倦怠期?
穂乃果ちゃんとデートの日
…倦怠期かもしれないのにデートなんて、
なんとも恐ろしい罰ゲームを受けているよ
うだ。
………
どうしよう。
いきなり会うなり別れましょうと笑顔で言
われてしまったら。
そしてオレはボロボロ泣いてしまう可能性
もなきにしもあらずだ。
…はぁ。
オレ穂乃果ちゃんになんかしてしまったの
だろうか。
思いたある節がないからこそとにかく恐ろ
しい。
せっかく一人暮らしして穂乃果ちゃんをオ
レのアパートに招待して仲良くイチャイチ
ャしてお揃いのマグカップで乾杯する予定
だったのに…
ま、未成年だから紅茶で乾杯だけどさ…
⁉︎ ⁉︎ ⁉︎
待って‼︎
マグカップお揃いで買ったけど、穂乃果ち
ゃんもう一つマグカップ買ってたよな。
穂乃果ちゃんからのもしかしてメッセージ
だったの?
その時、聞くべきだった?
… … …
あれって…
何⁉︎
ってかだれの⁉︎
えっ⁉︎
…まさか穂乃果ちゃんに他に新しいボーイ
フレンドがいてそのボーイフレンド用のカ
ップ⁉︎
とか⁇
え…?
そのカップで三人並んでオレの部屋で紅茶
すすりながら穂乃果ちゃんの奪い合いの話
し合いとかすんの?
ってか、そんなのヤダー‼︎
あー…どうしてこうなった?
…しかも穂乃果ちゃんと会う時間になって
しまった。
…よし‼︎
行くぞ‼︎オレ‼︎
真相を確かめに恐る恐る一歩ずつ踏みしめ
階段を降りた。
足が階段を降りるのをぐずる。
なので仕方なく右手と左手に手伝ってもら
い足を持ち上げて一歩、また一歩と降りた。
五分くらいかかった。
おかげで軽い筋トレみたいになり足がプル
プルしている。
はぁ…
意を決したのに足のやつめ。
足手まといとは、このことなのか。
なんて思っていたら、足のやつ今度はスタ
スタ進むじゃないか。
さっきの階段ぐずりは、なんだったのだろ
う。
軽快に歩き進めていたら…もう待ち合わせ
場所。
足のやつに振り回されたおかげで足がふる
ふるしている。
穂乃果ちゃんが来るまでしゃがんで待って
いることにしよう。
しばらくすると穂乃果ちゃんがやって来た。
やっぱりかわいい…
しかもオレを見つけてにっこりこっちに小
走りでくるじゃん。
倦怠期ってほんと?
オレの勘違いじゃん?
と思い立ちあがろうとした。
でも、階段筋トレみたいなことをしたから
立ち上がれない…
て、手すりがあればそれに捕まって立てる
のに…
だ、だれか手すりを…手すりをください…
なんて言ってる場合じゃない‼︎
「空先生?どうしたんです?」
穂乃果ちゃんがオレの隣にちょこんと座っ
た。
あー…やべー。
かわいいなぁ…穂乃果ちゃん。
オレは座ったままうつむいて穂乃果ちゃん
に聞いた。
「オレたちって倦怠期?」
と。
すると穂乃果ちゃんは、
「えっ、そうなのですか⁈なぜです⁉︎わたし
は、すっかり鉛筆と筆箱の仲だと思ってお
りましたのに」
とまさかの返事を返してきた。
鉛筆と筆箱?
鉛筆と消しゴムじゃないんだ。
「鉛筆と筆箱?」
「はいです。鉛筆は、筆箱がないと持ち運べ
ないですよね。なくてはならない大事な存
在ですの」
「だって、オレにキスとかされたくないんで
しょ?この間、オレがキスしたら、今の行
動は、友達や同僚にしたらパトカーに乗り
ますねって言ってたし」
「あ、アレは…その…遠回しに浮気しないで
くださいって言うメッセージだったのです
が…」
「えっ、そうなの⁈」
「はいです…重い人と思われないように遠回
しに言ったのですが…遠すぎました…かね
?」
「マジかー…なら、マグカップは?なんでお
揃いの他にもう一つ買ったの?」
「あ、アレはペン入れにしようと思いまして。
赤ペンがたくさんなので。」
と言い出す穂乃果ちゃん。
「じゃあ、オレの勘違いかー」
「クスクス、そうみたいですね」
一件落着したのでデート再開‼︎
「じゃ、デートしよっか」
「はいです」
すっかり安心した空は、立ち上がった。
でも、よろめいて穂乃果ちゃんに壁ドンを
くらわしてしまった。
やべ…人混みで壁ドンとかないだろ、オレ。
慌てて手をどけようとしたら穂乃果ちゃん
が、
「空先生…今日は積極的ですね」
と顔を赤らめた。
穂乃果ちゃんがあんまりかわいいから、オ
レは思わず穂乃果ちゃんにチュッとキスを
した。
「ふふ、空先生。わたしは、空先生がたとえ
妖怪になったとしても大好きです♡」
と言ってくれた。
…え、妖怪?
ま、いっか。
「オレも穂乃果ちゃんがたとえ妖怪になって
も愛し続けるよ♡」
人混みの中、オレたちは愛を誓い合った。
続く。




