第13話 最強の殺し屋
無頼党最後にして最強の刺客襲撃回。
◇
次の日の朝。盾森にきて三日目。古貞達は外におり、鮎美とつつじはレオタード姿だった。
「叔父様との決着のために茶釜屋敷へいくわよ!!」
彼女にとって最後の敵なので気合いが入っている。牙炎を倒し、無頼党をつぶしたので銅欲を倒せば、つつじを脅かす敵はいなくなる。
「茶釜屋敷ってところにいるのか?」
「ええ。いったことがあるから、すぐにいけるわ」
無頼党のアジトと違って分かる場所なので、つつじが案内できる。
「いくのは、おれ達だけか?」
三人しかおらず警察団員達は出発の準備すらしていない。
「叔父様と戦う度胸なんてないからこないわ」
銅欲を恐れており、戦っても得にならないので日和見連中や警察団は動かない。
「叔父様は人望がなく戦力の無頼党を失ったので罠やカラクリがある茶釜屋敷しかないから、わたくし達だけでだいじょうぶよ」
牙炎と無頼党を倒した勢いがあり、自信に満ちた表情で胸をはる。強敵なので少数精鋭で乗りこもうとしている。
「いかせないわよ」
「だれ!?」
「女の声!!」
「どこ!?」
突然、女性の声が聞こえたので三人は周りを見る。だれもいないが、虹カメレオンのような見えない敵の可能性があり、警戒している。
「岡井 古貞!! 命をもらう!!」
少年を狙っている声を聞き、古貞は少女達から離れた。
「殺死闇!!」
闇が出てきて少年の体にまとわりつく。
「これはあの時の!!」
黒カマキリが使った闇と同じなので、つつじは驚いていた。自分が狙われているので、あまり抵抗せず闇に包まれていく。
「古貞!!」
少年を助けようと二人の少女は駆け寄る。鮎美が手を伸ばすが消えるのが速く、つかめなかった。闇と古貞は消え、二人だけになってしまった。
鮎美はつかめなかった手を見て悔しがる。
「古貞があの暗闇へ……」
つつじは自分と同じように暗闇の別空間に拉致された少年のことを心配している。助けにいくことができない二人は古貞の無事を祈る。
◇
暗闇に包まれた場所。古貞がおり、周りを見ていた。
「黒カマキリと闘った場所だ」
あの時は光が入って薄暗かったが、今回はどこまでも暗闇が広がっていて見えにくい。
「ここがあんたの墓場よ」
先ほどの女性の声が聞こえ、幽霊と思ってしまった。
暗闇でもはっきり見え、きつい感じの若い美女だった。黒髪のボブカットで目全体が赤く、暗闇を赤く照らすほど目立っている。灰色のトレンチコート姿で黒いブーツを履いていた。
「なにもんだ?」
この空間にいて黒カマキリ以上の殺気を感じたので敵なのは分かった。
「無頼党盾森支部最強の殺し屋 はだけ女よ」
彼女が別任務でいなかった無頼党盾森支部最後にして最強の殺し屋だった。
「つつじじゃなくて、おれを殺すのか?」
「そうよ。リーダーの命令で、あんたを殺すわ。あんたがいなくなれば、つつじを殺すのが楽になる」
はだけ女は少年を指さして笑った。合理的な理由を聞いて納得した。
「殺せるもんなら殺してみろ!!」
古貞が刀を抜いたことで闘いが始まった。
「風ノコ!!」
刀に風をまとい、激しく回して殺し屋に向かっていく。チェーンソーのような刀を振るが、はだけ女はかわした。相手を見て速く振っても彼女は身軽で刀をかわしていき、まったく当たらない。
「独楽斬り!!」
少年は体を回転させて、唸る刀を振る。はだけ女は後退してかわし古貞から離れた。かわされたので回転をやめ、刀から風を消して敵を睨む。
「かわすのはうめえが攻撃しねえのか?」
「これからよ」
はだけ女は悪い笑みを浮かべて、コートの前を開けた。コートの下は白いビキニで動きやすく色気があった。
「色仕掛けか? そんなのきかねえぞ」
突然の露出に少し驚いたが彼女の体を見てにやけた。その時、はだけ女の体が光った。
「目があ!!」
暗闇の空間が一瞬明るくなり、まぶしくて少年は両目をつぶった。
「まぶたが開かねえ!! これじゃあ見えねえ!!」
光は眼球にダメージを与え、少し溶けて、まぶたとくっついており開けることができなかった。目が見えなくなり、両目を焼かれたような痛みが集中力を削ぐ。
「これが私の攻撃。こんな能力だから味方の目もダメにしてしまうから団体行動をせずに強い相手をタイマンで殺してきたわ。どんなに強くても目が見えなきゃ闘えないでしょ?」
はだけ女は自慢し、コートの前を閉じた。そして赤い両目を光らせる。暗闇の空間が赤くなり、光を浴びた古貞は花火のように爆発した。華やかな爆発が暗闇を照らす。
目が見えないので、かわすことができず赤い光を浴び続け、爆発している。
「刀が!!」
爆発で刀をはなしてしまった。少年の体はこげ、かなりのダメージを受けていた。
「なぶり殺してやる!!」
嗜虐的な笑みを浮かべ、少年に近づく。
「どこにいるんだ!?」
両目の痛みに耐えて敵を捜すが、なにも見えない。彼女はビンタで古貞をぶっとばした。そして倒れた少年に近づき、立ちあがれないように何回も踏む。
それでも立ちあがろうとするので腹を何回も蹴る。
「くっ!!」
古貞は転がって逃げた。
「おのれ!!」
はだけ女は両目から赤い光を放ち、立ちあがる少年をふっとばした。
「目をなんとかしねえと!! 治布!!」
なんとか耐え、五本の指から銀色の糸を出し、銀色の布を作り両目に巻いた。回復効果で目と体の痛みがなくなっていく。
「ふっとばしてやる!!」
両目から赤い光を放つが、古貞はかわした。
「かわした!? 偶然よね!」
くらっていた攻撃をかわしたので、はだけ女は驚き、攻撃を続ける。敵の赤い光が見えているように動き、かわしていく。
「布を巻いているのに!! 見えてるの!?」
完全に治っていないので見えていない。しかし両目の痛みが薄れたことで戦闘に集中でき、敵の位置や攻撃が分かるようになっていた。
相手は無意味な攻撃を続け、少年は目が治るまでかわし続ける。
「よし!! 治った!!」
まぶたが開くようになり、布をとった。
「見えるようになったの!? ならもう一度!!」
はだけ女は開いている両目を見て驚き、コートの前を開けようとする。
「そうはさせねえ!!」
古貞は五本の指から白い糸を出して瞬時に長い布を作り投げた。長い布は彼女の体に巻きつき、とれなくなった。
「コートが脱げない!!」
コートの前を開けることができなくなり、そのまま光る。しかし光を放つことができず少年の目は無事だった。
「だったら!!」
体を晒すためにコートを破こうとする。
「させねえよ!!」
古貞は敵に殴りかかる。
「くっ!!」
はだけ女は破くのをやめていなす。刀だとコートを斬ってしまうのでパンチやキックで攻める。目が見えている少年が押しており、少しずつ攻撃が当たっている。
「ぐえ!!」
膝蹴りを腹部にくらい、はだけ女は嘔吐しそうになって後退した。
「調子に乗るな、このガキ!!」
吠えるが内臓と骨をやられており、血を吐いた。
「とどめだ!!」
古貞は突っ込み、彼女のアゴを狙う。アッパーをくらい、ふっとんで倒れた。アゴは砕けておらず脳がつぶれて、きれいな顔で死んでおり赤い両目には光がない。
「アネモウネみてえに強力な能力を駆使する女だったが勝ったぜ」
味方がこられない空間での戦闘は自力でなんとか勝利した。闇は消えていき、はだけ女の死体を消していく。死んだ殺し屋を消し、相手になにも残さないほど徹底していた。
少年は元の場所に出現したが、そこにつつじはおらず、ズタボロの鮎美が倒れていた。
勝利したが、つつじがいない。はだけ女は口裂け女をモデルにした。
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