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第7話 変幻自在の暗殺

 虹カメレオンとの再戦回。

 冷静な虹カメレオンは驚き、振り向いた。そこには古貞とレオタード姿の鮎美がいた。


「殺す手際はよかったけど相手が寝てるか確かめないといけねえな」


 少年の後ろから寝間着姿のつつじが出てきて敵を睨んだ。つつじを見て、虹カメレオンはふとんをめくった。人の形のように置かれた枕やタオルがあり、穴があいていた。

 つつじは鮎美の部屋に隠れ、罠をはって敵がくるのを待っていた。虹カメレオンはふとんを捨て、三人を睨む。


「その首を斬って、どんな顔か見てやるぜ」


 彼が刀を抜いた瞬間、彼女は素早く鞭を振った。


「なにもねえ!?」


 鞭で刀を奪い、巻きつけて持っている。その早業を見て三人は驚いていた。罠にはめたが、楽勝という気分ではなく、ここからが本番だった。


「私が捕まえるわ!!」


 古貞の代わりに鮎美が突っ込む。虹カメレオンは邪魔な刀を捨て、透明な弾を撃ちまくる。

 少女はなんとか弾を見て必死にかわしながら近づいて殴りかかる。しかし敵は彼女の攻撃をかわしていく。

 かわすのがうまく余裕があり、鞭を振る。鮎美はかわしたが、鞭は天井にくっついて伸び、彼女の首に巻きついた。


「うっ!? くっ!」


 突然呼吸ができなくなり、驚いて巻きついている鞭をつかむ。完全に巻きついており、首にくっついているのでとることができず体が上がっていく。

 足をつくことができず首吊り状態になり、さらに苦しくなった。虹カメレオンは動けない鮎美の額を狙う。


「そうはさせねえぞ!!」


 彼女を助けようと敵に向かっていく。鮎美から古貞に変更し、ピストルを向けて撃ちまくる。

 透明な弾をかわしながら五本の指から糸を出して落ちている愛刀を取り、引き寄せる。弾が頬をかすめると同時に刀を手にした。


「鮎美!! 今助けるぜ!!」


 刀で弾を弾きながら進み、鞭を斬った。少女は着地して片膝をつき、力をいれて首の鞭をとった。


「はあ、はあ! 苦しかった」


 なんとか呼吸をして立ちあがる。そして虹カメレオンに攻撃している古貞に加勢する。

 敵は二人の攻撃をかわすばかりで反撃する余裕がない。暗殺は失敗し、ピンチになっているので姿を消した。


「また消えやがった!!」


 二人は攻撃をやめて周りを見る。透明な弾と違って、よく見ても見つけることができない。

 敵がつつじを狙っているかもしれないので彼女のそばへいって守ろうとした時、窓ガラスが割れた。

 鮎美につつじを任せ、古貞は窓に近づく。


「ここから逃げたか」


 三人の視線は窓に集中しており、消えた敵が自動ドアから出たことに気づいていない。


「……とりあえず不届き者を撃退したようね」


 つつじは髪をかきあげて安心する。


「この部屋で寝るのは無理ね」


 戦闘があってメチャクチャになった部屋で寝るのは、お嬢様にはきついだろう。


「なんだ、これ?」


 窓から離れた少年は落ちているピストルを見つけ、刀を鞘に入れてから拾った。


「虹カメレオンのピストルだ!」


 自分達を苦しめたピストルを忘れるわけがない。暗殺者のピストルに興味があり、二人は近づいて見た。


「商売道具を落とすなんて意外とマヌケな殺し屋ね」


 つつじはバカにして笑っているが気品があり、嫌な感じがしない。

 古貞はピストルを調べて中を見る。


「弾が入ってねえ。それに普通のピストルとは違う。まるでオモチャのピストルだ」


 引き金が見えにくい形で少しの力で弾が出る普通のピストルよりも軽い改造銃だった。


「空気を弾の形にして発射する特殊ピストルのようね。虹カメレオンが殺した相手や弾痕から弾は見つからず銃声もなかったそうよ」


 虹カメレオンに詳しいつつじの説明で少年は納得した。


「そのピストルどうするの? あんたが使う?」


 優れた武器は優れた者が使うべきという考えで彼女は首を傾げる。


「おれには刀があるし銃はからっきしダメだ」


 古貞はピストルを回す。動きだけガンマンで銃の腕は悪い。


「私も」


 鮎美も銃が苦手なので、だれも敵の武器を使わない。


「じゃあ、これは明日にでも、うちの技術部に渡すわ」


 つつじは少年からピストルをぶんどった。


「ところでどこで寝るんだ?」


 また敵がくるかもしれないので聞く必要がある。


「鮎美の部屋よ」


 彼女は当然のように言った。ここはつつじの基地なので、どこでも自由に使えるが護衛がいる部屋で寝ることにした。

 鮎美に断る権利はなく、なにも言わない。


「怖かったら一緒に寝てやるぞ?」


 冗談のように笑って言った。


「バ、バカ!!」


 つつじは顔を赤くして怒り、自動ドアへ向かう。


「まったく古貞君は」


 鮎美は呆れて、つつじについていく。


(ここにいてもしょうがねえから部屋に戻るか)


 戦闘で疲れて眠いので古貞は頬のかすり傷から流れた血を拭いて部屋を出た。痛みがなく血が止まっているので回復する必要はなかった。

 つつじは大きなベッドで鮎美と一緒に眠り、古貞はひとり寂しく熟睡し、暗殺者がきた夜は再び静かになった。

 うまく逃げた虹カメレオン。姿が見えないと戦いにくい。

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