新聞Ⅱ
新聞一面に私の記事が書いてある。大きな見出し、たくさん書かれた中、表題の下を読んでいく。
『貴族が通う学園で神隠しにあった、侯爵令嬢リーリヤ様! 彼女は、今、どこに?
脱ぎ捨てられていたドレス……あられもない姿で、令嬢はどこへ行ったのか? 聞きつけた噂では、どこぞの平民と恋仲になり、公爵令息アンダルト様との婚約が嫌になったリーリヤ様は侯爵家から逃亡……愛のために駆け落ちしたのだというリーリヤ様の友人と名乗る男爵令嬢からの証言もある。
不可解なこの事件、真相はいかに? リーリヤ様、もし、家出なら、どうか私たちの前へお姿だけでもあらわしてくれればいいのではないか? それが無理なら、手紙だけでも、侯爵夫妻に出してあげてほしいものだ。
侯爵夫妻も心配し、公爵家からも捜索隊を街に出しているが、いまだ、見つからず。
婚約者である公爵令息アンダルト様もリーリヤ様失踪にさぞ、心を痛めていることだろう。仲睦まじく街をお忍びで散策されている姿も度々確認されていた。学園卒業後、ご結婚が決まっていたお二人。アンダルト様が気落ちされていなければいいのだが……』
記事を読み進め、最後まで読んだところで新聞の上にポテンと座る。
頭の中で記事を反芻し、状況の整理をしていく。そのたびに、心は痛み、自身では覆しようのない事実と向き合わないといけないこと、置かれている状況とあまりにかけ離れている証言に反論できない悔しさで胸がいっぱいになった。
……私なら、リーリヤならここにいます! お父様、お母様……今すぐに帰れなくてごめんなさい。私だって、二人の元に、今すぐ帰りたい。帰りたいのです! お父様、お母様。こんな姿の私がお二人にとても心配をかけていること、どうか……どうかお許しください。
ギュっと小さな手を握る。その手に感覚がなくなっても、どこにもぶつけられず行き場のない怒りや悔しさを手の内だけで我慢した。
……アンダルト様は、この記事……本当のことだと信じてしまっているかもしれないわ。それほど、アンダルト様は、注意深く物事を考え、新聞なんて読まないもの。上辺だけ……この記事に書かれているのようにはアンダルト様が私のことを、心配なんてしてもいないんじゃないかしら。むしろ……婚約を解消できると待ち望んでいたかもしれない。でも……。
親不孝だと新聞の記事を読めばわかる。新聞をクシャと掴み項垂れた。心配をかけていることは知っている。私のことを本当に愛してくれた二人のことなら、誰よりもわかっているつもりだ。
……でも、でも……この姿で帰ったところで、両親には私だと気付いてはもらえない。優しいセイン殿下だからこそ、こうして私を迎えてくれたのだから……。
泣けないかわりに、心の中で泣き叫ぶ。両親が恋しい。嫁に行くのとは違う。どこにいるかもわからない私を連日心配して探してくれているのだ。数日会っていないだけで、会いたくて仕方がなかった。不安な心のせいか、とても心細くなる。
一頻り、昔のことを思い出し、ぼんやりしながら、両親のことを想った。
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