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ドアが開きお母さんが出てくる。
「終わりました。帰ります」
「あ、あ、あの、お茶飲んでいってください。ケーキ買ってあるんです。あの、その」
「すみません。本当にもう帰らないといけないので。何かありましたら白石所長まで電話してください。メールでもいいです」
「あの、その、本当に」
「除霊以外も受け付けています。何でも相談所なので。話したいこと話すだけでもいいと思います。料金は発生しますけど」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ、失礼します」
「失礼します」
「あ、ちょっと待っててくださいね」
お母さんはバタバタとドアの向こうへ消え、アクエリアスのペットボトル二本を手に戻って来た。
「すみません。何にもお出しできなくて。冷えているので飲んでください」
「お気を使わせてしまってすみません」
佐倉君が受け取ったので私もお礼を言いアクエリアスを受け取る。
冷蔵庫に入っていたのだろう、ひんやりして気持ちがいい。
おでこにぴたっと当てたいくらい。
外に出たらしよう。
「暑いので気を付けて帰って下さいね。駅まで大分あるでしょう」
「歩くのは好きなので大丈夫です。それじゃあ失礼します」
「失礼します」
「ありがとうございました」