第22話 ひとり好き焼き
古貞の贅沢な食事回。
◇
その日の夜。古貞は又座書店の部屋にいた。
「睾丸が宝玉になっちまった」
睾丸に聖女の雫がついているので股間を見て苦笑した。簡単に外せるので、あまり困っておらず、つけたままにしていた。
「さあ今日はすき焼きだ」
テーブルの上には彼が用意したすき焼きの食材や道具があった。コンビニ弁当や冷凍食品が多かったが、月夜の金のおかげで食材などを買うことができ、冷蔵庫から調味料を持ってきて揃えることができた。
「古貞のひとりすき焼きクッキングスタート!」
楽しんでおり災害用の小型コンロの上にすき焼き鍋を置いた。
「まずは割り下」
鍋にしょうゆと粉末出汁、水、砂糖を少し入れ、コンロの火をつけて菜箸でかき回す。
「煮立ってきたら食材を入れる」
古貞は用意しておいた食材を菜箸で取った。食材は牛肉とネギ、しらたきだけのシンプルなものだった。
「これが岡井家流すき焼きだ」
彼が家で食べていたすき焼きで作り方も我流。牛肉とネギ、しらたきを入れて煮込む。しらたきが多く、しらたきの肉鍋のようでもあった。
「いい匂いだぜ」
いい匂いが鼻孔をくすぐり、胃袋を刺激する。古貞の両目にハートが浮かんでおり、舌なめずりをして鍋を見ていた。
「よし、できた。いただきます」
少年は火を消し箸で牛肉を取り、器に入れ冷まして食べた。生卵をつけて食べるのが嫌いなので生卵はなかった。
「うめっ!!」
味が濃い肉を食べると白飯がほしくなり、白飯を食べる。やわらかくなったネギを食べ、汁を吸ったしらたきを麺のようにすする。
「箸が止まらねえうまさだ!!」
うまさで恍惚の表情を浮かべて貪り食い、すき焼きと白飯を減らしていく。
「なくなった」
すき焼きと白飯がなくなり、鍋の中が汁だけになった。
「しめだ」
食べ足りない感じで鍋に少し水を入れて火をつけ、カレールーとうどんを入れて菜箸でかき回す。カレールーが溶けて、すき焼きの汁が変わっていく。
「すき焼きとは違う匂いだ」
カレーの匂いが漂い、少年の心と胃袋を刺激した。
「できた! しめのカレーうどん!」
完成を喜び、火を消して器に麺と汁を入れた。
「いただきます」
箸でカレーがからまっている麺を持ち、吹いて冷ましてすする。
「うめえ!!」
すき焼きの汁で作ったカレーは普通のカレーとは違うおいしさで恍惚の表情を浮かべながら麺をすすり、汁を飲む。
「食った」
汁を残さずに完食し古貞は満腹になった。
「熱いの食ったから体が熱いぜ」
顔が赤く、大量の汗をかいていたが胸まで苦しくなってきた。
「食いすぎか? 胸やけかな?」
もどかしさを感じ、胸をかきむしり股間が膨らみ、興奮している。
「どうしちまったんだ!?」
体中の血液が沸騰しているように興奮し原因が分からず頭がおかしくなりつつあった。
彼がこうなったのは、すき焼きに使ったしょうゆが原因だった。月夜の冷蔵庫にはしょうゆとしょうゆに似た媚薬があり、古貞はそっちを持っていってしまった。
又座書店では精力剤や強壮剤なども売っており、月夜は自分専用のものを冷蔵庫に入れていた。
媚薬を使ったすき焼きだったので匂いだけでも興奮し、恍惚になるほど味がよくなっていた。
満腹の古貞は性欲に支配され、両目にはハートが浮かんでおり、マヌケ面で悶えている。
「しらたきがまだあったな」
淫靡な笑みを浮かべて立ちあがり、部屋を出た。又座書店での生活は少しいやらしいトラブルがあった。
古貞のすき焼きの食べ方は私と同じです。次回は世冥が支援する最後の敵との戦い。
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