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第15話 グランパーティーの美女オークション

 グラディエイキャットのような美女美少女登場。

 ◇


 雪達が冷凍倉庫に閉じこめられてしまったことなど知らない古貞達はパーティー会場をうろついている。


『さあ!! 皆様、お待ちかねの美女オークションの始まりです!!』


 大きな声を聞いて人々の視線は舞台に集まる。古貞達も見ると舞台には、ひとりの若い男淫魔がマイクを持って立っていた。

 背中に届くほどの長い金髪で頭に悪魔のような角があり、美しくてかっこいい顔で高級な礼服姿、黒い革靴と高貴な吸血鬼のような男だった。


『司会はわたくし淫魔団の団長 陰木夢馬いんきゆめまです!!』

(あいつが今の淫魔団の団長か)


 司会者が敵の団長と分かった。高貴な見た目だが下劣な性根と軽薄な感じがあり、残念なイケメンに見える。


『待ちきれない人達のために早速、今日の商品をお見せしましょう!!』


 興奮して、ぎらついた目をしている人達の期待に応えるように二人の女淫魔が商品の美女達をつれてきた。美女達は露出が多い水着姿で能力封じの手錠で両手を拘束されており、逃げることができない。

 美女達を見て人々は狂喜し、人から野獣になった。


(えっ!? 彼女は!? 聖華じゃねえか!!)


 美女達の中に知っている少女がいたので古貞と鮎美は心の中で驚いた。彼女は赤いマイクロビキニ姿で顔が見えないほどうつむいていた。


(なんで聖華がここにいるんだ!?)


 わけが分からず舞台にいる彼女を見た。五人の美女美少女はよく見えるように並ばされた。


『本日の商品は五人!! どれも若さと美貌を持つ上玉です!!』


 夢馬の言うとおり、聖華に劣らない個性と特徴がある美しい女性ばかりだ。


『それでは商品の紹介をします!! まずは一番!! 伍味駄目食堂沼束支店の看板娘 弁藤飯子べんとうはんこ!! 愛が重い重箱の弁当を渡す薄幸の未亡人のような儚い美女!! 料理の腕がいいので使用人にどうでしょう!?』


 最初に紹介されたのは黒髪のひとつ結びの女性。表情が暗く、なにもかもあきらめているような憂い顔が艶めかしい。しかし庶民なので男達の反応は弱かった。


(グラディエイキャットみてえだ)


 露出が多い美女のオークションを見て古貞はグラディエイキャットを思いだした。美女達の殴り合いではないが、同じ美女の見せ物だ。


『二番はどこからかきた美少女スパイ!! どんなに拷問しても名前などを言わなかったので、クッスパイと呼びます!! 気が強くて活発で健康な少女!! 故郷を裏切らない少女を屈するまでいじめるのは楽しいですよ!!』


 次は飯子の隣にいる茶髪のセミショート少女を紹介した。若さあふれる健康美で活きがいい目で男達を睨んでいる。スパイと聞いて飯子より反応がよかった。

 正体不明のスパイすら商品にしていた。なにがあっても権力でもみ消すことができる。


『三番は人間じゃありませんが、その美しさは永遠!! 外国とは違う国産妖怪エルフ 木琳きりん!! 妖怪なのでどんなことをしてもいいです!!』


 クッスパイの隣には長い茶髪の女エルフがいた。細くて貧相な体だが人間とは違う美しい肌をしており、彼女は野獣のような人間達を見ておびえている。初めて見る者が多く、反応は上々だった。


(捕まったエルフか)


 ゴブリン団が捕えたエルフだと分かった。和風エルフ達の話だと助けたエルフの数が少なかったらしい。


『四番は高貴な血統で高潔な心!! 現役団員で高山奇の聖女 綿姫聖華!! 彼女を手に入れて、穢したい人は多いでしょ!!』


 殉職したことにすれば、なんの問題もなく貴族の娘も平気で売る。彼女の人気は高く、男達は興奮し盛りあがった。


(さすが聖華。冷静だな)


 うつむいていて顔は見えないが、電太に捕まった時と同じくらい冷静だった。


(こっちの美女は冷静というより毅然としてるな)


 古貞は聖華の隣にいる最後の女性を見た。背中に届くほどの長いピンクの髪で頭に悪魔のような長い角がある。五人の中で色気があり、赤いスリングショットの水着姿で大事なところがギリギリ隠れているだけで、とてもいやらしい。

 男達の視線をなんとも思っておらず見下している。


『最後の五番は結婚詐欺常習犯のわたくしを捕えた憎い女!! とうとう売る時がきた!! 前淫魔団の団長 坂場美惑さかばみわく!! 淫魔団の団長だけあってテクがすごいです!!』


 彼女に恨みがあり、紹介が雑だった。


(あの人が前淫魔団の団長か)


 前淫魔団の団長まで商品にされていた。前ゴブリン団と同じように前淫魔団も捕まっていた。

 美惑は男達の視線などを気にしておらず股を見せるような動作をして挑発している。前淫魔団の団長が出てきたので男達はざわつき、顔と体を見て興奮し、鼻血を出す者もいた。


『商品の紹介が終わりましたので、お楽しみの余興です!!』


 バニーガール姿の女淫魔達が大量の水鉄砲を持ってきた。男達は舞台の近くまできて水鉄砲を持ち、五人の女に向け、同時に撃った。

 女達の体に水がかかり、水着を濡らしていく。飯子は冷たい水に耐え、クッスパイは嫌がっており、木琳は冷たい水と恐怖で震え、聖華は無反応で美惑は口を開けて舌を出し、水を飲んで挑発している。

 濡れた体と水着がいやらしいだけでなく自分の水鉄砲の水をかけて彼女達を穢す楽しみがある余興だった。

 水鉄砲の余興で男達は興奮して熱くなり、女達は身も心も冷たくなっていった。水鉄砲の水がなくなったところで余興は終わった。


『余興が終わったところで本日はサプライズがあります!!』


 突然のサプライズに人々はざわつき、期待している。舞台の床からX字の台が出てきて人々の視線が集まった。その台には宮が拘束されていた。


(宮ちゃん!!)


 彼女を見て古貞達は心の中で驚いた。猿ぐつわをされており苦悶の表情が艶めかしく、身をよじって、ガニ股になるなどオークションの女達に負けていなかった。


『捕えたばかりの淫魔団の裏切り者 銅木宮です!! どうですか、この囚われの美少女の動き!! たまらないでしょ!!』


 商品の紹介というより裏切り者に恥辱を与えている。


(宮ちゃんが捕まったってことは)


 男達の反応がないことに気づき、周りを見ると淫魔達が人々を避難させ、三人を包囲していた。それを見て夢馬は邪悪な笑みを浮かべた。


『マヌケなやつら!! 宮が裏切るのを知っていたから泳がせていたのさ!!』


 司会者をやめ、本性を丸出しにしてしゃべり、マイクを捨てた。荒々しく品がないブサイクな声だった。

 宮が裏切り、古貞達をパーティー会場に入れたことなどを知っており、牢屋へいった彼女を捕え、美女オークションをしながら罠の準備をしていた。

 結婚詐欺常習犯の夢馬はだますのが得意で宮の浅知恵を利用するほどだった。

 パーティー会場は淫魔団だけとなり、出口を閉められて逃げることができない。


(みんな、ごめん!!)


 彼女は自分の浅はかさを後悔していた。


「宮……」


 美惑は元部下の心配をしている。やむをえずに裏切ったことを知っているので今でも自分の部下と思っている。


「どうやら、ここまでのようだな!! 今からおれ達がパーティーの主役だ!!」


 古貞と緋恋は隠しておいた刀と剣を出し、鮎美は拳を構えて戦うことにした。グランパーティーの美女オークションはサプライズの戦闘になった。

 商品にされていた聖華。夢馬はインキュバス、美惑はサキュバスがイメージです。

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