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第31話 首の特別料理

 ◇


 沼束と繭林第一基地で激しい戦闘が行われている頃。娯飯喫茶にいる繭林第一基地の精鋭部隊は十分休憩したので、いつでも戦闘できる。


「十分休憩した。羽尾指揮官は沼束にいく気がないのか」


 長い休憩で法歩の行動をおかしいと思う団員達が出てきた。


「あっ!」


 特別ルームから法歩が出て近づいてきたので団員達は気を引き締めた。


「私からお前達に最後の特別料理がある。サラ。持ってきてくれ」

「はい」


 法歩の指示でサラが大きな皿を持ってきて、テーブルに置いた。


「どうぞ。特別料理です」


 サラは笑顔で大きなクロッシュを開けて、料理を見せた。かなり飲んで食べたので入らないが、料理ではなく、ふたつの首がのっていた。


「こ、この顔は!!」


 精鋭の団員達でも首を見て驚いた。首は武影と舞沙で両目を閉じて死んでいて、血がスープのようにたまっていた。


「こいつらは偽者だ」


 法歩は理解できていない団員達に説明する。


「幼仲様は死んでいる。この二人は反逆者どもとは関係ない小悪党でそれを知って、幼仲様になって甘い汁を吸おうとしていた。偽の自惚れの盾を用意するほど用意周到だったが、私をだますことはできなかった」


 本当のこととウソを混ぜて話す。


「ここに誘い、油断させて成敗した」


 すべて偽者を殺すための演技にして、自分の評価を落とさないようにした。


「さすが羽尾指揮官」


 二人の首が証拠で疑う者はいない。


「不届き者はもういない。沼束へ向かうぞ」

「「「はい!!」」」


 二人の不届き者を殺したので法歩の評価はよくなり、団員達は指示に従って店から出た。


「サラ。その首を処分してくれ」

「はい」


 法歩はサラに命令して店から出た。法歩達がいなくなって、サラは首がのっている皿を持ち、厨房へ運んだ。


「今日の賄いはこれだ」


 ふたつの首をオーブンに入れて焼く。


「この首も偽物で偽物だらけだな」


 サラは法歩の演技と団員達の顔を思いだして笑った。

 熱いオーブンの中にある首はパンのように焼けており、焼き肉の匂いが出ている。


「首の形の肉入りパン。当店の緊急メニュー」


 この首は法歩に頼まれて作った料理だった。豚や鶏、牛の肉を組み合わせて、顔の筋肉を作り、小麦粉の生地で包み、顔の形にした。血は料理用の血を使った。

 この料理はばれると大変なので、サラ達が食べて処分する。

 外側はパン、中は焼き肉でおいしそうだが、見た目が悪く、切り分ける時は顔を切っているような感じになる。

 法歩達がいなくなって、娯飯喫茶は通常業務に戻った。


 ◇


 法歩達が出動した頃。武影と舞沙は元の服装になっており、店から出て歩いていた。特別ルームには隠し通路があり、ばれずに外に出ることができ、出動した精鋭部隊に見つかることはなかった。


「なんとかなった。あとは羽尾指揮官がやってくれる」


 自分ができることをやったので武影は安心している。無人の基地などを教えたので彼女なら、うまく時間稼ぎをするだろう。


「やることをやって、これからどうするの?」


 反逆者とは関係ない小悪党ということで死んだ二人は追われることはないが、精鋭部隊がいる繭林にいることはできない。


「古貞のようなすごいやつを見て、強い男になりたいと思ったから高山奇で団員になるよ」


 これから仕事をして稼がないといけないので古貞と時間稼ぎで興味を持った団員になることにした。


「そうか。じゃあ高山奇へいこう」


 舞沙はどこまでもついていく。自惚れの盾は偽物にしたので武影が持っており、二人は高山奇へ向かった。

 首はサラ達がおいしくいただきました。

 「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。

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