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第17話 ミラーマッチ

 銅欲との戦闘回。はだけ女と魔王コウモリが中ボス。銅欲が大ボス。

 偽者は邪悪な笑みを浮かべ、本物と違って醜い。


「わしは人をだますのが得意で人に変身する能力で花山家を支えてきた」


 同じ顔だが、おじさんの声で自慢しているので気分が悪かった。


「家を守るには人をだますほどの知恵が必要なのに兄が当主に選ばれた。バカ正直な男が選ばれるなんて」


 人生を狂わせたつつじの父を憎んでいた。しかし彼がいなくても銅欲が当主になることはなかっただろう。それだけ評判が悪く人望がなかった。


「たしかに知恵は必要ですが、叔父様のやり方は不評を買うだけ。お父様はすばらしい当主だったわ」


 つつじは父親の働きを見ていた。銅欲と違って人をだますのが苦手で誠実な男。人望があって家族思いの父親で彼女は尊敬している。そんな父を侮辱する叔父を許さなかった。

「黙れ、つつじ!! 両親がいるあの世へ送ってやる!!」

 差があるのは分かっており、銅欲はごまかすように怒鳴った。

「おれの姿になりやがって! 闘いにくいぜ!」

 古貞は嫌な表情を浮かべて刀を構える。


「そうだろうな。お前になったのだから」


 銅欲は笑い、刀を抜いて構えた。刀は普通で少年と同じ構えだった。


「真似すんな!」

「真似すんな!」


 同じ構えを見て古貞はいらだち、偽者はからかうように挑発する。ただの真似ではないことに気づき、警戒し構えを変えると相手も同じ構えをした。


「まるで鏡だ!!」


 同じ動きをする敵に驚き、斬りかかる。銅欲も動き、刀がぶつかり合う。敵は古貞と同じように動いて攻め、拮抗している。


「風ノコ!!」

「風ノコ!!」


 黄金の刀に風をまとって回すと銅欲も刀に風をまとって回す。二人はチェーンソーのような刀をうまく振り、激しくぶつかっている。


「追風乗!!」

「追風乗!!」


 風を消して刀の峰から風を放って鋭く振る。敵も同じ攻撃をし、激しくぶつかって後退した。


「どこまでも真似しやがって!! 鬼曼珠!!」


 自分と同じ攻撃をする相手にいらだち、刀に炎をまとい、振って放った。


「なっから風!!」


 同じ攻撃ではないが、古貞の攻撃で刀から冷たい風を放ち、炎を消した。

「おれがもうひとりいるようだ!!」

 なにもかも同じ相手なので苦戦している。


「今のわしはお前だ。お前と同じ能力と強さで闘うことができる。違うのは武器とダメージだな」


 銅欲は古貞の刀と体を見て笑った。連戦と罠で傷ついており万全ではない。

「しかもそれだけじゃないぞ」

 偽者は刀を構えた。少年とは違う構えだった。動きも違い、近づいてくる敵に驚く。


面倒皇帝めんどうこうてい!!」


 刀で頭と胴体、手を同時に攻撃する。

「くっ!!」

 頭と刀を持つ手はかわしたが胴体は斬られ、血がにじむ。速い三回攻撃で致命傷になる頭と刀を持つための手を守るのが精いっぱいで離れた。

「おれの攻撃じゃない!!」

 自分とは違う銅欲の攻撃だった。


「わしの若い頃の攻撃だ!!」


 銅欲は笑って自慢する。


「叔父様は若い頃、剣術が強かったわ。茶釜屋敷に道場があったほど。今はほとんど刀を振っていないけど、これも変身能力によるものよ」


 若い頃の叔父の強さを知っており、つつじは説明した。


「老いて弱くなり、若い頃の攻撃が使えなくなってしまったが変身能力で強い相手に変身すれば昔以上の力を発揮することができる。お前に変身したのは正解だった」


 変身能力は相手の動きと能力の真似だけでなく相手の性能で若い頃の動きと攻撃をすることができる。

 今の銅欲は老いてたるんだ体をしておらず若い頃より強く、力を発揮していた。

「とことんおれを利用しやがって!!」

 三回攻撃を警戒し、胴体の痛みに耐えながら近づかないようにしている。


皮斬妖かわざんよう!!」


 敵は近づかず古貞を見て刀を振った。すると少年の肩が斬れた。

「なっ!?」

 突然のことに驚くも攻撃を分析した。銅欲が刀を振ったところには古貞の肩があったので遠距離攻撃と判断した。


「皮斬妖!!」


 同じ攻撃なので刀の動きを見て刀で防御する。しかし防御を無視するように頬が斬れた。

「防御できねえ!?」

 頬の切り傷を見て驚き、防御できないことが分かり恐怖を感じた。


「相手に斬る呪いを送る攻撃だから防御はできないわ!!」


 つつじは敵の攻撃を教えた。


「皮斬妖!!」


 何回も刀を振り、古貞の体に傷をつけていく。傷は浅いが、少年を弱らせる。近づけば三回攻撃、今のままでは遠距離攻撃でやられてしまう。

「こうなったら!!」

 なにか考えがあり覚悟を決め、敵に近づく。


「面倒皇帝!!」


 銅欲は頭と胴体、手を同時に攻撃する。しかし古貞も同じように動く。


「面倒皇帝!!」


 同じ三回攻撃をし、敵の三回攻撃に対抗した。

「なっ!?」

 同じ攻撃をした相手に驚き、頭と胴体は防いだが刀を持つ手は切断されてしまった。


「わしの攻撃を使っただと!?」


 切断されたところを押さえて少年を睨む。


「驚くこたあねえだろ。あんたがおれの攻撃を真似したように、おれもあんたの攻撃を真似したんだよ」


 彼の実力なら銅欲の三回攻撃を身につけるのは簡単だった。しかも本家より使いこなし威力がある。

「その手じゃ刀は持てねえな」

「くっ!!」

 自分の攻撃で片手を失ったので悔しがっており、無事な手で刀を拾おうとする。


「断妻鬼!!」


 拾う前に古貞は刀に竜巻をまとって斬りかかる。


「わしは死なんぞ!!」


 竜巻で体は削れていき、偽者は歪み、元の姿に戻って消しとんだ。そして牙炎と同じ小さな狸の置物になった。

「自分を倒すのは気分がわりいが勝ったぜ」

 勝利をあまり喜んでいないが、銅欲を倒した。


「やったわね、古貞!!」


 つつじは勝利を喜び、元の姿に戻り勝利を祝うように少年に抱きついた。

「お、おう」

 美少女の抱擁はうれしく、闘いで疲れた体は癒え、痛みを忘れた。

「お兄様と同じように飾ってあげるわ、叔父様」

 つつじは嗜虐的な笑みを浮かべて銅色の狸の置物を見下ろす。


「でえじょうぶそうだな、つつじ」


 体を見て古貞は安心した。抱擁でつぶれている乳房も見てしまい目が飛び出るほど凝視している。


「ええ。なにもかも古貞のおかげよ。ありがとう」


 彼女は嫌がっておらず見られて少し興奮しており、ごまかすように体をこすりつける。そんな二人を謎の女は隠れて見ていた。


「ゴブリンマスクの次は銅欲か」


 少年を殺すことができず手駒を失ったので少し不機嫌だった。


「今なら簡単に殺せるが、まあ私がそこまでする必要はないな。早く帰ろう」


 古貞を舐めており、なにもせずに姿を消した。

 銅欲と魔王コウモリがやられたことで権力争いは終わった。二人は茶釜屋敷を出て基地へ戻る。腕を組んで移動しており、その姿はカップルのようだった。



 

 昔の銅欲は強かった。しかし古貞の方が強かった。

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