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想継堂「九十九」  作者: 水 龍
一点目 逆星のペンダント
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呪いのペンダント 解決

 後日。私はいつも通り学校へ登校していた。鞄の中にはあのペンダントが入っている。

 結局私は九十九さんに売ることも、お祓いしてもらうこともしなかった。その代わり、九十九さんからはいくつかのアドバイトをいただいた。その九十九さんが言うには、アドバイスに従えば今後不穏なことが起こらないどころか、幸運が舞い込むんだという。


「なんとも怪しげなアドバイスだったなぁ」


 そう呟きながら昨日の会話を思い出す。


**


『清水さんの予想通り。君の身の回りに起こった不穏な出来事は、このペンダントが原因だ。これには、それを起こすだけの力が確かにある』

『やっぱりこれ、呪われたペンダントだったんだ』


 私の言葉に九十九さんは首を振って返答した。


『一般的に言う「呪い」とはまた違う。これはこれで、また正しく力が発揮しているんだ』

『正しく、発揮?』

『君がかわいいと評価したこの逆さになった星の模様なんだけどね。これ本来はちゃんと上向きにしないといけないんだよ。元は上下に紐を通す輪っかがあったんだろうけど、運悪く上部分は欠けちゃったんだろうね。だから気付かずに逆五芒星にしちゃったんだよ』


 この星の模様は五芒星といい、魔除けの力があるらしい。ゴギョウがどうとかオンミョウがどうとか、九十九さんはいろいろ教えてくれたが、私にはほとんどわからなかった。重要なのは正しい形だと、魔除けになり幸運を招いてくれるということだ。

 では正しくない形。つまり私がやってしまった星を逆さにしたものは、逆五芒星と呼ばれるものだった。西洋では「デビルスター」と呼ばれており、その効果は五芒星とは全く逆。

 つまり「魔除け」ではなく「魔寄せ」。悪いものを呼び込み、取り込もうとする文様。悪魔崇拝でよく用いられていたのだと教えられた。


『正しく身につければ、これほど頼りになるお守りはないよ。これを作った人はよほど力のあった陰陽師か、もしくは聖職者だったんだろうね。ま、大事にするのがいいよ。――あ、でも念のためそのお婆ちゃんに連絡したほうがいいよ。血縁なら大丈夫だろうけど、正式に譲渡してもらう形のほうがなにかと安心だし』


**


 それから九十九さんに勧められるがままに、壊れた部分の修理とペンダントに合うシンプルなチェーンをいただいた。……まあその時にちょっとした手伝いをお願いされたのだが、修理費とチェーン代を無料にしてくれるそうなので引き受けた。

 そんなこんなで、私の周りで起こった不気味な事件は昨日を以て収束したのだろう。


「怪奇現象は起こらなくなったんだろうけど、結局このペンダントが得体のしれない代物なのは変わらないんだよなあ」


 捨てても戻ってくる謎は結局わからずじまいだった。九十九さんは知っている様子だったから、次に会った時に聞けばいいか。


「あ、謎といえば……」


 気になるがもう一個あった。結局私があの店で聞いた女性の声は、いったいなんだったんだろう? やっぱり私の気のせいかな?


「まあ、いっか」


 考えてもわからないことはわからないのだ。そう結論付け、私は今日も学校へ向かうのだった。

 ――今日はなんだか、風が心地よい。

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