許可を得て、颯爽と
「……ベルの好きにしてもいいよとは言わないよ? 今の表情からすると、僕が許可を出すことで、行動力のありすぎるベルのことだから、城中の塩をかき集めて、城門前か正門か正面玄関にめいっぱい塩を撒かれそうだし。雪が降るような時期にはだいぶ早いのに、道を真っ白にされるのは、王宮に住むものとしても、王都のものたちもとても困るからね。いいかい、ベル。塩は、貴重なものなんだから。そうだね……、これくらいで、他の人に迷惑かけない程度にしてくれるなら、行っておいで?」
少量ならとセインの許可がおり、「ありがとうございます」と挨拶もそこそこに急いで部屋をでるベル。颯爽としているのは、気のせいだろうか? 悪ノリするセインもあんなに冷たいベルの声を聞いたのも、この部屋に住んでから初めてのことで、今日は驚くことばかりだ。
「……何もできない僕の代わりに動いてくれたんだ。本当に優しい子だね、ベルは」
ベルの怒気にため息をついて、セインは自身の怒りにも一息入れたようだ。セインに対しアンダルトがあまりにも無礼なことに私も怒っていたが、ベルの暴走のおかげで少し冷めた。
「ちゅっ、ちゅちゅちゅう……(殿下、ごめんなさい……)」
「あぁ、そういえば、リア。ごめんね、こんなところに押し込めてしまって」
胸ポケットから出してもらい、手のひらの上に乗せられる。フルフルと首を横に振り、ダメな婚約者のことで深々と頭を下げて謝った。
「どうしたの? 頭なんて下げて。リアが頭を下げて謝ることじゃないから。ほら、顔をあげて。また、尻尾が元気ないよ?」
おずおずと顔をあげると、セインは優しく微笑んでいた。その表情は、少しだけ陰りのあるもので、アンダルトの本心を聞いて、少なからずセインもショックを受けているようである。
「さっきの……幼いころからの親友なんだ。アンダルトを紹介するつもりだったんだけど、ごめんね。それどころじゃ無くなって……昔は、アンダルトもあんな感じじゃなかったんだけど。リーリヤ嬢のことも大事にしていたし、彼女の自慢話もアンダルト自身から何度も聞かされていたくらいだったのに……仲のいい二人のことを羨ましく思っていたんだ。それなのに、人は、あんなにも変わってしまうんだね」
塞ぎ込むセインの肩に駆けのぼった。アンダルトのことを謝る以外、何もできないネズミの私。それすら、セインには伝わっていないだろう。唯一、今出来ることをと考えれば、その寂しそうなセインの横顔にスリスリと寄り添うことだけだった。
……今の私に出来ることは何もないのね。元気のないのは……セイン殿下のほうです。アンダルト様が本来支えるべき方なのに、どうして傷つけるようなことをしてしまっているのですか?
問うても返事のない質問に虚しくなる。心内は、アンダルトの言った言葉に、とても腹が立っていた。
……私は、アンダルト様にとって、どうでもよかったのです。政略結婚がどういうものか、公爵夫人がどういう立場か、私は知っているから。おじい様たちの念願の約束が果たされればと考えていましたし。
今まで、ダメなアンダルトに対して婚約者としてそっと世話をやくことはあっても、腹立たしいと思ったこともなかった。それが当たり前のことだと、教えられてきたから。セインの表情を見れば、私とアンダルトのことを想って、呼び出してまで今後のアンダルトに注意を言ってくれていることはわかる。それすら無下にしてしまうアンダルト。
政略結婚とはいえ、アンダルトからの言われた心無い言葉は、私自身の胸に刺さる鋭い棘のようなものは何本もあった。
……それに、今は、アンダルト様のことじゃないわ。
「リア、くすぐったいよ! ほら、こっちに……」
右手を差し出され、躊躇せず、肩から飛び乗った。伝わらなくてもと思いながら、アンダルトのことを再度、頭をぺこりと下げ謝った。少しでも、セインには笑ってほしいと願いを込めて。
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