鋭いベルの洞察力!
「そういえば、リア様が、リーリヤ様の新聞記事を熱心にお読みになっていたんですよ。殿下はリア様が文字をお読みになること、知っていましたか?」
「……文字を?」
「えぇ、読んでいらっしゃいましたよ。表紙をご自分で広げて先に読まれていたので、中の記事を読むかと尋ねたら、頷かれたので確かでしょう。内容までは、理解されているかわかりませんが、同じ記事を何度もしっかりと読まれていました」
「リアは、すごいな。文字も読めるのか……書けたりは、しないのかな?」
「……さすがに、書くことは難しいのではないですか?」
二人で、私が新聞を読んでいたことを話していた。
……私、元人間ですから、字は読めますし内容も把握することは、もちろんできますよ。書くことも、ナイフやフォークが使えるのですもの。ペンさえ手に合えば、書けるはずです。もし、それが可能なら、セイン殿下にリーリヤであることを伝えられるかもしれないけど、さすがに、不気味なネズミになりそうね。
今のネズミの姿で文字を書いているところを想像して、自嘲気味にふっと息を吐く。その後も、二人の話は続くようで、耳を傾けていた。
「……ところで、ベル。今、サラっと僕の想い人がどうのと言っていたと思うんだが……?」
「えぇ、件の侯爵家のリーリア様のことが、昔からずっとずぅーっと、お好きなのですよね?」
私のことを優先させた結果、自身のことにはやや反応に遅れたようで、目を見開いて驚き、顔が赤くなるセイン。その表情を見て、私もベルの指摘にボフッと音を立てたのじゃないかというほど、恥ずかしさで頬を押さえる。幸い、赤面は出来ないはずなので、恥ずかしさを発散するには、頬を押さえながら足をジタバタさせ、首を左右に振り、しっぽで机をバシバシ叩くくらいしかできない。十分、ネズミとしては、奇行だと思うが、二人には見えていなかったようで指摘されなかった。
「……なんで、それを? 誰にも言ったことがなかったはず」
「殿下、私がお仕えしてどれほどの月日を共にしていると思っておいでですか? 殿下の些細な変化も仕事柄見逃したりいたしませんよ! 小さいころは、リーリヤ様とお会いしたときの喜びよう、最近では学園で話を出来たときの嬉しそうなはずむ会話に表情、リーリヤ様に何かあったのだろうと思わされる憂い顔を見れば、いくら疎い方でも殿下の気持ちには気付きますよ?」
「……リーリヤ嬢本人は気付いていないのだけど? 話しかけても、一歩引いた感じがして壁があるようだったし、声をかけるまでは辛そうにしていても、かけたとたんにニコリと笑ったり。アンダルトとの婚約が負担になっているんじゃないかといつも心配してても、大丈夫ですとリーリヤの心までは入れた試しがないんだよ?」
ベルは大げさにため息をついている。視線を落としていたセインはベルの方を見た。
「当たり前ではありませんか! リーリヤ様は、アンダルト様の婚約者ですもの。どんなことがあっても、殿下がリーリヤ様の心に添える日はありません。噂では、リーリヤ様は淑女の中でも取り分け完璧な淑女だと聞きおよんでいます。アンダルト様以外、目に入れてはいらっしゃらないのでしょう。政略結婚とはいえ、令嬢としての矜持が素晴らしいですね!」
ベルに絶賛され、嬉しくて仕方がなかった。アンダルトとの婚姻のため、公爵家のため、私は辛いことも努力も幼い頃から積み重ねてきた。そのことを、会ったこともないベルが褒めてくれる。
「……ただ、殿下にお仕えしている身としては、殿下の恋心にも少しでいいので振り向いて欲しいですね。こんなに長い間、リーリヤ様を想っていらっしゃるのですから」
少しだけトーンを落とした声で、ベルはセインに伝えた。「味方でいてくれたことが嬉しかった」とセインは嬉しそうに笑い、「ありがとう」とベルに告げた。
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