表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】 小さくなった侯爵令嬢リーリヤの秘め恋  作者: 悠月 星花
リーリヤの想い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/94

ドレス到着

 長い長い沈黙。私の素直な気持ちを伝えた結果、セインの中でもいろいろな感情が鬩ぎ合っているのだろう。こちらを見つめ、口を開きかけては噤む。何度も繰り返しては、言葉にならなかった。

「あの……」と声をかけようとしたところで、ノックのあと、ゆっくりと扉が開いた。ベルが、私の屋敷へ連絡を終え、帰ってきたのだろう。

 セインと話をしていたら、いつの間にか2時間ほど、時間が流れていたようだ。


「……殿下?」

「……ベル」

「リーリヤ様のドレスがとど……あとにしましょうか?」


 惚けていいたセインもベルが声をかけたことで、我に返ったようで、赤い頬を、さらに朱に染める。目の前にいる私をその瞳に映したあと、慌ててベルを部屋へと招き入れた。

 ベルの後ろには、私の母も着替えを手伝うためについてきており、私の姿を見て涙を流している。それと同時に、セインと向き合っている私の格好を見て、青ざめた。


「ベル、先にリーリヤ嬢の着替えを頼む。まだ、聞きたいことはあるのだが、その前に、着替えを。えっと……その、なんていうか、落ち着かない」

「ふふっ、わかりました、殿下。早急にリーリヤ様を整えますので、しばらく、部屋の外へ出て行ってくださいませ!」

「あぁ、わかった。任せたよ」


 セインはベルに雑に扱われているにも関わらず、文句も言わず、言われた通りに部屋から出て行った。先ほどの私への返事は何もせずにだ。

 廊下には、父も来ているようで、「侯爵っ!」とセインが、父を呼んでいるのが聞こえてきた。

 父も近くにいるのかと思うと、胸が熱くなる。焦がれた両親が近くにいてくれることが嬉しくて、目尻に涙が溜まっていく。


「リーリヤ様、こちらを」


 ベルに渡されたハンカチで、目尻を拭う。「よかったですね!」とベルの目は語り、私のことを気遣ってくれる。


「では、リーリヤ様を整えます。お手数ですが、夫人もお手伝い、願えるでしょうか?」

「えぇ、えぇ、もちろんですとも! もう、二度と娘には会えぬと思っておりました。リーリヤ。再会できて本当に嬉しいわ」

「……お母様。私もお母様とお父様に、ずっとお会いしたかったです。それが、できない事情があったのですけど、こうして再会できたこと、本当に嬉しく思いますわ!」

「そうね! 私もお父様も、とても心配していたのですよ。今朝、突然、王宮から連絡があり、ベルさんが訪ねてきてくれたのです。リーリヤが見つかったので、ドレスを借りたいと。ご両親も一緒に王宮へ来て欲しいと言われたとき、騙されてもいいと思ってしまったわ!」


 私は母の言葉に苦笑いをした。このあと、セインと両親を交えて、今までの事情を話すことになったとベルがいうので、今は再会を喜ぶだけでいいだろう。

「……それにしも」と母がセインの私室を見渡しながら呟く。迎えに来たベルにも、私がどこにいるというのは聞いてきたらしいが、会うまでは信じられなかったようで、今も不思議そうに私やセインの部屋を見ていた。


「何故、セイン殿下の私室に、リーリヤが?」


 両親からしたら、突然なことに加え、少々頭の痛い出来事に、とにかく耐えている母には申し訳ない。事実を知ったとき、どんな反応をされるのか、不安で仕方がなかったが、耳元で「リーリヤ様、大丈夫ですよ」と囁くベル。


「どんなことがあっても、殿下はリーリヤ様の味方ですから。安心してください!」


 母にも聞こえるようにベルが言ったおかげで、母は戸惑いを隠せていないようであるが、数ヶ月でも一緒に過ごしていたベルへの信頼があるので、私はベルにありがとうの意味を込め、微笑みかけた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

よかったよと思っていただけた読者様。

ブクマ、いいね!下方にあるポイントをポチっとお願いします。(o*。_。)oペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ