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第17話 裏切りの聖女

 聖華が裏切る回。

 ◇


 雪達が厨房で暴れている頃、パーティー会場では緋恋だけが戦い、舞台にいる古貞は血を流しており立つことができなかった。


「血が止まらねえ、体が動かねえ」


 手で押さえても血は止まらず動こうとしても体がかたく、力が入らず石のように重い。


「細川指揮官から裏切って盗賊団に入ったと聞きました。最初は信じていなかったけど夢馬様がいろいろと教えてくれました。この裏切り者。こんな男に助けられたなんて恥です」


 聖華は裏切り者の少年を見下ろし軽蔑している。


(電太のコピーと同じ顔だが本物だ)


 生命活動があり、だれかが変身している偽者でもなかった。しかし本物とは思えないほどの悪人面と性格だった。


「本物だけど本当の聖華じゃねえ」


 聖華に刺されても古貞はあまり気にしていない。彼女が正気じゃないことが分かっており、刺されて当然のことをしたと思っている。


「ぼうや!! その子は夢馬の魅了能力で操られているわ!!」


 美惑が大声で教えた。夢馬は彼女を突きとばして倒し、聖華に近づく。


「夢馬さま~ん!!」


 聖華は甘ったるい声を出して夢馬にすり寄った。頬や胸、脚をこすりつけ、ふしだらなメスの顔をして媚びている。


「ばれてしまったな! そのとおり!! 彼女はおれの魅了能力で虜にした!! ちょうどここにきたから、おれのものにしてやった!!」


 夢馬は彼女の乳房を揉み、頬を舐めた。


「あん! もう夢馬様ったら!」


 恍惚の表情を浮かべて喜んでおり、彼になにをされても喜ぶようになっていた。操られて甘えている彼女を見て少年は気分が悪くなった。

 聖華は第一基地にきて古貞の裏切りを調べている時、夢馬にだまされて捕まり操られてしまった。そして古貞を殺すための罠として利用された。


「おれは結婚詐欺常習犯!! この能力で多くの女を虜にして、いい夢を見せてきた!!」

「ゲスめ!」


 美惑と宮は罪を自慢する夢馬を蔑んだ目で睨んだ。彼はこの能力で多くの女をもてあそび、金などを奪ってきた。


「私はなんてことを!! 古貞さん!!」

「聖華!?」


 突然、聖華の両目からハートが消え、正気になったので古貞は驚いた。


「不完全な魅了能力をかけたから、たまに正気になる。正気に戻った時の女が絶望する顔を見るのが好きなんだよ!!」


 離れようとする聖華を捕え、彼女の表情を見て興奮し顔を醜く歪ませて頬や耳を舐め、唾液をつける。


「は、はなしてください!! 古貞さんを治さないと!!」


 自分のことより少年の心配をしており夢馬から離れようと抵抗する。


「本当にどうしようもないクズだわ!!」


 美惑は夢馬を攻撃したい気持ちでいっぱいだったが能力封じの手錠のせいでなにもできない。


「夢馬さま~ん!!」


 聖華の両目にピンクのハートが浮かび、抵抗をやめて、すり寄り甘い声を出した。不完全な魅了能力なので夢馬の虜に戻ってしまった。


「お前はこのまま死ぬ!! 聖華が刺したナイフには毒があり、血を止めず動きを封じるものだ!!」


 自分のものになった聖華を見せつけるように笑った。毒で傷が腐っており血は止まらず動くこともできず少年は真っ青どころか白くなっていく。


「彼女はおれのハーレムに入れるから安心して死ね!!」


 勝利を確信し夢馬は聖華の唇を強引に奪う。


「夢馬さま~ん!! んん~!!」


 少女は喜び、抱きついてむしゃぶりつく。いろいろな意味で敗者となった古貞。二人のキスを見て絶望しているだろう。しかし少年はかすかに笑っていた。


「激しいやつだな! もういい! こいつが死んだ後、ゆっくりたっぷりしよう」


 美少女のキスはうれしいが、少し苦しいので止める。


「えっ!?」


 背中に痛みを感じ、見てみると毒のナイフが刺さっていた。夢馬は驚き、彼女の顔を見ると両目にハートがなく冷たい死んだ目をしていた。


「正気に戻ったか!!」


 敵をはなさないようにしキスをして口と鼻をふさぐ。息ができない夢馬はもがき、聖華から離れようとしている。

 正気に戻った彼女は魅了能力に抗い、正気を保って攻撃を行った。今の彼女は片目にハートが浮かんでおり、顔の半分が真剣で敵にくっついて離れ、メチャクチャになっていた。


「お前の魅了能力より、おれ達の絆の方が強かったみてえだな」


 絆のチャンスは聖華の攻撃だけではなかった。古貞の股間が光り、砕ける音がした。傷を腐らせていた毒が消えて血が止まり、ゆっくり立ちあがった。


「バカな!?」


 夢馬は信じられないものを見て苦しみながら動揺した。


「聖華が股間につけた聖女の雫が解毒をしてくれた」


 聖女の雫が毒を消し、役目を終えて砕け散った。聖華と仲がよかったおかげで助かった。これも絆だ。

 股間に聖女の雫をつけていたことなど知らなかったので毒のナイフで殺すことは失敗してしまった。


「覚悟しろ、夢馬!!」


 かなりの血を失った白い顔の古貞はなんとか刀を構えた。


「おれを攻撃すれば彼女にも傷がつくぞ!!」


 キスを止め、聖華を押さえて盾にする。


「こ、古貞さん……こ、攻撃してください!!」


 少年のことをよく知っている彼女は魅了能力に抗いながら、なんとかしゃべった。


「お前だけを攻撃できるよ。破紋邪!!」


 刀を光らせて斬りかかる。少女ごと斬ったが夢馬だけを斬り、魅了能力を浄化して彼女を解放した。


「ぎゃあ!!」

「古貞さん!!」


 夢馬が離れたので聖華は逃げ、古貞に抱きついた。


「天国のような感触だ」


 過激な水着姿の彼女が抱きつき、乳房などが当たっているので昇天しそうになった。


「天国へいくのは早いですよ。治師手!!」


 光る手で傷に触れて治す。傷は消え、白い顔は健康的になっていく。


「私のせいですみません」


 操られていたとはいえ刺したことを気にしていた。


「気にすんな。おれのせいで捕まったようなもんだ。辛い思いをさせてすまねえ、聖華」

「古貞さん……」


 少年の言葉で操られていた時の嫌なことが癒されていく。


「おのれ!!」


 いい感じの空気を壊すように夢馬は怒りの表情を浮かべており、背中のナイフを抜いて捨てた。毒に耐性があり古貞のような状態になっていない。


「聖華!! 宮ちゃんと坂場団長を助けて舞台から避難してくれ!!」

「分かりました」


 聖華は古貞に従い、ポニーテールにし槍を瞬時に出現させて宮のところへ向かう。


「男を操ることはできないが、エネルギーを吸いつくして殺すことはできる!! 盤吸夢ばんきゅうむ!!」


 夢馬は気持ち悪いキス顔をして古貞のエネルギーを吸う。


「力が抜けてく!!」


 気持ち悪いキス顔で気分が悪くなり、体からエネルギーが減ってやせていき、よろけた。敵はエネルギーを吸っているので背中の傷は治り、肌のツヤがよくなっている。


「んんー!! んんー!!」


 ピンチの古貞を見て宮は激しく暴れている。


「今助けます!!」


 聖華は槍で台を破壊し宮を解放した。


「岡井!! 元気になれ!! 誘惑ゆうわくワーク!!」


 自由になった宮は猿ぐつわをとって、いやらしい動きをし、谷間を見せるポーズをとった。


「ギンギンになった!!」


 彼女を見た少年はピンクに光り、無数のハートを放って元気になった。聖華のような傷などを治す回復能力ではない疲労などを消す体力回復能力だ。

 いくらエネルギーを吸われても平気で体からあふれてくる。


「私にはできないことですね」


 宮で元気になった少年を見て聖華は複雑な表情を浮かべながら美惑を助けた。


「おのれ!! おのれ!!」


 吸うのをやめ、瞬時にピンクのランスを出現させて構えた。


「風ノコ!!」

電魔でんま!!」


 古貞は刀に風をまとって回し、夢馬はランスに電気をまとって回転させた。聖華は二人を助けて避難し舞台には古貞と夢馬しかいない。



 


 古貞を裏切って夢馬を裏切った。宮の能力は元気にするだけではない。次回分かります。

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