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第8話 タッグマッチ

 蝋燭女王の館に到着した古貞と鮎美。グラディエイキャットとは違う試合が始まる。

 ◇


「ここが蝋燭女王の館か」


 女体魚アクアリウムを出た古貞は鮎美に連絡して合流し不気味な館に到着した。車や徒歩でしかいけない場所にあり、バスと徒歩でやってきた。


「あの館は昔、富豪の男が住んでいたけど亡くなって養子の蝋燭女王が跡を継いだそうよ」


 鮎美は少し調べた情報を話した。


「周りの貴族との交流はあったようだけど今は恐れられていて孤立しているから気にせずに攻撃できるわ」

「そうか。じゃあ乗りこんで石榴を救出だ」


 古貞は刀を抜き、鮎美は紫のレオタード姿になった。敵に反応し雑草兵達は地面から出てきて館を守る。


「出てきやがった!! 風ノコ!!」


 刀に風をまとって回し突っ込む。鮎美は少年についていき走った。


「独楽斬り!!」


 少年は体を回転させ敵を斬りながら進み、簡単に突破した。数だけのザコで壁にならなかった。鮎美は草をむしるように殴り倒しながら進んで敵の壁を突破した。

 しかし繁殖力があり、すぐに増えた。二人は相手をせず、すぐに館の扉を開けて中へ入った。

 雑草兵達は土がないと増えないので主の命令に従い、中に入らず敵を逃がさないように館を包囲する。

 二人が奥へ進むと豚人類達が現れて妨害する。


「草怪人の次は豚怪人か!!」


 古貞は驚いたが刀を振って斬りまくる。


「ロース!! ヒレ!! バラ!! トントロ!!」


 斬られた相手はきれいな肉の塊やスライスになっていく。


「豚はミンチよ!!」


 鮎美は殴って蹴り、豚人類をひき肉にするようにつぶしている。雑草兵と違って増えないので数は確実に減っている。

 二人は豚人類を倒しながら進み、扉をぶち破って中へ入った。


「これはリング!?」


 拷問部屋に地下闘技場の檻のようなリングではない昔のプロレスリングがあった。


「よくきた、岡井古貞。と篠原鮎美」


 ゴブリンマスクがコーナーポストの上にいて、かっこつけていた。


「ゴブリンマスク!!」


 自分をさらった相手を見て鮎美は少しおびえている。


「でえじょうぶだ! おれがいる!」


 古貞は少女を安心させる。前より強いゴブリンマスクなので鮎美の戦力低下を防ぐ。

「え、ええ」

 頬を赤くし、毅然とした姿勢になった。


「なんだよ、このリングは!?」

「お前とのリベンジマッチをするために用意した特別リングだ!!」


 豚人類達を使って拷問部屋に特別リングを造らせた。


「石榴はどこだ!?」

「あそこだ」


 古貞は周りを見て、ゴブリンマスクは囚われの少女を指さした。X字の台の上に拘束されている石榴がいた。


「石榴!!」


 大声で呼んでも反応がない。


「死んではいない。気絶しているだけだ」


 電気のダメージで彼女は気絶していた。彼女が頑丈で電気に耐えたので体はこげておらず無傷だった。


「おれ達を倒して彼女を助けるんだな」

「おれ達?」


 リングを見ると、ひとりの女性が入ってきた。


「この蝋燭女王もお相手するわ」


 彼女は鞭をかんで引っぱっている。


「あいつが蝋燭女王か。小さくて弱そうだがゴブリンマスクと同じぐらい厄介だな」


 自分より背が低く、細い敵だが少年は油断していない。


『いよいよ始まります!! 女王陛下とゴブリンマスク様!! 岡井古貞と篠原鮎美のタッグマッチ!! 実況はわたくし社地子!! 解説はアネモウネさんです!! よろしくお願いします!!』


 リングの近くに椅子とテーブルがあり、黒いスーツ姿の社地子と黒いボンデージ姿で縛られているアネモウネが座っていた。


「アネモウネだと!?」


 古貞は名前を聞いて驚き、倒した敵を見て恐怖を感じた。ゴブリンマスクなどに集中していたので、まったく気づいていなかった。


『古貞ー!! 久しぶりー!! 相変わらず可愛いわね!! 興奮して蜜が出そう!!』


 アネモウネは興奮し喜び、蝋燭女王の責めの反動で快感を味わっていた。


「花園館で倒したはずなのに、なんで生きてんだ!?」


 彼女に足があるので幽霊ではないことは分かった。


『あんたにやられたけど死んでいなかったのよ。あの時、私は小さな種の姿になって逃げ、安全な場所で体を治したわ』


 彼女は負けただけで死んでいなかった。古貞の攻撃は強力な分、詰めが甘く、うまく逃げる敵なら逃げることができる。


『あんたが高山奇にいることを知って潜伏していたら捕まってしまったわ』


 回復した彼女は少年を追って高山奇にきたが、彼に会うことができず蝋燭女王に捕まってしまった。しかし、そのおかげでこうして少年に会うことができた。


『あんたの闘いが観られるのはいいわ。私を痛めつけたその小さな女王をやっちゃって!!』


 アネモウネは少年を応援している。


「ゴブリンマスクだけでなく、あの女も生きていたとは」


 彼女も茶釜屋敷の風呂で見た幻におり、強くなった彼に敗北を与えた粘着質な女なので頭から消えなかった。


「まあなんでもいいや。やることは変わらない」


 アネモウネのことは無視し親友を助けるために強敵に挑む。二人がリングに近づくとゴブリンマスクはコーナーポストから下りて、リングの外へ出た。

 リングには蝋燭女王がおり、最初はタイマンのようだ。


「まずは私がいくわ」

「ああ、頼む。リングで戦う必要はないが石榴が人質のようなものだからな」


 ロープを跳び越えて鮎美はリングへ入った。二人で戦った方がいいが、リングに罠があるかもしれないんで慎重にいく。


「叩きがいがあるメスブタだわ」


 蝋燭女王は頑丈そうな鮎美の体を見て興奮し舌なめずりをして鞭を舐めた。


「たたきのめすのはこっちよ!!」


 少女は構え、敵は鞭でリングを叩いた。リング上には審判がおらずグラディエイキャットと同じルール無用だった。


「ゴングだ!! ゴング!!」

『はい!! 試合開始!!』


 ゴブリンマスクに言われ、社地子はゴングを鳴らした。鮎美が向かってくるのと同時に蝋燭女王は瞬時に赤い蝋燭を出し、大きく吸って息を吹き、炎を放った。

「わっ!!」

 炎をくらった少女は移動してかわした。


「女王陛下とお呼び!!」


 長い鞭を振りまわし、離れたところから攻撃する。


『女王陛下の鞭攻撃!! 私はこの鞭の虜になってしまいましたが、鮎美はどうでしょう!?』


 社地子は鞭の快感を思いだし恍惚の表情を浮かべながら実況をしている。鞭で叩かれる趣味はないので少女は痛みを感じながら耐えていた。


「こうしてやるわ!!」


 敵は鞭を鮎美の体に巻きつけて引っぱる。体格差をものともせず鮎美を引っぱって振りまわす。


「ちいせえくせに力があるな!!」


 力が強いというより力の使い方が正確で弱い力をうまく使って自分より力がある相手に勝っている。

 床に勢いよくたたきつけ、鞭を外して容赦なく叩く。


「滞空天!!」


 鞭に耐え、高く跳んで両手を広げて回転した。蝋燭女王に攻撃しようと降下するが、ゴブリンマスクがリングに入って彼女の前に立った。そして向かってくる鮎美を殴りとばした。

 やつの拳は無傷で鮎美だけダメージを受けて倒れた。


『ゴブリンマスク様のカットです!! 鮎美はこれからゴブリンマスク様と女王陛下の相手をすることになります!!』


 ゴブリンマスクはリングから出ず、そのまま戦おうとしている。


「審判がいないからって二対一はきたねえぞ!! おれが入って二対二にしてやる!!」


 ゴブリンマスクが加わったら勝ち目がないので古貞はリングに入ろうとした。しかし見えない壁のようなものにぶつかり入れなかった。


「どうなってんだ!? 入れねえ!!」


 何度入ろうとしてもぶつかって入れない。


『このリングは特別で敵はひとりしか入れないようになっています!!』


 社地子が種明かしをした。二対一になる仕掛けがあり、ゴブリンマスク達が有利になるようになっていた。


「きたねえぞ!! 入れろ!!」


 入ることができず責めることしかできなかった。


「こいつがやられるのを待ってろ!!」


 卑怯な試合経験もあり、まったく気にせずに鮎美から確実に倒そうとしている。鮎美はなんとか立ちあがって構えたが、よろけた。


『古貞の試合が観たいから、あの娘、早く死んでほしいわ』


 アネモウネは興味がない感じで試合を観ていた。鮎美を助けることができず、このままでは危ない。


 

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