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第1話 変質者の襲撃

 無頼党編の始まり。鮎美は攻撃のコンビニというより攻撃の資格取得者状態で迷走中。

 日桜皇国は春から夏になった。上馬の中心地 高山奇も太陽が眩しく、汗だくになるほど暑い。基地内は冷房がきいていて涼しいが、外は汗で団員服がべたつくほどの暑さで団員達はこまめに水分をとっていた。


「いやあ夏って感じだな」


 古貞は基地の広い庭におり、青い水着姿でデッキチェアの上で寝ている。近くのテーブルには冷たいペットボトルの飲み物がある。サングラスをかけており、団扇より優れている手で扇ぎ、暑さを凌いでいた。


「なにをしてるの?」


 紫のレオタード姿で裸足の鮎美は呆れながら少年を見ていた。彼を見て笑っている者達がおり、彼女は恥ずかしくなって顔を赤くした。


「顔が赤いぞ。水分をとった方がいいぞ」


 鮎美のことを心配し、ペットボトルを取って飲んだ。


「古貞君がそんな格好をしてるから顔が赤いのよ。本当になにしてるの? 暑さでおかしくなったの?」


 呆れながら少年の心配をする。


「昔と違って暑さに強くなったから正気だよ」


 太っていた頃は少し動いただけで汗だくになり、かなり辛かったが今はあまり汗をかいておらず、さわやかだった。


「上馬には海がねえから気分だけでも味わってんだよ」


 海にいるという悲しい想像をしていた。


「バカなのは分かっていたけど、これほどとは」


 少女は哀れに思い、少し引いていた。


「よし! 満喫したからトレーニングをしよう!」


 古貞はまったく気にしておらずテーブルに置いてあった白い団員服を着て、デッキチェアの近くにあった黒いブーツを履いた。外でトレーニングをするのが本来の目的だった。


「トレーニングルームと違って外なら思いっきり滞空術が使えるだろ?」


 天井がないカンカン照りの空を見上げる。


「たしかに高く跳べそうだわ」


 鮎美は暑い空を見上げ、手で汗を拭った。


「滞空術は空飛ぶ相手に対抗するものだから地上で迎え撃つ相手にはけっこう弱い。滞空術を磨くだけじゃなく他の攻撃を覚えた方がいいな」


 今までの闘いで滞空術だけではダメだということが分かった。たくさんの攻撃を身につけて、どんな相手にも対応できるようにしていく。


「とはいったものの他の攻撃が思いつかねえな」


 無能力者が使える攻撃をあまり知らないので、なにも思いつかずトレーニングは始まらない。


「ゴブリンマスクの攻撃をやってみようかしら」


 鮎美が言ったことに驚く。


「できるのか!? やつの攻撃が!?」

「ゴブリンマスクとのスパーリングで少し見て、ひとつ覚えたわ。できるかどうかは分からないけど、できそうな気がする」


 ゴブリンマスクの攻撃はあまり能力を使わないものが多いので少し自信があった。


「どんな攻撃だ?」


 古貞もゴブリンマスクと闘ったので大体の攻撃は知っており、どんな攻撃か期待している。ゴブリンマスクの攻撃ができれば、かなりに強くなる。


「いくよ!」


 彼女は両手を広げて、その場から動かずに体を回転させた。


「これは、あの時の!!」


 見覚えがある動きをしたので驚いた。この攻撃は体を回転させて相手を引き寄せ、ラリアットで決めるもの。しかし、ゴブリンマスクの竜巻のような回転に比べると小さく、風の種類が違う。


「うおっ!?」


 ふきとばされそうになったので、ふんばって耐える。彼女が回転して起こしている風はデッキチェアとテーブルをふきとばした。

 近くにいる古貞にしか影響がなく周りの団員達は二人がバカなことをやっている程度にしか思っていないので騒ぎにならなかった。

 鮎美が回転をやめると風はやんだ。


「ゴブリンマスクのようにはいかないわね」


 うまくできなかったので残念そうな表情を浮かべた。


「けどゴブリンマスクとは違ういい攻撃になるな」


 古貞は見込みがある攻撃と判断した。相手をふきとばす攻撃でダメージは期待できないが、ないよりはいい。


「たしかに。磨いて損はないわね」


 手ごたえがあるので、この攻撃の特訓を行う。竜巻のような回転になるまで体を回転させていく。外なので風を起こしても迷惑になりにくく励むことができる。

 少年はふきとばされないようにふんばって見ていた。


 ◇


 照りつく太陽の下で行ったトレーニングは終わった。


「何度やっても引き寄せることはできなかったわ」


 鮎美は汗だくになっており、その体はいやらしかった。


「ほぼ使いこなせるようになったんだから、いいじゃねえか」


 彼女が新しい攻撃を身につけたので古貞は喜んでいた。あまり動いていないが暑いので少し汗をかいていた。


「そうだね」


 竜巻のような回転になったので特訓の成果はあった。二人は冷房がきいている基地へ戻る。


「なんだ、こいつは!?」

「近づくな、変質者め!!」


 ゲートの方が騒がしくなったので二人は止まって見た。古貞達だけでなく庭にいる人達もとんでもないものを見て驚いた。

 ひとりの男性が見張りを剣で斬り殺して、ゲートへ入ろうとしている。その男は筋骨隆々で男らしいが、服装は半そでの白いシャツに黒いブルマ、白い靴下に白いスニーカーだった。

 顔はハニワのような簡素で生気がない。そんなおぞましい男が剣を振って見張りを楽々と斬り殺し全滅させた。


「おいおい、侵入者か!?」


 古貞は堂々と侵入している相手が珍しいので見ている。


「基地に侵入するなんて、まともじゃないわ!!」


 鮎美は見た目と行動に恐怖を感じている。


「服装からして、まともじゃねえだろ?」

「それもそうね」


 変質者はゲートを通り、剣を振りまわして庭を歩く。戦闘が苦手な者達は逃げ、侵入者を許さない者達は立ち向かう。しかし変質者の方が強く、荒々しい動きで団員達を斬っていく。


「つええな、あいつ。剣術はメチャクチャだけどパワーがすごい」


 人間とは思えないパワーで力任せに剣を振っており、普通の団員達では防ぐことができなかった。勝ち目がないと分かって逃げても追いかけて斬り殺していく。


「下手に闘わない方がいいな」


 古貞と鮎美は変質者に近づかず逃げなかった。相手は向かってくる者や逃げる者ばかり攻撃している。

 庭を赤い血でそめると変質者は基地へ向かって走る。


「基地へいきやがった!!」


 古貞は変質者を追い、基地へ向かう。鮎美はいかず、まだ生きている団員達を助ける。やられていない団員達も応急処置を行う。

 侵入者が基地に入ったので警報が鳴り響く。このようなことは初めてで基地全体の動揺は大きかった。


 





 強い変質者登場。次回、その強さが分かる。

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