽しそうにリズムに身体を揺らしている。
俺は相変わらず知らないから、どうしようもない。
そのまま終わり、司会者が説明している。この曲は音楽家が作ったそうだ。本当に「音楽家」なんだな、と場違いだが思った。
司会者のアナウンスで「音楽家」が現れた。
相変わらず、一礼してから舞台に上がっている。別に誰が見ている訳じゃない。細部など好きにすればいいのに。
大変好き勝手にやらかしてとっ捕まった人としか認識していなかったが、こういう人が見ていない部分にはその人の本性が出る。その意味では真面目な人なのだろう。
この不気味な「音楽家」をじっと見つめていた。
特にアナウンスもなく音楽が始まった。
それは俺が「叩き割ったCD」。
ゾッとした。なまじっか知っている曲だったため、更に感覚が刺激される。
相変わらず、誰かの感覚に呑まれる。
気持ち悪い。押し付けられるというより、刺されるに近い。
感覚的には何か「未消化」な感じがする。なんだろうか。
テレビ画面のようなステージで目に映るのは単なる小綺麗な「おじいさん」でしかないのに、完全に「化け物」にしか見えない。
不思議な歌い方も変わらない。春先に見た時と同じ。時が止まったかのように凝視し続ける。




