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第8話 初対決

 古貞が悪の能力者に立ち向かう。

 ◇


 その頃、古貞は街に現れた一体の巨大芋虫と闘っていた。重月がおらず凪達は医務室、秀羽は実家でエースグループは崩壊しており、彼だけだった。


「逃がさねえぞ!!」


 芋虫は物を破壊しながら進み、少年は追いかける。追いかけながら攻撃しているうちにスーパーへ向かっていく。芋虫は自動ドアを壊して入り、古貞も入った。


「な、なんだ、これは!?」


 店の中を見て驚いた。あちこち血まみれで客や従業員達が死んでいた。貪り喰われたような死体ばかりで、とてもおぞましい。


「肉食昆虫でも出たのか?」


 古貞は刀を構えて警戒し店内を調べる。その時、芋虫がのたうちまわり商品を壊していた。邪魔なので殺そうとしたが、体に野菜がついているので止めた。


「トマト、ニンジン、カブ!?」


 ただの野菜ではなく鋭い歯があり、肉を貪り喰っている。芋虫は絶命し、穴だらけになった。野菜達は芋虫の死体から離れ、新しい獲物を狙う。


「野菜なのに肉食!? 肉食野菜にくしょくやさいか!? こいつらが喰ったのか!?」


 犯人が分かっても今までとは違う相手なので少し動揺している。他の野菜達も集まり、少年を包囲し歯を鳴らす。


「野菜に喰われるなんてシャレにならねえよ!!」


 野菜達は口を開けて襲いかかる。


「サラダにしてやる!!」


 動揺は消え、生き残るための戦意に満ちており、喰うか喰われるかの戦いが始まる。向かってくる野菜達を刀で斬りまくる。輪切り、千切り、乱切りと精密機械のようにきれいだった。


「このオタンコナス!! ボケナス!!」


 罵りながらナス達を斬る。切れこみをいれ、扇のような形にした。


「ドテカボチャ!!」


 カボチャランタンより怖い肉食カボチャをバラバラに斬っていく。小さい野菜だけでなく大きい野菜もいた。


「大根脚!! キモッ!!」


 両脚がある人間くらいの大根達が商品を踏み荒らしながら現れた。一体の大根がキックで攻めてくる。他の大根達はラインダンスをしている。

 格闘家のようなキックだが古貞はかわし続け、千六本にした。やられた途端、大根達はラインダンスをやめて逃げた。

 今度はサッカーボールくらいのタマネギ達が相手だった。一体が向かってきたので勢いよく斬った。しかし、それは間違いだった。


「目が!!」


 斬った瞬間、両目が痛くなり涙が出た。涙は止まらず視界が悪くなった。


「タマネギと同じか!! まるで催涙弾だ!!」


 斬れば斬るほど目が見えなくなるのが分かり、斬ることができなくなった。タマネギ達が前にきて他の野菜達は後ろに下がった。


「だったら野菜炒めにしてやる!! 鬼曼珠きまんじゅ!!」


 古貞は刀に炎をまとい、振って炎を放つ。タマネギ達は燃え、後ろの野菜達も燃えた。さらに大根達にも火がつき、走り回ったことで戦闘に参加していない野菜達に火がつき、広がっていく。

 燃えて消滅し店内は野菜炒めのような匂いが充満した。


「なんだったんだ、この野菜どもは?」


 倒した相手のことがなにも分からず刀を鞘にしまった。


「なんか外がうるせえな」


 悲鳴などが聞こえたので外へ向かう。スーパーを出て見てみると巨大な野菜達が暴れていた。大きい分、力が強く建物などを破壊している。

 やってきた団員達が必死に戦っており、一般人を避難させている。戦ったことがない敵でも害虫と同じように戦っており、あまり苦戦していない。しかし数が多く、いくら倒しても数が減らない。


「このままじゃ街がスムージーになっちまう!!」


 団員達に加勢しようとした時、隠れている若い女性を見つけた。ロングスカートのメイド服姿の怪しい女性で野菜達は彼女を襲っていない。


「あの女は」


 メイドが走って逃げたので古貞は追う。


 ◇


 メイドを追って着いた場所は街はずれの畑だった。実っている野菜達は動き、地面から巨大な肉食野菜達が出てきて街へ向かっている。


「あの野菜どもはここからきていたのか!」


 畑に入ると中央にはメイドともうひとり若い女性がいる。オレンジ色の三つ編みで地味だが柔らかい顔つきで見た目がいい。

 白いシャツにデニムのサロペットでスイカのように胸が大きく、大根のように肉付きのいい脚で黒い長靴を履いていた。


「何者だ、おめえは!?」


 古貞の大声に驚き、メイドは逃げ、三つ編み女は残った。


「私の名前はベジカラフル!! 野菜犯罪者よ!!」


 悪党っぽく名乗るが、迫力がイマイチだった。悪党は本名を名乗らないので偽名なのは間違いない。


「野菜犯罪者ってなんだよ?」


 少年は首を傾げた。


「野菜を使って悪いことをする人よ!! この肉食野菜達のように!!」


 野菜達はベジカラフルにすり寄り、彼女は自慢するように笑う。


「その化け物どもはお前が育てたのか?」

「その通り!! 特殊な肥料と妖術で育てたのさ!!」


 毒々しい液体が入っているフラスコを出し、地面にかけながら変な呪文を唱える。すると巨大な芽が出て急成長し巨大な肉食野菜になった。


「この野菜達を使って上馬を耕してやる!! 広い畑があれば野菜達をもっと増やして勢力を拡大することができるわ!!」


 自分の野望を叫ぶ。


「野菜で悪いことをしやがって!! 農家の恥め!! 成敗してやる!!」


 古貞は鞘から刀を抜いて構える。


「野菜達の肥料にしてやる!! かかれ!!」


 ベジカラフルは野菜達をけしかける。苦戦するわけがなくバラバラに斬った。


「やるわね!! じゃあ、これならどう!?」


 手をあげると地面から人間の子供くらいのニンジン達が出てきて一斉に悲鳴のような奇声をあげる。


「ぐう!!」


 うるさくて頭が揺れ発狂しそうになったが、耳と鼻、目と口から血を流しながら、なんとか正気を保つ。奇声はやみ、耐えた古貞は袖で血を拭いた。


「普通なら死ぬのに!! こうなったら!!」


 彼女は焦り、ニンジン達をつかんでかじった。


「なにしてんだ? 食ってる!?」


 動いているニンジン達を食べる姿を見て驚く。ベジカラフルの体は大きくなっていき、少年は見上げる。

 食べ終えると巨人のように大きくなっており、小さい相手を見下ろして笑う。


「私は野菜を食べると大きくなるのよ!!」

「八メートルくらいか。でけえ」


 自分より巨大な相手だが冷静で恐れていない。


「虫みたいにつぶしてやる!!」


 ベジカラフルは巨大な拳と足で攻撃する。少年は素早い動きでかわしていく。土を耕しているような攻撃なので畑はメチャクチャになっていない。


「ちょこまかと!!」


 攻撃が当たらないのでいらだつ。すると古貞は止まり、彼女の攻撃がくるのを待つように動かなくなった。

 チャンスなのでおもいっきり踏む。しかし、少年はつぶれず彼女の足を貫いて立っていた。


「ぎゃあー!!」


 激痛で叫び、倒れそうになった。


「体はでけえけど、ピーマンと同じで中身がねえな」


 大きくなっても、あまり強くないことに気づいた。


「おのれ!!」


 ベジカラフルは巨大な肉食野菜をつかんでかじる。おとなしく食べられているが、痛がっているので気持ち悪い。足は治っていき、食べ終わると完全に治っていた。


「この!!」


 つぶす攻撃をやめ、つかもうとする。巨大な手をかわしながら刀で足を斬って突く。小指や爪の間なども攻めており、地味に痛い。


「無駄よ!!」


 巨大な野菜をつかんで食べ、足を治す。野菜はたくさんあり、いくら足を傷つけても意味がない。


「野菜を食えなくしてやる!! 鬼曼珠!!」


 刀に炎をまとい、振って炎を放つ。野菜達に火がつき、燃えて消滅していく。火がついた野菜達が動きまわり、畑全体に炎が広がる。


「あちち!!」


 ベジカラフルにも火がつき、叩いて消す。肉食野菜はすべて燃えてなくなり、炎の熱で畑はダメになった。


「私が丹精こめて育てた野菜達をよくも!!」


 すべてを失ったので怒ったが、古貞は巨大な敵に飛びかかる。


追風乗ついふうじょう!!」


 刀の峰から風を放ち、鋭い一振りで腹部を斬った。腹部から赤い血ではなく緑の液体を大量に噴出し、彼女は気絶して仰向けに倒れた。巨大な体は縮み、元の大きさに戻っていく。


「これでこの騒動は終わりだな」


 刀を鞘に入れた。肉食野菜達の畑をつぶしたので増えることはない。


「こいつを連行しよう。治布!!」


 放っておくと危険なので回復効果がある銀色の布を腹部に巻き、脚を持って引きずる。街の方は団員達の活躍で肉食野菜達は全滅した。





 捕えた悪党を尋問。

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