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第四十話 本当に短い愛を連ねる

 触れるようなキス。ほんの一瞬にして、エレナの一生分の熱さを背負った接吻。ザワザワとする店内に俺達の心音は響かない。


──信用できない語り手


 今、ハンバーガー店では、半裸の男と制服を着た少女がキスをしたという話題で埋め尽くされている。意に返さないのはエレナだけ。


 俺は彼女のまだ紅葉している頬や、艶やかな瞳を享受する。どんな状況であれ美しい。


「アストで答え合わせしたいの。私の仮説が正しいかどうか……」


 エレナは俺の上に跨ったまま、俺を見たまま、後ろのテーブルに手を伸ばした。エレナの手が俺の番号札に触れると、迷いなく俺の前に見せつけるように両手で広げる。


ビリッ、ビリッ


「エレナ、なにして──」エレナは番号札を破り捨て、俺の首に手をかける。


 なにが起きて、どういう因果でこの体制になったのか。俺はどうして首に手をかけられているのか。


 エレナは俺に体重を預け、体の至る所を押し付ける。まるでマーキングするかの如く擦り、しかし首からは手を一向に離さない。しばらくそうした後、ついにエレナは俺と目を合わせる。


ただ瞳を覗いただけで、『発情』という言葉が頭に浮かぶ。


「死んじゃえ、死んじゃえ」エレナはギュウッと両手に力を込めた。


「やめっ……かがっ、」俺は抵抗なんて無駄と悟る。


 力に差がありすぎて、エレナを跳ね除けられない。ただガリ、ガリとエレナの手の甲を引っ掻くだけ。それでも制約が働き、俺の手の甲に傷がつく。


 頭に血が滞留する、痛い。喉仏の部分を抑えられ、どうしようもない吐き気、それでも吐き出せない。呼吸は当然できず、エレナの恍惚とした表情に絶望するだけだった、美しいと思う。


「好き! 大好き! ぜーんぶ好き!」まるで子犬が発する声。


 俺の首に手をかける少女は、心底笑顔だった。俺の視界は絶望し、耳は愛の言葉を拾い、エレナの香りに包まれる。


「ゔっ、、あっ……」目の前が真っ暗になる。


「もっと欲しい! アストの愛、もっと頂戴! 好き好き好き──」


──俺は命を手放した。

本当に短いエピソード

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