箸休め話 手下作り
翠八の部屋。彼はエプロンをつけており、テーブルの前にいる。
「本日は手下を作ります。手下を作るには金や権力などが必要で、おれの能力なら簡単に作れます」
少年の催眠能力と肉体操作能力なら操って手下にすることができる。
「ですが、そういうことができないこともありますので自分の手で作る手作りの手下を教えます」
彼の能力は人間しか操れない。
「まず用意するものは小麦粉と水、黒くて怪しい液体、肉の塊。今回は豚の角煮用の肉を使います」
テーブルには市販の小麦粉と水が入った計量カップ、黒い液体が入っているスポイト、生肉の塊が置いてあった。
「それでは始めます」
これから料理を作るように翠八の手下作りが始まる。
「最初は水に黒い液体を一滴、加えます」
スポイトの液体を計量カップの水にたらした。水が一瞬、黒くなり元に戻った。
「そして小麦粉をボウルに入れる。これくらいかな?」
ボウルにかなりの量の小麦粉を入れると粉が舞い、エプロンが少し汚れた。
「これにさっきの水を加えて、よくこねる」
計量カップを持って水を入れ、小麦粉をよくこねる。慣れた手つきでこね、パン生地のようにしていく。
「この生地を小さくちぎって人の形にしていく」
生地を手の平くらいの大きさにちぎり、器用に指と手を動かし生地を人の形にする。手の平サイズの簡単な人形ができた。
「けっこうできるな」
同じようにちぎって人の形にし、すべての生地で五つの人形を作り、テーブルに寝かせるように置いた。
「次は肉の塊を小さく切ってサイコロ状にする」
生肉を包丁で五つのサイコロ状に切って縦一列に積む。崩れないほど均等な形だった。
「そして、この肉を人形の頭部分に入れる」
ひとつのサイコロ肉をとり、人形の頭に穴を作って肉を入れ、穴をふさぐように包む。するとなにもない人形の顔にヘノヘノモヘジが浮かんで動いた。
「頭部分に入れた肉が脳の代わりになり動くようになります。ただの肉なので頭は悪いが、ある程度の命令は理解できます」
動く人形を置き、他の人形にも肉を入れていく。
「これで手作りの手下は完成です」
五つの人形は動き、手下は完成した。
「小さくて役に立たないと思うかもしれませんが、持ち運び便利でちゃんと大きくなります。大きくなれ」
翠八が命令すると手下達はテーブルから下りて人間くらいの大きさになっていく。
「ほとんど人間と同じで悪魔の生け贄にすることができます」
恐ろしい赤い悪魔がおり料理の審査をするように舌なめずりをしていた。
「あの悪魔の生け贄になれ」
少年の命令に従い、手下達は悪魔に近づく。悪魔は小麦粉でできた肉の脳を持つ人形を人間と思っており食べていく。手下は抵抗も逃げもせず翠八の命令通り悪魔の生け贄になった。
五人の生け贄に満足し悪魔は消えた。人間の形をしたものを人間のように動かす妖術で生け贄の代わりになるほどだった。
「このように悪魔が満足するほどの手作りの手下。人間の生け贄に困った時、作ってみてください。これで終わりです」
材料や道具を片づけて終わりにする。
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「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」と「非正規団員の小事件集」も連載中です。




