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第16話 戦士の装甲

 ラボのボス 電太との戦闘回。

 ◇


 傷が治った古貞は移動し最後の部屋に向かっている。もう他の部屋はなく敵と聖華がいるはず。

 最後の部屋に着き、自動ドアを開けて勢いよく入った。入った瞬間、少年は部屋全体を見る。

 他の部屋と違って高そうな機械などがある研究室で前方に電太が立っており、隣には聖華を装着しているオペガがいた。両腕と両脚がとりこまれていて眠っているので逃げることができない。


「聖華!!」


 名前を呼んでも彼女は起きなかった。コピー聖華の能力でついた刀傷がないことに気づき古貞は安心した。


「実験バエめ!! ここへきたことを後悔させてやる!!」


 電太は冷静なようで感情的になっていた。


「ハエじゃねえ!! 蛾だ!! 伊仙奇の銘仙蚕 岡井古貞だ!!」


 刀を抜いて、かっこよく名乗る。


「ほざくな!! こっちには最高傑作のオペガと人質の聖華がいる!!」


 オペガが電太の前に出て人質を見せる。


「オペガが眠らせて傷を治して装着した!! 攻撃すれば彼女に当たるぞ!!」


 助手の手術ロボットだけあって聖華の傷は完全に消えており、手術台と同じように拘束することができる。


「コピーと同じ卑怯なことを!!」


 古貞は電太とオペガを睨んだ。


「やれ、オペガ!!」


 命令するとロボットは両手を向け、手術道具の先端から光線を発射し少年はかわした。光線は機械などを切断する威力で古貞を狙って連射する。


「手術道具に流すエネルギーを利用したメス光線だ!! やはり聖女はいいエネルギーだ!!」


 光線の威力などを見て電太は笑った。


「聖女がエネルギーだと!?」


 移動して光線をかわしている古貞は聖華を見た。オペガが光線を撃てば撃つほど聖華の顔色が悪くなっていく。


「オペガは装着している人間のエネルギーを使う!! エコだろ!?」


 最高傑作の性能を自慢し、むかつくドヤ顔をした。オペガは自分のエネルギーだけでなく聖華のエネルギーも利用しており衰弱させていた。


「早く聖華を助けねえと!!」


 聖華のことなど関係なく発射している光線をかわしながらオペガに近づく。


「斬るのか!? 聖華ごと斬るのか!? お前にできるのか!?」


 近づく古貞を見て、むかつく挑発をする。


「破紋邪!!」


 刀を光らせて聖華ごとオペガを斬った。しかし斬れたのはオペガだけで光って消滅し無傷の聖華は解放された。少年は彼女を支え、床に寝かせた。


「コピー聖華を倒した攻撃か!!」


 最高傑作がやられたので、かなり動揺している。


「聖華は助けた。あとはおめえだけだ」


 古貞は残っている敵に刀を向ける。


「よくもオペガを!!」


 怒りに満ちた表情で少年を睨む。


「そんなにあのガラクタがお気に入りだったのか?」

「ああ。おれが初めて開発したロボットだ。何度も改良したから、もうひとりの自分のように思っていた」


 初めて自分が開発したロボットなので思い入れがあった。


「人にもそれくらい優しくしろ」

「おれは機械の方が好きなんだよ。文句を言わないし裏切ったりせず命令通りに動く。生物は面倒で、すべて実験動物だ」


 電太は機械だけを信頼しており生物を実験動物としか思っていないので、ひどい研究ができる。


「オペガの仇をとってやる!!」


 もうひとりの自分がやられたようなものなので彼の怒りは凄まじい。


「おめえも転生劇薬とかで強いのか?」

「おれは元々が弱いせいで転生劇薬を飲んでも意味がない」


 敵は自虐的な笑みを浮かべた。人生劇薬だけでなく転生劇薬を飲んで強くなろうとしたが頭だけの男なので変化がなかった。


「だったら楽勝だな」


 今までの敵と比べるとザコなので笑ってしまった。


「だが、おれには頭がある。強くなるための研究をし、強化酔いにならないだれでも強くなれる力を手に入れた!!」


 自分で作った力に酔い、狂喜の表情を浮かべ式神端末を出して素早く操作した。すると装甲が出現し彼の体を覆っていく。


「これがおれの切り札 戦士せんし装甲そうこうだ!!」


 姿が変わった電太はかっこよくポーズをとる。


「特撮ヒーローみてえだ! けどかっこわりい」


 姿が変わったのは驚いたが、かっこ悪い姿を見て冷静になった。防護服のような白い装甲に白い骸骨の仮面、一回り大きい銀色の手袋と科学者のロボットのような見た目だった。


「うるさい!! 実用性重視の姿だ!! 冷凍保存空間展開!!」


 電太が怒ると周りが歪んで変わっていく。


「なんだ!?」


 部屋が変わり広くて寒い空間になったので驚いた。


「ここは!? さむっ!!」


 急に寒くなり、体が震えてしまった。


「ここはサンプルを保存する別空間 冷凍保存空間れいとうほぞんくうかんだ!!」


 少年が寒さを感じるほどの空間で電太は平然としており両手を広げて叫んだ。


「冷凍保存だと? おれを保存する気か?」


 寒さに慣れてきた古貞は敵を睨む。


「安心しろ。お前は保存しない。ここでなら、この戦士の装甲で思いっきり闘うことができる」


 この空間に保存しているサンプルがないので電太は全力で闘うことができる。


「おれを倒さないと聖華がいるさっきの部屋には戻れないぞ」

「すぐに倒して、こんな寒いところから出てやる!!」


 寒さに慣れ、聖華がいないので古貞も全力で闘える。


「戦士の装甲のデータになれ!! 実験バエ!!」

「覚悟しろ!! マッド才園寺!!」


 二人は同時に動き、男らしい熱い戦闘が始まった。古貞は刀を振り、電太は刀をつかんだ。


「くっ!! びくともしねえ!!」


 一回り大きい手は力が強く、いくら動かしてもダメだった。


「手をでかくしたのは相手の攻撃などをつかむためだ」


 電太は説明しながら、刀をつかんでいない手で少年を殴って刀をはなした。


「くっ!!」


 なんとか耐えたが肉がつぶれ、骨に響く攻撃でひ弱な電太の攻撃とは思えなかった。


「戦士の装甲によって全身のパワーがあがっており、大きい拳は当たりやすく、ダメージを逃がさずに伝える攻撃ができるようになっている」


 戦士の装甲で電太は強化されており、実用性重視のかっこ悪い姿には意味があった。


「これこそ、だれでも簡単に強くなれる装甲だ!!」


 性能に酔い、連続パンチで攻める。古貞は頑丈な体でパンチを受けて耐えていく。寒さに慣れたといっても古貞の動きは少し悪く、敵は平然と動いており差があった。凍らない滑りにくい床なのが救いだった。


「鬼曼珠!!」


 刀から前よりも強い炎を放つも冷気のせいで小さくなり、敵に当たった瞬間、消えてしまった。


「なっから風!!」


 今度は刀から冷たい風を放つ。冷気で今までより高い威力になって電太を襲う。しかし表面が少し凍っただけで平然としている。


「いつもこの姿でここにきているんだ。凍るわけないだろ」


 冷凍保存空間でいつも使用しているので冷凍に耐性がある。いくら強くなった少年でも不利なことが多く、苦戦していた。


「風ノコ!!」


 古貞は刀に風をまとって回し振った。電太は片手でつかみ力をいれて風を止めようとしている。手の中で回っている風は弱くなっていき止まってしまった。


「お前にもう勝ち目はないな!!」


 勝利を確信し、刀をつかんでいない手で殴ろうとする。しかし古貞は笑みを浮かべて刀をはなし蹴りとばした。電太は刀をはなし、少年は刀をキャッチした。


「なっ!?」


 ダメージはなく踏みとどまったが突然の攻撃に動揺し理解できていない。


「こんな攻撃などきかない!!」


 感情的になり、連続パンチで攻めるが古貞は最小限の動きでパンチをかわしながら斬っていく。


「戦士の装甲に傷をつけただと!?」


 装甲の表面に傷がついたので敵は驚いていた。


「当たっていた攻撃が当たらなくなった!? なぜだ!?」


 いくら拳を振りまわしても当たらないので焦っている。


「同じ攻撃に当たるほどバカじゃねえ!!」


 古貞には余裕があり相手の攻撃が見えていた。


「その戦士の装甲はすげえけど、おめえがたいしたことねえし、攻撃のスピードや動きがほとんど同じで慣れちまった」


 戦闘の技術や実力では少年の方が上で電太は戦士の装甲を完全に使いこなせていないので実力差が出ていた。


「そんなバカな!! おれと戦士の装甲は完璧なはず!!」


 冷静さを失った電太の攻撃をかわしながら装甲に傷をつけていく。痛みはないが精神的に追いつめられている。

 闘いの中で成長している古貞と機械に頼って成長していない電太では差が広がっていく。


「破紋邪!!」


 古貞は刀を光らせて振る。電太は両手で防ぎ、押し返そうとする。少年は力をいれて押していき、一気に振りぬいた。


「オペガー!!」


 斬れなかったが中身は耐えきれず断末魔の叫びをあげて光り消滅した。中身を失った装甲は崩れ、床に落ちて消滅していく。

 装甲が頑丈でも中身が弱くて敗北した。


「電太だったから勝てたぜ」


 寒い空間での熱い闘いが終わり、刀を鞘にいれると歪んで前の部屋になっていく。


「戻ってきたぜ」


 周りと眠っている聖華を見て安心した。その時、凄まじい力を感じ、その力を探すように周りを見た。

 隠し部屋を見つけ、入ろうとするが開かなかった。古貞は開かない自動ドアを蹴破って入った。


「だれだ、おめえは?」


 中には黒いローブ姿の女性がいたので警戒する。そして消滅していなかったオペガの心臓部はクモのような姿になり、気づかれないように移動した。


 オペガは手術のオペとオメガを合わせた名前。発明少年のマスコット助手ロボットのようなもの。

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