表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】 小さくなった侯爵令嬢リーリヤの秘め恋  作者: 悠月 星花
想い出の中の私

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/94

ベルとお散歩

 居心地がよく、セインの部屋で生活を始め1ヶ月。

 そろそろ、諸事情を考えて、屋敷へ戻ることも諦めかけていた。


 ……私、このまま、ここでネズミとして一生を終えるのかしら? そうだったとしても、セイン殿下の側で、何もできずとも、おいてもらえることは、とても幸せなのかもしれないわ。

 どこに行っても、今の私はただのネズミ。セイン殿下の側を離れれば、生きてはいけない。どこかで野垂れ死ぬか、人間に猫にあるいはもっと違う何かに追われるしかないもの。


 ため息をついて、今日もベルが用意してくれた新聞をぼんやりと読む。1ヶ月もすれば、私の記事はずいぶん小さくなってしまい、新聞から情報をえることが難しくなってきていた。いつの間にか、時の人となり、いずれ誰の記憶からも消されてしまうのだろうなと少し寂しさを感じながら、今後のことを考えていた。


 ……アンダルト様は、私がいなくなったことで、今後はどうするのかしら? それも、私の預かり知らぬことね。私との婚約は解消されて、エリーゼ嬢と。きっと、エリーゼ嬢にいいようにされているに違いないし……それとも、少しくらい私を心配して、探してくれているのかしら?

 婚約者だし、幼馴染でもあるのだもの。少しくらい……私のことも。


 考えてみても、最近のアンダルトを思えば、私を形だけでも探すとはとても思えず、甘い考えだと首を横に振る。そんな私の背中に部屋の掃除を終えたベルが話しかけてきた。


「リア様、もうすぐ殿下がお戻りになりますよ!」


 今日は学園が休みである。ただ、この部屋には、主であるセインが朝からいなかった。私に気を遣い、静かに着替えて、朝早く出ていったことは知っている。そのときには、私も起きていたのだが、起き上がってしまうと、セインに気を遣わせることになると思い、寝たふりをしていたのだ。


「ちゅう? ちゅちゅちゅう(お帰りですか? 今日はどちらに行かれているのかしら?)」

「今日は、少しお忍びで外に出ているのですよ。今、リア様が読んでいらした記事のリーリヤ様を婚約者様とは別に、殿下はこっそり行方をお調べになっているのです。私が話したって内緒ですよ?」

「ちゅう? ちゅちゅう!(それで街へ? なんてこと!)」

「殿下が本当に好きなら……と、浅はかな私は思ってしまいますわ。きっと、リーリヤ様も殿下の優しさに触れれば、そのお心を傾けてくださると思いますの。私がリーリヤ様の婚約者が苦手というのもあるので、偏見や殿下への贔屓もありますが。リーリヤ様は……あの方が嫌で逃げてしまわれたのなら、殿下の側で、殿下をお支えしてくださったらどんなに嬉しいか。そうではないことを、殿下が誰よりもよくご存じなのですけど……」


 ベルが珍しくため息をついて、記事をじっと見ている。私は城へ上がることがほとんどなかったので、今回のことがなければ、ベルと顔を合わせたことはなかった。学園でのセインと私のやり取りは、あまり知らぬようである。


 ……セイン殿下の優しさは、ずっと前から知っています。お心もここに来てから知りました。ベルは、本当に殿下のことを大切に想っているのですね。


 ベルを見上げ、その複雑な目を見つめる。そんな私には気が付かず、再度、大きくため息をついた。


「リア様、よければ、少し外にでかけませんか? ここに来られてから、ずっとお部屋に籠っていらっしゃるようですし。夜中にそっと抜け出して外に出歩いているわけでもなさそうですから」

「ちゅちゅう?(何故それを?)」


 疑問があるというふうに小首を傾げてみると、クスっと笑うベル。


「その仕草は、何故、夜のことも知っているかってことですか?」


 コクコク頷くと、可愛らしいものを見る笑顔から、ニンマリとした少々やらしい笑顔に変わった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

よかったよと思っていただけた読者様。

ブクマ、いいね!下方にあるポイントをポチっとお願いします。(o*。_。)oペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ