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目覚め

ーーー頭が痛い。


 ギリギリと悲鳴を上げる頭部を両手で力強く押さえつける。

未だはっきりとしない視界で、必死に周囲を確認しようとする。

 しかし、視界は歪んでいる。まるで水中にいるみたいに、上下左右に掴みどころなく揺れている。


ーーー水?


 瞬間、自分が水中にいることに気づく。

 

「!?!?!?」


 錯乱する。このままでは死ぬ。どうにかしなくては。

 その思考の中で、あることに気づく。


ーーー俺はもう、死んでいるのでは?


 そう、ミハイル・フォン・ヘルトリングという人物は、戦場で胸部に銃撃を受け死亡した筈だ。少なくとも、死の間際の記憶がある。

 その矛盾に気づくと同時に、思考が疑問で満たされる。


ーーーなぜ感覚がある。意識を取り戻してからしばらく経つが、なぜ窒息しない。


ーーーなぜ、俺は生きている?


 思考がフリーズする。そう、感覚があるだの窒息だのは、生存していることが前提の話だ。自分は確かに死んだ。なら、この状況はなんなのだろう。眼球は一色とはいえ色を捉え、手はものに触れる感覚を伝える。足はなにも感じないが、ここが水中だと仮定すれば浮いていると説明がつく。

 そう、五感がある。正確には触覚、視覚しか確認できていないので、二感はあると言える。なら、俺は生きているのか?

 その答えはノーだろう。だって、意識が落ちる感覚も、鉛玉が臓腑を抉る感覚も、流れ出す自身の血液も、その全てを覚えている。あの状況から生還するのは不可能だ。


 そんな自己完結な問答の最中、この身動きもできないような狭い部屋?から、水が抜けていく感覚がした。完全に水が抜けるのと同時に、足が体を支えきれず尻餅をつく。足の感覚はあるが、どうも力が入らない。歪んでいた視界が急激に色を取り戻し、同時に機械的な音が聞こえ、聴覚があることも自覚する。


「おぉ…素晴らしい出来じゃんか!」


 先ほど聞こえた音とは違う、高い声が聞こえる。急な変化で視界が安定しない。


「こんなのが本当に役に立つんですか…?」

「いや、こんなのって何よ!?正直最高傑作なんですけど!?」

「まぁいいです。あなたの性癖を詰め込んだだけで戦力になるとはとても思えませんけど、僅かながら期待はしてますよ」


 少々高圧的に感じる低めの声が、呆れるように言いながら離れていく。

 一連のやり取りと並行して次第に明瞭となる視界は、今度こそ明確に物を捉える。


「やぁ、おはよう!目は見える?声は聞こえる?そもそも魂入ってる!?」


 視界の先には、前屈みになりこちらを覗き込む、若い女性の姿があった。



半年以上更新が途絶えてしまい、申し訳ないです。

話が煮詰まってしまったため、というのがおおよその理由です。

話を進めるために1話から3話までを改稿しています。話の本筋は変えていませんが、一部設定を変更していますので、ぜひご覧ください。

これからは話も軟化していきますし、投稿頻度も上げていけたらと思います。

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